魔法はイメージという才能
しかたない、とヤトラは果実とジュジュからもらった青葉をキッチンの上に置き、身構える。
魔法はイメージだ。
原初、魔法に詠唱なんてものは必要なかった。
何故なら自らが思い描いたイメージを現実のものとするのが魔法であり、そこに言葉はいらない。
では何故詠唱が生まれたのか。
理由は簡単。効率が良かったから。
イメージは才能である。自分が扱う魔法を細かくイメージすればするほど、魔法は強力になる。
それは万民が扱えるようなものではなかった。
そこで編み出されたのが、言霊によって魔力をコントロールし、イメージがあやふやでも近しい力を発揮できるようにする詠唱だ。
しかし何故か今はそれが使えない。
ならばイメージすればいい。詠唱など使わなければいい。
「魔法は自由なんだ。皆それを忘れている」
『その割には思いっきり唱えていたじゃねーか』
「それはそれ。これはこれ」
光をイメージするにはどうしたらいいか。
光と言えば太陽だ。
直接見れば眩しいが、生活になくてはならないもの。
人々に安心を与え、植物の成長を促し、闇を払うもの。
手を広げ、イメージする。
ほら、夜明けの海から太陽が昇ってくるように、てのひらからの向こうから太陽が顔を出すのをイメージすればよい。
あとはそこに少しばかりの魔力を分けてあげるだけ。
「……ほら、出てきた」
小さな太陽が浮いていた。
太陽はすすす、と昇っていくと、天井付近でその位置をキープする。
ヤトラの拳よりも一回り小さい可愛い太陽だが、明るさは十分だ。
とはいえ込めた魔力から予想するに、二時間ほどで消えてしまうだろう。
「スクロール」
今度はちゃんと紙とペンが現れた。
詠唱による魔法を使う事が出来たこと、詠唱で失敗してもイメージで同等の魔法が行使出来たことを鑑みるに、やはり弱体化のようなものが自身に掛かっているのだろうか。
……そのあたりも追々《おいおい》調べる必要があるな。
ともあれ今はテーブルの上に広げられた紙に向かう。
『なにするんだ?』
「これからの行動計画でも立てようかと思ってね。今世はゆっくり楽しくをモットーに生きようかと思っているのだが、生憎と楽しさを得るにはそれなりに対価、つまりお金が必要なのさ。話に聞けば、ここには極稀に人が来ることがあるそうじゃないか。ならここは文明とそう遠くない所なんじゃないかと考えてね」
『お金になりそうなものを売るってか』




