家族
汚れを洗い流し、メイアは慎重に傷に触れていく
「大丈夫?痛くないかしら?痛かったら言ってね」
「う、ん・・・大丈夫・・・」
だんだんと声も出せるようになってきた
まだ発声はしづらいが。
「手当が終わったら何か食べましょう。お腹の音も鳴ってるみたいだしね?」
ぐぅーーっ・・・
ーーーーーちょうど鳴ってしまった
恥ずかしい
「・・・・・・・・・」
「ふふっ、私もお腹がすいたわ!早くアロイスのところに行きましょう!」
いたずらにウィンクをして微笑むメイアはテキパキと僕に包帯を巻いていく。
「傷んでいる喉には蜂蜜がいいから、ハニーミルクでもつくりましょうか、少しは声が出しやすくなるかもだしね」
ハニーミルク・・・?
何か、甘いもの?
気になるかも
「さてと、手当も終わったしアロイスのところにいきましょうか!」
僕の手を引き浴室を出てその先にある、階段をあがっていく
1階がお店で2階が住居になっているのだろうか
なんか・・・すごくいい匂いがする
「アリィ、今戻ったわよ。片付けありがとうね、それと夕食も準備してくれてありがとう!すごく良い匂いがするわ・・」
テーブルの上には、野菜がたくさん入ったスープとパン・・・メインには煮込まれたお肉?
すごく美味しそうだ・・・
「おかえりメイア、片付けくらいどうってことないさ。それより・・・えっと名前がわからないんだってね。何と呼べば・・・」
少し困った表情をしながらも優しく微笑むメイアの旦那さん・・・
その問いに僕の代わりにメイアが
「リアよ、私の名前と貴方の愛称からとってつけたの!今日から私たちの娘になったのよ」
・・・そんな急に伝えて大丈夫なんだろうか?
困らないのだろうか・・・
「なるほど!リアか、いい名前だね。そっか・・・娘か。いやぁ・・・嬉しいな、こんな可愛らしい娘ができるなんて!俺のことはぜひにお父さんと呼んでくれ!パパでも構わないよ」
???
受け入れが早すぎないか??
パパ呼びは少しハードルが高い気がする!
でも・・・こんな簡単に受け入れてもらえると思わなかった
「おとう、さん・・・?」
そう呟くとアロイスは満面の笑みを浮かべ僕の頭を撫でた
ああ・・・この人も暖かい
この二人はすごくあたたかいんだ
家族ってこんなにも良いものなんだろうか
それと同時に恐怖という感情が芽生えた
記憶が戻ったとき、以前の僕がもし・・・。
そして痛覚がないこと
気味が悪いと二人からもし、嫌われてしまったら?
怖い
怖い
すごく怖い
嬉しさ、幸せ。
それといつか失うかもしれないという恐怖
怯えたようなそんな表情をしていたのだろうか?
二人は僕の顔を見て少し戸惑った表情を浮かべた