201910061230
「一体、何があったんですか?残念なお知らせとはいったい」
私はすかさず返信しました。
「実は、私12月に勇者の称号をもらうことになりました!」
残念どころか、それって相当栄誉のあることですよね。
「それってとってもいいことじゃないですか!・・・でもなぜ勇者の称号を?」
「それがね・・・フェリが倒した魔王のおかげよ」
「魔王を倒したのは私なのに、なぜ・・・あ。そうでしたね。イリオゴストを出ていないからですね」
そうなのだ。
あの時は(ノアくんが転移魔法を使ってくれたおかげで)私はイリオゴストを出ていないことになっていて、パーティーメンバーの中でエミリアさんしかイリオゴストを出ていない・・・つまりエミリアさんが倒したことにならざるを得ないのだ。
正直あの門は、転移門や転移魔法にとっては邪魔でしかないのだ。
(つまり、"残念なお知らせ"とは私にとって残念の意味のようでした。)
そしてエミリアさんが続けます。
「実はね、それがきっかけで、私は宮廷魔術師に復帰することになってね」
「そうなんですね」
「なんでも、デモンズが完全に消滅したときに大臣が国王を説得してくれていてね。というか完全に消滅したというのがよくわかっていないんだけど」
「完全に消滅したというのは、どういうことなんでしょうか」
あ、あれですか。私が精霊様に扮したデモンズを倒した事を言っているのかな・・・と思っていたら。
「なんでも冒険者たちの間で複数目撃されたデモンズは・・・実は死に戻りの姿。」
あーそういえばブラックドラゴンのクロエをデモンズと勘違いしてましたね。
「その死に戻りのデモンズもライゼンに倒された・・・と言っているけど、あのデモンズはブラックドラゴンのクロエで、それをライゼンが収納したから・・・てっきりそれでデモンズは消滅と判断されたんだけどね。そうなると本来の死に戻りのデモンズは」
「それなら大丈夫です。あのあと死に戻りのデモンズは私が倒しました。ちなみに死に戻りの姿・・・精霊様の姿そのものでした」
「あら、抜かりはないのね。って・・・精霊様が?」
「そう、デモンズは精霊様に扮していたんです。まあこれはある書籍がきっかけでわかったんですけどね」
「私は見事に騙されてたわ。だって勇者様とかもっともなこというんだもの」
「そうでした、"宮廷魔術師の復帰"はいつぐらいになります?」
「来月からよ。でも明日にはメリングーンを去ることになるかな。せっかくメリングーンで借りていたアパートの一室は結局わずか2週間程度で手放すことになったんだけど」
「・・・そうなんですね。」
「しかも馬車がケーブル王国から直接来ているのよ、ゼノアートから乗り合わせている護衛付きで。自分専用の馬車だったらどれだけ楽だったか」
そうだったのか。これは私も盲点だった。自分専用の馬車を買うことで隠れて自由に移動できるんだった。
そうか・・・エミリアさん勇者ね・・・私のおかげではあるんだけど。
そして復帰おめでとう。
そうなると、ギルドパーティー「ステラの箱庭」はどうなるんだろう。
私が移動中の扱いとしていた兼ね合いで活動開始は11月17日以降にしていたんだけど、今度はエミリアさんの都合がつかない。
「そうそう、フェリ。国軍、いや宮廷魔術師と冒険者は兼職できないのは知っている?」
「あ・・・そういえばそうでしたね」
そうなのだ。宮廷魔術師は冒険者にはなれないのだ。
一応宮廷魔術師にも冒険者と似たようなランクはあるらしいけど。
「そうなると・・・ステラの箱庭は、どうなるんでしょうか」
「残念だけど私が抜けざるを得ないわ。私の方で今日付でパーティー脱退手続きはしておくわ。」
「そうですね・・・・せっかくパーティー組んだのにあまり活動できてなくて。」
私は旅をしていたこと(今も旅をしている扱いであること)、エミリアさんはアトリエの整備や魔法研究をしていたこと、ユイシアさんは日本の会社員で忙しそうだった。
三人が揃ってパーティーを活動することがほとんどなかったのだ。
「いいの。短い期間でも色々できたからね」
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私とユイシアさんは揃ってアトリエへ向かいました。
なぜかって?私はエミリアさんを抱きたいんです。
「どうしたのフェリ?」
「だって、もう会えなくなるから」
「フェリ何言っているの?これからもずっと会えるから」
「だってエミリアさん宮廷魔術師に」
「そうよ。でもアトリエを離れるのは1〜2ヶ月くらいよ?あとはここに住むと思うわ」
「でも宮廷魔術師になると王都にずっといるんじゃないんですか?」
「あ、後で王都に着いて落ち着いたら、専用の宿舎に転移門を仕掛けるから大丈夫!」
「そうだったんですね!エミリアさん!」
あくまで宮廷魔術師になるためにギルドパーティーを離れるという話でした。
「トオル、おめでとう。」
「ゆいも来てくれていたのね。ありがとう」
三人でのギルドパーティー活動はできなくなりましたが・・・それでも、これからもずっと会えるみたいです。
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ユイシアさん、さっき撮った動画をエミリアさんに見せてます。
「トオル、実はさっき二人でこんなの撮ってたんだ」
「これって・・・二人で撮ってたの?ずるい」
「だってトオル歌が下手っぽいから」
「下手というわけじゃなくて、ただ昔の曲しか知らなかっただけだから。でも二人とも相当練習したんでしょう?」
「僕は練習していたんだけどね。実は・・・フェリシアは全く練習していなくて、これが一発本番なんだよ」
「これで!?歌うますぎるんだけど。フェリ、本当に全く練習していないの?」
「本当にしなかったです。言ったじゃないですか。私は曲を一回聴けば覚えるんです」
「なんなのこの天才・・・」
「そうなると・・・やっぱり僕とフェリシアで音楽ユニット組もう。ユニット名は・・・」
「ユニット名も何も、すでに私たちパーティー組んでいるじゃないですか。ステラの箱庭。」
「そうだった。じゃあ"Stella's Garden"ということで」
「えー、結局名前変えるんですか?」
「違う。ただ英語に訳しただけだよ。」
「うーん、それだったら|ステラの箱庭《Stella's Garden》と併記するのは?」
「まあ、それもいいかもね。」
「ふふ。まあパーティー名は自由に変えられるから、後で二人でパーティー名変えたくなったら変えてもいいわよー。私は抜けるから」
「はーい」
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「そういえばだけど、"ユニット"の方のニックネームはどうする?」
「ニックネーム?エミリアさんからつけられた"フェリ"でいいですかね。エミリアさんしか呼ばれてないけど」
「フェリか、意外だった。君だったら"ステラ"とつけると思っていたんだけど」
「なんでですか?」
「だって、君がつけたんでしょう?"ステラの箱庭"。」
「そうでした。」
こういう名前をつけるときになぜかステラという名前が思い浮かんでいだのだ。
「ところでなんでユイシアさんは"きらら"という名前にしたんですか?」
「もしかして"きらら"を芸名だと思っていた?雲母は僕の名字だよ?」
「え・・・そうだったんですか!?」
「そう。あれ、最初に言っていたと思っていたんだけどな・・・」
フェリシアはこれでも4000年生きているんです。多少のことは忘れますよね・・・
いや4000年生きること自体ありえないけど。
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