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ステラの箱庭  作者: Arisa
フェリシアは旅をする
16/57

201909220700

さて、ギルド職員をやめると宣言してから2週間くらい過ぎました。


私、この度冒険者ギルド職員を辞めました。

これで私は冒険者として自由の身となりました。


さて、私は今日、私の生まれ故郷のメリングーンに向かいます。

最初徒歩で行こうと考えていましたが、イリオゴストからメリングーンまでは馬車が出ているようです。

(楽するところは楽したい。)


ユイシアさんは今回は都合が良くないようです。

(日本に住んでいて仕事をされているので仕方がないですね)

なので、今回メリングーンに向かうのは私とエミリアさんですね。

ちなみにエミリアさんもメリングーン行ったことがないらしい。意外だ。


イリオゴストの南にある停車場。

ここからメリングーンへむかう馬車が発着します。

私もエミリアさんもほぼ手ぶらでした。

なぜかって?必要な荷物は"アイテムボックス"に入れているから。


そして、事前に「私がメリングーンを追い出させる前にどこに住んでいたのかの住所」、つまり実家の住所をギルマスに教えてもらいました。

なんでギルマスが知っていたかって?「それは秘密だ」そうです。

--


私は馬車に乗り込んだ。

あとは出発を待つだけだ。


・・・メリングーン。

魔法第一主義で、私の出生地であり、私が幼い時に追い出された街。

ここからメリングーンまでは馬車で2〜3日かかる。


私がメリングーンにいく最初の目的は、両親と再会したかったからだ。

魔法が使えないだけでメリングーンに入れない。でも今は入れる。

次は私はメリングーンの街の住民に、私が魔法が使えることを見返してやりたい。


あと冒険者を辞めた理由はただメリングーンに行きたいわけじゃない。

一番の理由は冒険者として旅をしたいのだ。


そもそも、なぜ旅をしたくなったのか。

それは冒険者ギルドで働いていた時、ギルマスやギルドにくる冒険者たちが世界のさまざまな国の話をしていたのだ。

そんな話聞いていたらと思うと、行きたくて仕方がなかった。

ただにいるだけじゃ狭い世界で終わってしまう。

確かに平和なイリオゴストにずっといたいと思ったこともあったけど、あれは私が弱かったと思い込んでいただけ。

あの戦闘は今はどこでも生きていけるという自信になった。


馬車が動き出した。

馬車は街の門を抜け、大草原へ向かっていった。


1日中、馬車に揺られていた。

もう夕方だろうか。今日の馬車の移動はここまでである。

馬車には10人くらいの乗客がいて、あと荷物も結構ある。


さて、この近辺には村もないので野宿になる。


さて、乗客たちは火を囲んで夕食を食べていた。

エミリアさんいわくこれは「キャンプファイヤー」なんだって。

「でも、この世界に"キャンプファイヤー"という言葉はないらしいから、気をつけてね」


----


私たち乗客は馬車の中で寝る。

そして別途馬車は護衛が守ってくれるのだ。


・・・そうだったのだが、私たちが寝る直前になって、馬車を襲う強盗が現れたからだ。


そして護衛では相手にならないほど強盗の方が強い。

「あ、これは護衛が負けてしまうパターン!」

咄嗟に私が参戦して強盗を一発でノックアウト。

撃退方法?命を落とさない程度の雷魔法を浴びせました。

相手は即座に気絶しています。


(実はエミリアさんも、逃げる強盗の仲間たちをノックアウトしてくれていたようです)


