第27話『再会の雷鳴と、恋の嵐』(5)
「はあ……本当に何やってんだろうな――俺は。」
ルミネルの作ったプリンを食べながら、一人で呟いた。甘さが少しだけ胸に沁みる。
「お困りのようですな、迷える冒険者よ。」
扉にもたれかかる影。
その声の主は――
「メイラか……?」
「バ、バレた!? バレるの早くない!?」
「早いも何も……声でわかる。」
「そんなことよりも! 何々、さっきのルミネルとの甘酸っぱいあれは! ついにルミネルにも春が――!」
メイラが一人で百面相をするように、表情をコロコロと変える。
「その顔、どうなってるの……?」
「話を逸らさない! 少なくともルミネルはタイガさんのことを意識していると思う! タイガさんはどうなの?」
「……わからない。」
本当にそれしか言えない。
これが恋なのか――それすら俺には"わからない"。
本心から出た"わからない"だった。
「でも――大切な人であることには変わりない……と思う。」
そう言うと、メイラは少しだけ優しく笑った。
「ふふっ……それで十分だよ。きっと、ルミネルも嬉しいと思う。」
彼女の声は、焚き火みたいにあたたかかった。
俺は空になったプリンの器を見つめ、ぽつりと呟く。
「……少し向き合ってみるか。」
「うん、そうしてみなよ。でも、きっとルクスさんもカグラさんも、それにレイさんまでも……きっとタイガさんのことが――」
「え?」
「ううん。なんでもない……きっとこれからわかることだと思うよ。」
「そうか……?」
窓の外では、夜風が静かに流れていた。
月が柔らかく光り――まるで背中を押してくれるように、俺の心を照らしていた。
※
「ふんふんふーん――」
鼻歌が響く。
「フェアリー先輩? 急に来たと思ったら……いきなり人間界を見て、どうしたんですか……?」
「ミリアちゃんも見なよー! ……これは"恋"の始まりだよ!」
「は、はあ……? えっ!? こ、これって――タイガさんじゃないですか!」
「タイガって……あのレイちゃんと転生した子よね? ミリアちゃんも気に入ってるって話の?」
フェアリーは何かを企むように笑った。
「ラブリーには悪いけど……いいこと思いついちゃった!」
「先輩? それって……悪いことじゃないですよね?」
「ふふーん。天界規定は違反しないから大丈夫。ちょーっとイタズラするだけだからー! それじゃあ、ミリアちゃん、まったねー!」
フェアリーは消えていった。
「全く……レイ先輩に負けず劣らずの無茶苦茶な人なんだから――」
フェアリー。
それは“恋”の女神。
“愛”の女神・ラブリーと、二人で一人の存在――。
【あとがき】
甘酸っぱい。




