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かなり多数の魔物と戦っていたがなんとなく全ての魔物を倒してしまった。
やっぱり私には魔力があったことをようやく実感した。
なんというか、体内にある魔力が少し減っていることを感じたのだ。(それでも8割以上まだ残っている感覚だが)
こんなことは初めてだった。
どれくらいいたのだろうか・・・?数えきれないくらい倒した気がする。
そして、なぜかエミリアさんがいて、驚愕の目で私を見ていた。
「えっと、これ、あなた一人で倒したの?他のメンバーは?・・」
「他のメンバー?私以外誰もいませんけど。」
「いやそうじゃなくて、黒き誓いのメンバーは?確か」
「黒き誓いなら・・・全滅してしまいましたよ」
「え・・・そうね。魔王強いものね」
「ってなんでエミリアさんいるんですか?」
「それはたまたま近くにいて、魔王城の異変に気づいたのよ。魔王が倒されると魔王城が崩れると、宮廷魔術師の時に話を聞いたことがあって・・・なのに、崩れないから、謎を時に」
「え、エミリアさん宮廷魔術師だったんですか!!だからあの時」
そう話した途端に、城がガタガタ崩れ始めてきたのだ。
「時間差かい!ほら、やっぱり崩れるのね!とにかくここを出ましょう。魔王が倒されると魔王城は崩壊するようになっていて」
「・・・やっぱり”魔王城”だったんですね!」
エミリアさんが用意していた魔道具で魔王城から脱出するとガタガタと揺れ・・・魔王城は崩壊した。
そして、跡地からは・・・精霊様が出てきたのだ。
精霊様、何か話したがっているようだったので地上に降りる。
「私を救ってくださりありがとうございます、勇者様。私はこの土地の精霊と申します。精霊の力を封印され、魔王に長年の間魔力だけを吸い取られ続けていました。おかげでこの土地は荒れ果てています」
そう。ここにはもともと精霊様が住んでいたのだが、魔王がここを制圧し、魔王の力にされていたのだ。
「貴女様には、ぜひこの土地の復興をお願いしたいのですが、お受けいたしますでしょうか?お礼はなんでもします」
そうね・・・・
「私たちに任せてください!」
「エミリアさん!?」
「ありがとうございます。改めてお礼させていただきますね」
そう言って精霊様は薄くなっていった。
「エミリアさん、どうするんですか?この土地を」
「いいの、実は以前いた国から宮廷魔術師をクビにされてね。だから冒険者として生活することになったんだけど、いつか自前のアトリエをどこかに建てたかったのよ。それも人の目につきにくいところにね」
「へーだからこの土地を選んだんですね」
「そう。精霊の願いとやらも叶えてあげればいずれ私にとって有利になると思ってね」
でも、まだ土地だけだよね・・・と思っていたら、エミリアさん、建物ごとアイテムボックスに入れていたようで、アイテムボックスから完成済み建物を設置したのであった。
「はい、”アトリエ”です!」
アトリエという名の建物。それは立派な建物だった。大きさ?それは領主様がすむ豪邸並の大きさだ。
私はアトリエの中に入る。
中も広い。
「まあ住居も兼ねているけどね。大半は私の研究部屋だからね」
エミリアさんによると、研究のしすぎで国の役に立ってない!と宮廷魔術師をクビにされたのだとか。その国は魔法を軍事的にしか捉えておらず、魔法の一般的な使い方というのを軽視していたのだとか。そして国を追い出される時に建物ごと収納して、いつでも出せるようにしていたのだとか。
「そういえば、パーティー名どうする?」
「パーティー名ですね・・・ってパーティーですか?」
「この際だから私とあなたでパーティー組もうかと思って。あなたは私より魔力が相当大きい、いや大きすぎる。あなたと私が揃えば最強魔術師パーティーができるのかな、と思って。」
「えっと、実は私の本職はイリオゴストの冒険者ギルドの職員でして、主に受付嬢をしています。そうそう、私がエミリアさんの冒険者登録をしたことを思い出しました」
「そうだったの!?あの時の受付嬢はあなただったのね。」
「そうです。あと一応冒険者です。Cランクの」
「Cランクって・・・私と同じだよね。ってもっとランク上だと思ってた。もっと大勢の魔物に普通に戦っていたからね」
「あ・・・でも以前は戦えるとは思っていませんでしたよ、ほんの数日前は。冒険者登録したのエミリアさんより後でしたし、あのCランクはアイテムボックスもちだったからですし、そもそも冒険者になったのは、急遽私が黒き誓いの荷物持ちになることになったからですから・・・あ、でも私も普通に戦えることはここ数日わかったことですしね。私もパーティー組むのに賛成です!」
「決定!では後日パーティー結成の書類をギルドに持っていこうか、っていうよりフェリがギルド職員だからフェリに渡せばいいよね!」
「あ、フェリと呼ばれたの初めてです・・・」
「そうなの?じゃあなたのニックネームはフェリで決まり。」
「えー」
「そうそう、パーティー名は・・・私は魔王城の箱庭がいいかな。魔王城の跡地にアトリエがあって、その近くに箱庭を作ろうかなって」
「魔王が入っているとなんか魔族と思われないですか?」
「うーん。そうね。また後で考えよう」
そんなこんなで雑談していたが、エミリアさんの口から
「そうそう。あなたの魔力を測ってみない?実は私もあれをみて気になっていて」
と出たのだ。私はすかさず答えた。
「はい」
私が6歳の時に魔力を測った時は1未満。使えない扱いだったのだ。
それがここ数日で急激に魔力が使えるようになったのだ。
いったい、なんで急に魔力が増えたの?
私には分からなかった。
どちらにしても、まずは単純に私の現在の魔力を知りたい。
「はい、これが魔力を測る高性能測定器ね。」
「すごい、でかいです・・・」
形的には、椅子の左右に巨大な縦長の箱が2つある。
私はその椅子に座り、エミリアさんが機械みたいな魔道具を操作する。
「はい、じっとしていてね。行くよー」
測定器が動き出す。
私の最新の魔力値の結果が出た。
1,000,000,000以上。
これは、(観測できている範囲で)世界最大の魔力を持つ神竜族(10,000,000)よりも多いのだとか。
しかも最大値はそれ以上。
私はポカンとしていた。
エミリアさんは笑い過ぎておかしくなってる。
「でも、・・・こんなに魔力があるんですね。以前に測ったときは魔力がなかったのに。正確には1未満だったんですけど」
「でも魔力が多すぎるときも、一般的な魔力測定器だと魔力なし、もしくは1未満と出ることがあるよ?たとえ、それが10,000,000オーバーでもね。」
「え、そうだったんですか!?」
想定外の事実。
つまり・・・昔から私は相当魔力があったのだ。にもかかわらず測定器のせいで魔力がない扱いされていたのだ。
そしてもう一つ気になることがあった。
「じゃあ、なんで私は、最近になって一目見ただけで魔法を覚えられるようになったんでしょうか・・・」
「そうなの?そうね・・・実は私もわからなくてね。これからの研究対象ね」
「そういえば、ここからイリオゴストって結構離れていますよね」
「そうね・・・ここから最短で5日はかかるわよ」
「そうですよね。魔王城とかパーティーの件とか、そもそも私が無事だということなど早くギルドに伝えたいんだけどね」
この私の困った顔を見て、エミリアさんが閃いたようだった。