さてと、相手は施錠の上私のアイテムボックスに入れておきました。

今度こそ安心して眠れるよう、馬車周辺一体にバリアを貼りました。


次の日。

あれから馬車は問題なかったようで、予定どおり出発した。


----


「ごめんね。実は私、嘘をついていた。」

「嘘ですか?」

「私、結構メリングーンに行っているの。」

「え、そうだったんですか。じゃあ」

「そう。あなたに本来の移動をさせたくてね。あなた、私がメリングーンによく行っていることを知っていたら、私の記憶を頼って転送魔法を使用しようとしたでしょ」

「あ・・・そうでした。」


そうだったのだ。もし私がメリングーンのことを覚えていたら私の記憶で転移しようとしていた。

エミリアさんがメリングーンによく行くと知っていたら、迷わずそうしていただろう。

同じように、もしマジック・フライデーの場所を知っていたら、同じことをしていただろう。

私の魔力なら、記憶さえあればどんなに遠い場所でも転移できてしまう。

しかしそれができるのは私と、私の魔力を受ける人だけだ。

本来、人の魔力程度なら、本来は転移魔法を唱えたとしても近隣にしか転移できない。

飛行魔法に飛行魔道具。どれも近隣までしか飛べない。

遠い街の移動・・・それはどんな人でも馬車でゆっくりゆられるか、ずっと徒歩のどちらか、しかないのだ。

「そうですね。私は楽をしようとしていたみたいですね」

「気づいてよかったわ。まあ楽にできる時は楽にしてもいいけどね」

「はい。」

「あ、でも街の出入りは気をつけてね。街の門を通ることによって記録されるの。」

「もしかして、メリングーン、いや街に転移しない方がいい理由って・・・」

「そうよ。門を介さずに立派な街に転移して出入りしようとすると怪しまれるからね。捕まる可能性だってあるからね。」

「あ、あなたの家とかアトリエとかは自由に転移していいからね。門や警備がないところは大丈夫。」

「はーい」


「ところで、あなたは宿は」

「言っていなかったでしたっけ?両親に会いに行くので両親の家で」

「でも・・・両親があなたのことを覚えていないか知らんぷりされたら」

「不安にさせること言わないでくださいよ!」

「ごめんね。でも、もしだめだったら一緒に泊まりましょうか」

(エミリアさんは宿とらなくてもア・・・いいえなんでもない。いいよね、たまには。)

----


夕方になろうとした時。

ようやくメリングーンに到着した。


馬車はメリングーンの門に入る。

ここでは乗客全員が魔力がないかを確認される。

そして当然私も。

だがしかし。普通の魔力測定器では魔力なしと判定されるわけで。

「残念だが、魔力のない者はここに入ることはできない」

という結果になる。

「私は魔法が使えます」

と言っても。

「いや、結果だと魔力はないことになっている。」

と聞いてくれない。

そして私は街の外へ放り出されそうになった。そこでギルドカードである。

実はギルマスにギルドカードに「この者には魔力がある」ということを記述してもらったのだ。

これでいいのかって?私はギルドカードを見せると。

「うーん、じゃあ何でもいいから魔法を唱えてくれ」

あ、思い出しました。昨日捕まえた強盗がいました。

「はい!」

私はアイテムボックスから捕まえた強盗を取り出した。あんぐりしてる。

「とりあえず魔力を持っていることはわかった。こいつらの事情を聞かせてくれないかな?」

強盗のことの事情を聞かれましたが、とりあえず門を通過しました。


私は馬車を降りた。

私は久々にメリングーンの地を踏んだ。


どうやら夕方なので灯が灯された模様。

メリングーンにある照明や街灯は全て魔法で灯されている。


メリングーンは最低限の生活魔法がないと生きていけないほど魔法に依存している。

水も火も全て自分の魔法で行う。宿屋も水の提供はない。


ラージリバー時計台に到着。

この時計台の奥にメリングーンの冒険者ギルドがある。

エミリアさんはギルドに用があるらしいので、エミリアさんとはここで一旦お別れする。


時計台を右に曲がり、住宅街へと向かっていく。

「えっと、そろそろかな」

さて、実家のあるアパートに到着。

「このアパートの2階ね」

私は玄関に立っていた。

だが、あかりは灯っておらず、両親は留守だったようだ。


うーん、どうしよう。

ここで待っていても時間の無駄だと思った私は、一旦メリングーンの冒険者ギルドに向かった。

少なくとも私が6歳の時点では両親も冒険者だった、と思う。うる覚えだけど。

もしかすると冒険者ギルドにいるかもしれないと思った。


さて、メリングーンの冒険者ギルドである。やっぱりここのギルドは大きい。


ここにはある張り紙があった。


その内容を見て私は衝撃を覚えた。

なんと、魔王デモンズは生きていたという記事だった。

記事によると、魔王は一度魔王城が崩壊した後、新たな魔王城が構築され、魔王が真の姿に変化しているのだとか。

「魔王生存、それに魔王城再構築ということはエミリアさんのアトリエも破壊された、ということなの・・・」

ブラックドラゴンもいたのに、魔王にはかなわなかったようです。




----

SIDE:ケーブル王国 王室


「国王、報告があります。」

「なんだ」

「魔王、デモンズの件ですが」

「それはすでに滅んだと報告したのでは」

「それがですが、冒険者によるとまだ魔王デモンズは生存していたとのことです。しかも竜の姿に変化しているとのこと」

「何だと!?つまり、あのエミリア・ガーランドは魔王を倒したと騙したのか。彼女ならありえる。」

「いえ、そうではないです。または魔王の精巧な偽物を倒し、本物と信じて報告していた、つまり王冠が偽物の可能性があります。王冠が本物かどうかはまだ慎重に調査中ですが。」

「そうだったのか・・・よくよく考えてみたが、彼女が魔王を倒せるはずがないからな。はあ。」



(*魔王の王冠の扱いについて改編しました)

これは補足ですが、フェリシアに捉えられた複数の強盗たちが「彼女は強大な魔法を使える」と証言したことにより、「フェリシアは魔法が使える」と判断されました。

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