201909241059[DEMONS AFTER STORY Ⅰ]
SIDE: ランダン・チェスター
俺はAランク冒険者である。長年冒険をやってきたから腕には自信がある。
さて、ギルドでは上位者のみの依頼が来ていた。
それは魔王デモンズの討伐。
魔王デモンズか・・・色々おかしいやつだな。
「ステラの箱庭」というCランク冒険者パーティーなのだが、魔王を倒したと主張したのだ。確かに魔王の王冠を持っていた。
パーティーメンバーのエミリア・ガーランドは、冒険者として新米ではあるがかなりの実力者のようで、確かに魔王城に近いところに生えている天使草の依頼を受けており、その依頼完了のついでに倒したのならならあり得る。
そして、依頼内容的に倍の速度で移動していたが、それも移動手段が「滅多にない速度を出せる貴重な馬」であればあり得る。
辻褄が合うように見えたが、今回の魔王デモンズが生きていたという事実。
エミリア・ガーランドらの「ステラの箱庭」は、確かに魔王を倒した上で「魔王の王冠」を手に入れたと報告している。
だが、実際には魔王デモンズが生きていた事実もあり、現時点では魔王により作られた偽物の可能性があるとのこと。
つまり、魔王は「ステラの箱庭」に魔王の王冠を渡して、倒されたように演技をした。
それにより魔王は弱いというイメージを植え付けた。
そして生きていたのに、あたかも復活したように見せかけたのだ。
俺にはそうとしか思えない。
まずは魔王デモンズの討伐だな。
アレラタのギルドにて、Aランク冒険者ら20名のパーティーがいる。
そのパーティーは本隊と先行隊と分かれる。
俺とシュリックが先行隊だ。
とても早い貴重な早馬を引き連れて、俺は魔王城へ先行する。
そして魔王城の近くの死角のあるところにパーティーが効率よく回るための基地を作り、魔王を討伐していくのだ。
そして俺らはゴブリンの住居の跡地についた。
「ここか。魔王を目撃したとされる場所は」
「この辺だな。ここからは慎重に行こう」
そして、見えた。竜だ。
「竜が見えたぞ。気をつけろ」
「確か魔王が竜の姿になったと言っていたが」
ところがシュリックは異説を言った。
「魔王デモンズの真の姿が竜?俺はそんなのあり得ないと思うな。考えてみろ。数千年生きているライゼンとは違いデモンズは世襲しているぞ。それにデモンズ一族は代々人型だ。俺は、魔王デモンズ、いやデニス・デモンズはすでに死んでいて、新しい魔王が生まれたとみる。」
「ばか、シュリック。そんなことがあるか。先代魔王が死んでから新しい魔王が生まれることがあり得るのか???少なくとも魔王デモンズの世襲の時には魔王デモンズが二人いたとも記されている」
「そもそもだ、チェスター。ライゼンは稀に竜になるとされているが、デモンズが竜になったことは一度でもあったか?」
「そういえば一度もなかったな。だが魔王たるもの、予測不能なことはいつでも起きる。例えば魔王の王冠がこちらにあるにもかかわらず、魔王が生きていた例とかあったか?」
「・・・確かにないな。どちらにしろおよそ二日後に本隊が来る・・・」
竜が魔王の可能性と、実は魔王が魔王城にいる可能性。
悩んでいるとシュリックがあるものを示した。
「実は言い忘れていたんだが俺はある秘宝を持っている。”魔王に向けると光る”という代々伝わる宝石だ。これを向ければわかるだろう」
「それだ!」
俺たちはある作戦を取ることにした。
まずはシュリックの秘宝により魔王の有無を確認する。
もし魔王でなければ、俺が竜の相手をしている間に、シュリックが魔王城に侵入し、戦闘の準備を整えるための基地づくり。
もちろん竜との戦闘になる可能性も考慮した準備だ。
なお、もし仮説が外れて、もし魔王であればこの作戦は一旦白紙とする。
だが、竜はブラックドラゴンかそれ以上だ。下手に動けば命はない。
現にSランクとされたアラン・スミスでさえ、ブラックドラゴンに一撃で倒れた事実。
まずは命を優先する。
そして辿り着いた結論は。
「二人同時に魔王城へ向かうが、少しずつ離れて竜を錯乱させる」ことだった。
竜は一体だ。二人同時を追跡することなどできるはずがない。
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SIDE:シュリック
俺は竜に対して宝石を向ける。
「やはりな」
俺の思った通り、あの竜は魔王ではないことが確定した。
作戦決行。
俺とチェスターは慎重に魔王城へ進む。
竜の攻撃にも注意が必要だ。
俺とチェスターの間が離れていく。
そして竜の方はというと、チェスターの方についた。
よし、俺は魔王城へ一直線だ。
ところがだった。やっぱり予測不能なことが起きた。
なんとか魔王城に近づいたが、なんと結界が張られていたのだ。
「こんな展開があるか!前に魔王討伐にチャレンジした時にはこんな結界はなかったぞ!」
しょうがない。チェスターが竜に追いかけられている間に結界に穴を開けよう。
結界に穴を開けられるって?
実は俺は時間をかければある程度の結界を傷つけて穴を開けることができる技術を持っているのだ。
まあ多分これは教えれば誰でもできると思う。
相方が逃げている間、俺は必死で結界に傷をつける。
そしてついにやった。結界に穴が空いたぞ。あとは広げるだけだ。
「嘘だろ・・・・」
結界はもう一つあったのだ。
「仕方がない。もう一つも結界を開けてやる」
とは言いつつ、もう一つの結界を開けている間に、元々開けた結界が徐々に塞がっていくのだ。
これ、無限に続けることになるぞ。
そして。
散々逃げ回っていたチェスターが竜にやられてしまった。いわゆる首チョッパだ。
これはやばいぞ。俺もアランやチェスターの二の舞になってしまう。
俺は急いでアレラタへ一時退散する
すると竜が追いかけてくる。
やっぱりブラックドラゴン以上だ。助けてくれー!




