出会い
痛覚はともかく記憶がないのが面倒だ
僕が誰なのかも分からない、今までどこにいたのか
どうしてこうなっているのかも分からない。
この衣服についている血は恐らく自分の血だろう
痛みがないが、この傷が何よりの証拠だ
ただ、この両手についた血は一体・・・?
自分の血では無いような気がする
分からない。ただそう直観的にそう感じた
今、考えても思い出せないのは確かだ
考えても無意味だろう
これからどうしようか?
見た感じ手持ちも無さそうだ
悩みながらその場に立ち尽くしていると、
「貴女・・・大丈夫かしら?」
背後から声が聞こえた
振り返ってみると女性が立っている
「・・・?たぶ、ん・・わから、ない」
返事をしようとするも上手く声が出ない
長い間発声していなかったのだろうか?
詰まる感じがする
「ずいぶん酷い怪我をしているのね、血だらけだわ。聞いた感じ喉も傷めているみたいだし声も無理に出さなくていいわ」
こちらを心配してくれているのだろう
言うとおりに無理に声は出さず頷く
「ついてきて、手当してあげるわ。あっいきなり話しかけてごめんなさいね?その状態で話しかけられたら不審に思われても仕方ないわよね、私はメイア、この近くにある月夜亭のオーナーよ」
月の光が差し、姿が見える
照らされたメイアの姿はルビーのように真っ赤な長い髪とエメラルドのようにキラキラと綺麗な瞳を持った、どこか炎をイメージするような女性だった。