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「――お客さん、もうすぐ着きますよ! 起きてください!」
「――ん、んん……」
ゆっくりと目を開くと、見慣れた門に、見慣れた街並み、見慣れた平原――スウェリアだ。
「ふわああ……やっぱり長かったですね。」
「んぐぐ……そうだね……」
ルミネルとルクスが目を擦る。
「私とモルティナしか起きてなかったぞ。」
「ええ、皆さん爆睡でしたね。ね、カグラさん?」
「ああ……まだ一人寝てるがな――」
レイか――平常運転だな。
馬車の車輪が石畳を踏む音が、少しだけ懐かしく聞こえた。
馬車から降りると、後ろから声がした。
「おーい、タイガ! 聞いたぜ、魔王軍幹部倒したんだってな!」
「ギル! それにコットンも!」
「おかえり。あと――討伐おめでとう。」
笑って手を振る二人の姿が、いつもより少し眩しく見えた。
スウェリアに帰ってきたんだ――そう思った。
「タイガ……今日は――飲もうぜ!」
……たまにはいいか。
「よーしっ! 今日はパーっと行くか!」
「そうですね!」
「うむ、それがいいな。」
「僕も賛成!」
「それはいいわね! ――もちろん、タイガの奢りね!」
「今、どさくさに紛れて……俺に奢らせようとした奴がいるな?」
「な、なんのことかしら!」
笑い声が街に溶けていく。
今日から再び、スウェリアでの日常が始まる――。




