201909240830
私はは今、コール銀行にいる。
ところで銀行というのは、お金を預ける場所だ。
イリオゴストには銀行という施設がないので初めて見た。
この銀行の存在も、エミリアさんに教えてもらったもの。
私の場合・・・この前の魔物の素材で得たお金がとてつもなく多い。
なので、この銀行に預けておこうというわけだ。
今のところ使い道のないお金だからね。
銀行に預けることで、利息がもらえるとのこと。
また、銀行ではお金を借りることができる(例えば商業ギルドにおける開業資金など)
あと希望者は資産運用というものができるらしい。
銀行が顧客から預かった資産を使い、銀行の判断でお金を増やすものらしい。
私は銀行の受付で、資産運用したい旨を伝える。
「はい、ではこちらにギルドカードをお願いします。」
「はい。」
ギルドカードを持って本人確認をしている。
「資産運用を行う場合、一旦普通口座に預けた上で、投資信託口座を作ってそちらから申し込みになります。では、まずはどの程度お預けの予定ですか?」
私は現在持っているお金を伝える。銀行員さんはあんぐりである。
「えっと、・・・・」
そんなこんなで私は生活資金以外は全て銀行に預けてもらった。
利息とは言っても年0.1%程度。
資産運用することで最大年10%程度増える予測なんだとか。
ただ資産運用はデメリットもあり、経済次第ではお金が減る可能性もあるんだとか。
私は気にしなかった。減ったところで痛くも痒くもない。
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そして次に向かったところは劇場。
こんな大掛かりな劇場は初めて見た。しかもいくつもある。
イリオゴストのものは小規模だったし、あまり公演が行われていなかった。
というかあの劇場が公演をしていた記憶がない。
本日の公演はなんだろうか・・・・マジックショーか。
魔法を使ったショーを行うというものだ。すなわちイリュージョン。
例えば、何もないところから物を出すこともあるらしい。
???????
これって魔法、いやユイシアさんをアシストした時に覚えた創造スキルを使えばなんとでもできるよね。
例えばステラの木の実とか、ほら。赤いステラの木の実が一つ出てきました。
ほら、何もないところから赤い木の実がそこにあります。・・・・?????
そうだったのだ。
私の魔力があれば創造スキルでステラの木の実を作れたのだった。
今まで気づかなかった。今までずっとマジック・フライデーへ向かって手に入れなければならないとばかり考えていた。
でも、それで満足してマジック・フライデーへ行かないの?
一度行きたいリストに追加したのに、別の手段で満足したら取り消すの?
やっぱり行こう。マジック・フライデーに。
そして私は劇場を去ろうとした。
「え、エミリアさん!?」
なんとエミリアさんだった。
「私も用が済んだから、ここにきたの。フェリならここに来ると思ってね」
「はい。確かに劇場で何やっているかなーと見に来ました。だけどマジックショーだったんです。それも私より程度の低そうな」
「馬鹿にしない。あなたより弱いかもしれないけど、ショーを見せる力は数倍いいんだからね」
「え、そうなんですか?」
そして私はショーを見る。
簡単なものと思っていてごめんなさい。結構すごかったです。
そして私はそれを見て、それを元にさらに魔法を学んだんです。私は学習するんです。
気づけばすでに夕方になっていた。
「実は、私、私の力でステラの木の実を手に入れました。」
「すごいよ!あなたの力で手に入れるなんで」
「まあユイシアさんのおかげでもあるんですけどね。そして、やっぱりマジック・フライデーに行こうと思います。」
「手に入れたのに?あれを」
「でも行きたいと感じたんです。あの場所へ。それにエミリアさんもあれを研究するんじゃなかったんですか?」
「ごめんね。実はあの研究よりも、でもそれよりもやりたいことがあるの。それはね、アトリエ周辺の整備!」
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「アトリエ周辺の整備?」
そうだった。魔王城の跡地にポツンとアトリエがある状態。それに周辺はあまり緑がなかったと思う。
「そう、整備。将来的にはアトリエ周辺に街を作りたいなってね。それだったら、まず周辺を緑豊かにして、そこから建物とかを建てたりとか・・・とにかく色々やりたいの。そのためにはまず、ここに住居の手配をしているの。」
え?ここに住む?
「住処としてアトリエがあるけど、それとは別にここに住処を作る。その方がギルドの依頼も受けやすくなるしね。ギルドの依頼を受けやすくなればお金も稼ぎやすくなる。そう、アトリエの整備ってお金かかるからね」
そうか。アトリエの整備にお金をかける・・・か。
「それじゃ、私もお金出しましょうか?」
「いいの。私のお金だけで一回やってみたい。」
エミリアさんの将来の目標か・・・
私の目標はマジック・フライデーへ向かうこと。
でもその先は・・・全然決めていなかった。まああとで決めよう。時間はまだある。
「でも、フェリにもし暇があればアトリエに来てもいいよ。その時はついでに手伝ってくれる?」
「はい!」
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そういえば。エミリアさんと組んだパーティーにユイシアさんも参加した3人組パーティー、ステラの箱庭。
3人揃ったのは最初だけ。あとは全然揃ってなかった。
そういえば最初にエミリアさんが私と二人でパーティーを組んだ理由・・・
魔王デモンズを私が倒して、それをエミリアさんが見て・・・強い!となって・・・友達になって・・・
ただの親友同士の付き合い。パーティーの目的などそもそもなかった気がする。でもいいかもね、そんなパーティーでも。
どうせいつでもどこでも転移門で会えるし。
・・・転移門。そうだ、転移門があった。
イリオゴストの私の家はまだ残していて、そこにも転移門を置いてあるし。
そうだった。私の家にはセーブポイントもあった。
メリングーンに行くときに仕掛けてある。いつか使うと思ってね。
(セーブポイントと転移門とは繋げられないし)
「フェリ?」
「エミリアさん?」
「私今から宿に行って、そこからちょっとアトリエに行くけどどうする?」
「はい!」
やっぱりアトリエに行きたくなった。
そうして私たちはエミリアさんの宿に置いた転移門からアトリエへ戻っていった。