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神様と紡ぐ物語  作者: かーたろう
第一章 出会い、そして羽ばたき
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第8話 二度目の邂逅

やっぱり避けられなかった、両者の出会い。果たしてどうなる事やら…

 今日は土曜の為、授業は午前中だけだ。

 そして、学校が終った放課後、和範は街で昼食を済ませた後、特にやる事も無いので家に帰る事にした。後にして思えばここで、何か適当にでも時間を潰しておけば厄介事を避けられたんだろうなと思うが、この時点では知らなかったしどうしようもない。それに、さらに後ではこの出会いが無ければ色々失っていたかもしれないのだから寧ろ感謝すべきか。まあ、今はそれはおいておき、和範は自身の家に向って帰っている最中だ。

 ここら辺にある家は、他の住宅街に比べて大きな家が多く立ち並ぶ。

 その中でも相馬家はかなり大きな方だろう。昔のご先祖さんがここいらの地主だったようだから当然と言えば当然か。和範の父は、少し大きな会社の課長補佐と言うなんとも微妙な地位だが、家以外にも多くの土地を持っていて、他人に貸している為に本収入に比べ副収入がかなり多く、1:15の割合だ。これだけ違うなら働かなくてもいいのでは?と考える所だが、父曰く、人間楽をしだすときりが無いとのこと。生活の方も本収入だけでまかない、副収入の方は土地と屋敷の維持費以外はいざと言う時の為に半分は貯金に半分は金塊で貯蓄している。全部現金で持たないのはいつハイパーインフレが起きたり、国家経済が破綻してもいいようにだとか。

 …なんとも嫌な未来を見据えた貯蓄の仕方だ。

 だが、そういう石橋を叩いて渡る、と言った考え方は和範も大いに賛成しており、日頃から実践していた。八重香の事や、術が使える事を今まで家族にすら隠し通してきた事からもそれは窺えるだろう。だから、この前の公園の時ですら咄嗟に変装をする事すら出来たのだ。

 だが、どんなに気をつけていてもどうしようもない時がある。

 それはたとえば少女の形をした偶然と言う名の運命との遭遇であった。








 いつのまにか住宅街まで入り込んでいる事に気付かなかった真理子だが、逆方向から歩いてくる一人の少年に何か違和感を感じた。見た事は無い。あるいは、すれ違う程度の事はあったかもしれないが、記憶に残るような出会いはしていない…筈だ。なのに、何故かこの少年を知っていると真理子の体が訴えかけている。

 そんな事を思う内に、自然と真理子の歩みは止まり、その場でじっと少年を凝視し続けた。

 すると、凝視されるのに気付いたのか少年が真理子に声を掛けてくる。


「どうかしましたか?」


だが、聞かれた事に答えずにただジィーっと凝視し続ける真理子を見て、返答は期待できないとでも判断したのか少年はその場を立ち去ろうとする。

 真理子が少年に声を掛けたのは、まさにその瞬間であった。


「待って下さい。

 貴方、以前どこかで私とあった事がありませんか?」


その真理子の問いに少年は少しいぶかしんだが、しばらく考え込んだ後、首を振りつつ返答をした。


「いいえ。私にはそんな記憶はありませんよ。

 でも、もしかしたらどこかですれ違ったりしたかもしれませんね。」


 少年はよどみなく答えた。

 真理子の問いに特に驚くでもなく丁寧に答えてくる。

 少年に特におかしい所は無い。

 真理子も考えていた可能性を指摘されてそうか、とも思う。やはり思い違いかと考える。

 だが、何かが引っかかる。何かが引っかかるのだ。

 そこまで考えて不意に思い至る。完璧すぎるのだ。此方の問いに考え込んだり、その後の返答などが。まるで、内容を予め知っている劇の台詞を言うような。此方がどんな事を尋ねてくるのか事前に予測していて、それに対応した台詞を言っているような違和感。ぶしつけな問いにいぶかしんだり、考え込む時間の長さも絶妙だ。そう考えると、少年のしぐさはまるで此方に違和感を与えないように計算され尽くした動きのように感じる。現実に不意にあんな事を尋ねられ、あんなに不自然さの無い対応が出来るか?

 少年の行動は、不自然な部分がない事が逆に不自然さを感じさせていた。

 だが、所詮推測に過ぎず、またこの少年とあの異能者が同一人物かは確証が無いので、真理子はそのまま少年に疑惑の視線を向け続けるのだった。






 真理子に視線を向けられ続ける少年とは勿論彼、相馬和範であった。

 和範は表面上は此方を凝視し続ける真理子に困惑の視線を向けるという演技に徹していた。

 だが、内心では大いに焦っており、八重香と相談を開始する。


(八重香!

 俺、何かやらかしたか?

 事前に考えていた相手の幾つかの問いに対する自然な対応をしただけなんだが。)

(妾も対応は完璧だったと思う。が、もしかしたら完璧すぎたのかもしれんのう…)

(完璧すぎた?)

(うむ。完璧すぎるがゆえに相手に違和感を与えた。

いや、もしかしたら対応を練られていたと考えたかもしれんのう。)

(くあぁぁーー!

 下手に練りすぎたからそれが逆に違和感になっちまったか…)

(もうこうなった以上さっさと話を切り上げてこの場を立ち去ったらどうじゃ?

あの時とは、顔は全然違うんじゃし)

(そうだな、そうしよう)


と相談を終え、真理子にそろそろ行っていいかと言おうとした矢先、また、絶妙の間で真理子が問い掛けてくる。


「そんな事ありません。私と貴方はつい最近出会った筈です。」

「いや、そんな事言われても此方は覚えがありませんし…」


 そう答えるが、和範は内心、真理子はもう殆んど確信しているんじゃないのかと考える。

 それなら不意をついてやっちまうか?

 いや、口に詰め物したり眼鏡やオールバックで殆んど別人に成りすましていたあの時と違い今回は変装をしていない。相手を殺しでもしない限り後日詰め掛けられるだけだ。

 などと、悩んでいた所に不意に真理子が謝ってくる。


「ごめんなさいね。」

「はっ?」


いきなり謝ってきたので疑問の声しか上げられなかったが、続きを聞いて驚愕する。


「もし違ってたらごめんなさいね。

ひふみよいむなやこと。神法を持ちて、土霊の気、風霊の気を足し土性の風とす、風槌!」


この女っ!

 いきなり祝詞を用いた術を発動してきやがった。

 しかもあれはあの阿保男を吹き飛ばし昏倒に追い込んだ術だ。

 それを瞬時に悟った和範は形振り構わず横っ飛びに飛び転がる。そのおかげで術は避けれたが、真理子に確信を抱かせてしまう。


「今のに咄嗟に反応できるなんてこの術の事を知っていなければ不可能です。

ようやく見つけました。あの時の異能者っ!」


この非常識な対応のせいで隠し事がばれてしまい和範と八重香は二人で嘆息したのだった。

対応は、かーたろうなりに自然さを考えて書いたつもりですが、なんとなく不自然な気がします。でもどこが不自然なのかよくわからない…。できればご指摘していただければ幸いです。後日の書き直しの参考としますので。

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