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この異世界は、ヒーローでありふれている!  作者: やまぬこもち
第26話『聖人領主アルフォンス・リーベルト』
104/125

26-3

「――なるほど、なるほど! 皆様、素晴らしい!」


「そ、そんなになるほどですか?」


「はい! それはもう素晴らしい功績ですよ!」


 アルフォンスは目を輝かせ、俺の手を掴んだ。


「私も冒険者を志していた頃があったので、凄さがより分かるのですよ! それにしても、討伐したのが先々代剣聖を殺したといわれているベルフェゴールとは……ますます恐れ入りました!」


「剣聖を殺した?」


「知らないのですか? "御剣の血脈"と言われる剣聖一族"アークレイン家"第五十代目……初の女性当主にして、先々代剣聖――セレナ・アークレイン様を。」


 ……ご存知ないです。


「今から三十年も前ですかな。あれはまだ私が子供の頃でしたね。あの人の剣は歴代の剣聖とは違った……光そのものでした。あ、すみません……少し重くなってしまいましたね。」


「全然、大丈夫ですよ……ただ、すみません。こいつが寝てて――」


 横でレイが爆睡していた……


「ははは、私が退屈な話をしてしまったのがいけませんよ。では、報酬の話に移りましょうか……百万メル――ペク換算で一億でいかかがでしょうか?」


「い、い、一億!?」


 思わず叫んでしまった。


「そ、そんなに貰っていいのでしょうか……?」


「はい、ルミネルさん。あなた方が倒したのは、それほどの強敵です。」


 全員で見つめ合う……こんな大金貰っていいのか――


「あと、私からのお礼がございます。こちらへ――」


 アルフォンスに付いていくと、そこには小屋があった。


「我々の一族は代々地竜の飼育を行っているのですが、ぜひ一匹貰っていってくださいな。」


 地竜ってこんな感じなのか……いやいや、そうじゃないだろ――


「こ、こんなものまで貰っていいのだろうか……」


「ええ、カグラさん。これは私からのお礼ですので、先ほどの報酬金はどちらかといえば国からのモノですから。」


 なるほどな……どれにしようか悩ましい。


「アルフォンスさん、オススメとかありませんか?」


「オススメですか……この子とかは速い個体ですよ。」


「……ん? あれは――?」


 そこには卵があった。

 その卵は淡い金色の模様が走っていて、時おり“トクン”と微かに鳴った。

 まるで――心臓が鼓動しているかのように。


「――それは! お目がたかいですよ! それはまだ卵段階ですが――何か他の地竜と違って……"鼓動"を放っているのです! さすがですよ、タイガさん!」


「鼓動……?」


「はい、鼓動を持つ地竜は世界中探しても――数千万から数億体に一体いたら奇跡と言われる存在です。」


「そんなの貰ってもいいんですか?」


「もちろん! あなたは――英雄ですから。」


 ちょっと遠慮の気持ちも覚えながらも……ここは好意に甘えさせてもらおう。


「……じゃあ、この子でお願いします!」


「……ふふ、やはりそう選びましたか。――かしこまりました。」


 アルフォンスは微笑みながらも、その目はどこか遠くを見ていた。

 

「いずれ、この子が“あなた方の力になる”日が来るでしょう。それと竜車も差し上げますね。」


「そこまでしてもらっていいのかな……」


「何をおっしゃいますか、ルクスさん! ここからさらに、皆様のお屋敷に地竜用の小屋まで建設する予定でいますよ!」


「そ、そこまでしてもらわなくても大丈夫で――」


 アルフォンスの目は完全に――キマっていた。


「――あ、やっぱりなんでもないです……」

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