ご飯
「もしかして、撫でられるの嫌だったかい?すまないね、娘ができたのがうれしくてつい」
そんなことはない!むしろ嬉しかったのだ
思い切って言葉に出せないのが辛い
きちんと声に出して伝えたいのに・・・
僕は行動で示すように首を横に振り、撫でていたアロイスの手を握りしめた
「ちが、う・・・うれしく、て・・・」
精一杯、掠れた声で言った
伝わるだろうか
伝わればいいな
「そっか、なら良かった。これからも撫でていいかい?」
アロイスの表情はまだ戸惑ったままだが嬉しそうに僕に微笑みかけた
この二人は本当に優しい
こんな僕にこんな暖かい表情を向けてくれるなんて
「さぁ!ごはんを食べましょう!お腹がすいて仕方ないわ!お腹がすいていると気分も下がってしまうしね、たくさん食べましょう!」
メイアは空気を変えるように明るく言った
確かにお腹が空いているせいか少しマイナスな気分になってしまうのかもしれない
「そうだね、食べよう。リアが食べやすいようなメニューにしてみたんだ、スープにパンを浸しながら食べるとおいしいよ」
初めて会ったのにも関わらず、ご飯のメニューですら僕が食べやすいように考えてくれていたなんて
ぐぅー・・・っ
腹の虫が鳴る
ーーーーーーまただ、恥ずかしい
羞恥に悶えた僕をみて二人は優しい表情で僕を見つめた
本当に良い匂いがする
メイアは僕を椅子に座らせた、僕の隣にはメイアが座り僕の向いにアロイスが座る
「ふふ、家族で食事できるなんて嬉しいわね。ねぇアリィ、念願の夢が叶ったみたいだわ」
「そうだね、俺も嬉しいよ。まさか娘ができるなんて」
そういう二人は本当に嬉しそうに笑っていた
「「いただきます」」
二人がそう言い、僕も続いて
「いた、だき、ます」
と言った。