日直日誌
”バキューン!
ガッシャ―ンッ!
ガラスが割れる音と共に、一発の銃声が鳴り響き、ピチピチのギャルは、その場に倒れた。
胸からは、血が噴き出し、彼女は息を引き取った。”
『1年B組 日直日誌』より
佐藤悠真が通う高校の1年B組は、クラス仲が良い。と、よく言われる。
確かに、そうかもしれない。と、悠真は思う。
だって、日直日誌を使って、クラス中でリレー小説を書いているのだ。
1学期に数人の女子生徒達が日直日誌の備考欄に、ふざけて数行の文章を書いたことがはじまりだった。
そこから、日直の生徒が続けて物語を書き足していき、学期の終わりごろは、一つの創作小説が出来上がっていた。学校に迷い込んだ子猫が主人公の、ほのぼのとした冒険ストーリーだった。
現代文を教えている担任と、校長先生が「クラスの結束が深まる」「生徒たちの表現力が育つ」と息巻き、今学期からは1年B組のクラスメイト全員で、一つの創作ストーリーを書き紡ぐことになった。
2学期初めのホームルームで、どんなストーリーにするか、メインのキャラクターの名前などを真剣に話し合った。
全員強制参加で創作するためのルールも設けられた。日直は、必ず3行以上15行以内の文章を日誌に書いて、次の担当者に渡さなければならない。必ず、前のストーリーと正誤性がとれる内容でなければならない。夢オチは禁止…等々。
物語のジャンルは、学園ラブコメで、メインの登場人物は、自分達と同じ高校一年生の男女という事になった。