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そして──

よく晴れた日にアネーデス王国では国民全てが祝福する結婚式があった。


ゼノン王太子とシオン元男爵令嬢の結婚式だった。


「ゼノン様、私は幸せです」

「私もだよ。自分まだまだ未熟だ。私が間違える事があれば間違いを正してくれるかい?」


「無論です。完璧な人間などいませんわ。お互いに足りない部分を補って、この国をより素晴らしい国にしていきましょう♪」


ゼノン王太子は力強く頷くと、シオンの唇にキスをするのだった。


アネーデス王国は平民、貴族、商人など民が一致団結して、アネーデス王国は発展していくことになる。



一方で、イモート王国では──


ガシャン!!!

地方に追放された聖女リリスは暴れていた。


「どうして私がこんな辺境に追いやられないといけないのよっ!!!!」


今のリリスには、ユリウスが恋い焦がれた可憐な少女の姿はなく、贅沢に溺れて、ブクブクと太った醜い姿の女になっており、聖女としての力も失っていた。


あれから聖女派と貴族派で対立が続き、一時期、国が乱れた。しかし、何年経っても貴族としてのマナーが身に付かず、国王はユリウス王子の王族としての籍を抜き、1代のみの公爵の地位を与え、王都から遠く離れた辺境の地に聖女リリスと共に、事実上の追放を言い渡した。


教会は強く非難したが、リリス令嬢の素行の悪さは知る所であり、贅沢ばかりするリリスを扱いきれないと見切りをつけて、見送る事になった。戦争時であればより重宝された癒やしの力だが、平和な世で、病は治せないと言う事もあり、ポーションで賄える力に教会も手放す事にしたのだ。


そこに、クロード王太子とフレイ王太子妃に子供ができた事もあり、急速に聖女派は力を失っていったのだった。


その裏にはアネーデス王国の援助もあったのは公然の秘密であった。


「シオン、どうしたんだい?」

「いえ、報告書に目を通していただけですわ」


隣国のイモート王国の状態が落ち着いてきたと言う報告書であった。


ユリウス王子が追放される前に、側近であった二人はすでに国外追放されていた。


騎士団長の息子は、半分騙されただけではあったが、本来は止めるべき立場であり、せめて父親に相談するべきだった。


宰相の子息は聖女リリスを自分の者にしたいと画策し、卒業パーティーでユリウス王子が失態を起こせば、聖女リリスを手に入れるチャンスが来ると、【教会】から甘言され実行に移したのだった。こちらは宰相が激怒し、子供を作れない身体にしてから無一文で追放された。


その後の彼の姿を見た者はいないという。


そして、リリスの暴虐に我慢出来なくなったユリウスは妻であるリリスを手に掛けて、自らも自害するという結末になった。自害した時のユリウスの姿はとてもやつれており、とても20代とは思えない姿だったという。





「本当に御先祖様の言う通りになりましたわ。貴族派に手を貸して正解でしたね」


エチゴヤ男爵の昔いた異世界転生者は書物に残していた。今後、聖女と名乗る者が下位の貴族に現れて、王子を射止めて国が乱れると。

故に、エチゴヤ男爵は敢えて下位貴族として、市井に目を配り、もしその様な者が現れた場合は国の為に行動するようにと、先祖代々受け継いできたのだ。


まぁ、今回は自らが王子に見初められたり、聖女が隣の国に現れたりと、多少の誤差はあったのだが。


それでもシオンは想うのだった。


聖女の力を持つリリス令嬢が、真面目に貴族のマナーを身に付け、贅沢に溺れず民の為に聖女の力を振るえば別の未来もあったのではと。


シオンは報告書をテーブルに置くとお腹を擦った。

これから生まれてくる子供には、できるだけ大きな問題を受け継がせず譲りたいと慈愛に満ちた目で見つめるのだった。



こうして両国は、より強固な結びつきができてより発展していく事になるのだった。



【FIN】



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― 新着の感想 ―
[良い点] ネーミングがシンプルなだけに中身がダイレクトに入ってきて違いが際だって面白かったです。 先祖一体どんな予言を…ネタかもしれませんが。家名にそれもってくるとは、結構渋いですね…!若者ではない…
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