26-1
――冒険者ギルド
「あ、タイガさん! おはようございます!」
「ミリアさん、あの……以前話してた"メガエル"討伐クエストなんですけど――」
「あ! その前に! この街の領主様から伝言が――」
「……え?」
ミリアはいつも通りの笑顔を浮かべていた。
だが――その笑顔の奥に、ほんのわずかに“緊張”が混じっていた気がした。
「読み上げますね! えっと――」
ミリアは手紙を読み上げ始めた。
『エンドウ・タイガ様。この度の魔王軍幹部第七将軍ベルフェゴール討伐おめでとうございます。これを祝して、我が屋敷へ招きたいと思う次第であります。よろしければ、いらしてください。 ――スウェリア地区領主リーベルト家当主 アルフォンス・リーベルト』
「……領主が、俺たちを?」
思わず言葉が漏れた。
祝いの言葉にしては、どこか――重すぎる。
そして何より、俺たちのような駆け出しパーティーが領主に呼ばれるなんて、普通はありえない話だ。
「報酬などの話もあるかと思いますので、ぜひ。」
ミリアはそう言うが……なんか――異世界の貴族……それに領主なんてロクでもないやつばかりなイメージがある。
「タイガさん? どうしますか?」
「レイたちに相談してから決めます。」
「そうですね……それがいいと思います!」
……どうせ行ったらロクなことにならない。
けど……報酬って言葉には勝てないんだよな――
「――もちろん行くに決まってるわ!」
……ですよね。やっぱりそうなるよな――
「この街の領主の悪い噂は聞いたことがない、私は賛成だ。」
「カグラがいいなら、僕もいいよ!」
「私はどちらでも構いませんよ。」
「んじゃ――行くか! リーベルト家へ!」




