傷
名前が分からない。
そう伝えた後、二人は沈黙したが
メイアは
「そう・・・名前はとりあえず置いておいて手当てしましょう。傷が沁みるかもしれないけどお風呂に入りましょう。まずは血を落とさないとね」
そういって僕を浴室へ連れていった
傷が沁みる・・・か
痛覚がないとも知ればどう思うだろうか?
気味が悪いと思われるかもしれない
それでも二人には何故か隠したくないと思う自分がいる
何故かはわからないが・・・。
脱衣所で服を脱ぐと僕の体を見たメイアはヒュッと息を飲むような音が聞こえた
そんなに酷い傷だったのだろうか?
後ろ姿はさすがに見えないか分からないが。
「ねぇ・・・痛くないの?凄いわよ、この傷・・・。背中全体にその・・・鞭とかでやられたような傷だったり・・・」
震えたような声で問いかけてくる
正直、痛くない
痛みがないせいでどんな風になってるかも分からないけど
「いたく、ない・・・です」
僕がそういうと、メイアはこちらを悲しそうな表情で見つめた
そんな表情を見た僕も申し訳なく感じてしまった
「そう・・・わかったわ。でも洗い流すと痛むかもしれないから・・・」
メイアはそう言うと優しい手つきで僕の体を洗い流し始めた