プロローグ
非科学的微メカロボ要素のファンタジーです。
よろしくお願いします!
あつい、だれか、たすけて……
その子は死にかけていた。
(おかあ……さん…………)
燃え盛る建物の高い窓から、子どもだけを外に出して、母は逃げなさいと言った。
おかあさん、おかあさんと泣きわめく子どもに、何度も、何度も、逃げなさい、と。
子どもは泣きながら、それでも頑張って歩き出したが、ほとんど外に出たことのないその子の柔らかい素足はすぐにズタズタになり、炎の影響下から脱することすら難しかった。
大きい四角い建物は、窓から轟々と炎を吹かせ、もう随分離れたと思った子どもの背中を熱風で焼く。
(おかあさん……)
建物周りの森にやっと逃げ込んだが、暗い、足場の悪い森ではとても歩けない。
(もっと……遠くへ)
森の木すら熱気に煽られて火を吹き始めている。
ここもすぐに炎に包まれるだろう。
なんとか這いずるように進んでいた子の動きが、ついに止まった。
(ああ……もう……。おかあさん……ごめんなさい……)
その時、
ふわりと白い布が背中に掛かる。
ひんやりとしたその銀色に光る白い布は、子どもを熱から守り、焼けた皮膚を癒すように優しく包み込む。
子どもは、母が今息絶えたことを知り。
布の端を抱き込むように体に巻き付け、気を失うまで静かに泣き続けた。
ご訪問ありがとうございます!
プロローグ、1〜5、エピローグで終わる短編です。
そのうち第二部も予定しています。
読んでいただけるだけで嬉しいですが、
ご評価、ご感想、いいね、ブックマークなども、もし頂けたらなお嬉しいです。
よろしくお願いします!