11
SIDE:エミリア
そう、鑑定の結果、あのゆいくんだったのだ。
つまり男の子。
しかも(鑑定の結果)私よりも年齢は上なのに女の子っぽい顔でとてもかわいいのだ。
前世のあのことを思い出す。
------------
これは前世の私が小学校3年の終わり頃、蒼村に住んでいたころ、私は蒼村という小さな村に住んでいた。
まあとても小さい村なので、小学校も全校児童10人もなかったと思う。
そんな小学校から一人転校していったのだ。
転校していったのは、私の同じ学年の雲母唯くん。
まるで女の子らしい顔なのに、男の子。
かわいい物好きで、女の子みたいな服ばかり着ていたり。
それに髪の毛もかなり伸ばしていたし。
まあしょうがないかな。私の学年男の子一人だったからね。
あと、ゆいくんのある癖が可愛くて可愛くて。
あれは強烈だった。
----
まあ転校自体しょうがないと思う。
蒼村自体、近い将来、村ごとダムに沈む予定であるからね。
仕方ないことなのだ。多分私も近々引っ越して、この小学校とはおさらばしてしまう運命だったのだ。
でも、まさかこんな形でゆいくんに会えるとは。
「久しぶり。ゆいくん」
「へ?あなた僕の名前をどうして知っているんです?」
「だって、私は”金子透”の生まれ変わりの存在ですからね。そして"エミリア・ガーランド"として転生して、ここにいるの」
「・・・?透・・・なのか???」
「そうなの。転校する前に死んだの知っているでしょ?」
そうなのだ。あれから転校する前に私は死んで転生してしまうのだ。
-----
ゆいくんが転校した後は春休みになり、その2〜3日を使って私と両親は叔父さんのところに泊まりにいっていた。
自慢じゃないんだけど、私の叔父さん、Pairon Ashのギタリストの金子英明なんです!
とは言ってもメジャーではなくてインディーなのであまり知られていないんだけどね。
なのでミュージシャンのプライベートライブとかもよくやってくれて感激でした。
で、私のおじさんの家は東京の浅草にあって・・・とは言ってもマンションの一室なんだけどね。
なのでおじさんの家に来るときはいつも人混みを見ていて、村とのギャップを感じる。
で、事件が起きたのはおじさんの家から村の自宅までの帰り道。
両親は後で電車で追うらしく、私は先に地下鉄に乗ったのだ。
え、別れて大丈夫?と思うけど、そこはいずれ東京駅で合流するので・・・と思ったのがいけなかった。
神田。
ここで東京への別の電車に乗り換える事になる。
ここから上り階段を登る。
それにしても、今の時間珍しく人気がないのだ。
ちょっと新鮮。
そして階段を上り切った。
そして踊り場に到着。
なんと、踊り場にいた、・・・何者かに思いっきり蹴られた・・・
誰だったのか、なぜかその顔を思い出せない。
私は階段下へ一直線に落下。
私はこれで頭を打ち意識を失い・・・
前世の私こと「金子透」の命はここで終焉した。
そして私こと「エミリア・ガーランド」は軍事訓練で馬車を使った移動中に前世の私こと「金子透」の記憶が覚醒した話は後ほどね。
・・・・・・・
ゆいくんは泣いていた。
「うん、小学生の時の僕にとって君の死のニュースは衝撃的だったからね。でもまさかこんな形で会えるとはね・・・・」
私とゆいくんは抱き合っていた。
なんだかんだ時間が経ってしまっていた。
フェリはドールばかり見ていたが、そろそろ気を取り直してセーブポイントを・・・
あれ、私やらかしたようだ。
実はアトリエにある転移門とセーブポイントをつなげることはできなかったのだ。
アトリエに別途セーブポイントを作らなければいけなかったのだ。
まあ、でも大丈夫だった。予備の転移門をアイテムボックスに入れていたからだ。
セーブポイントの目的は転移するところを隠す目的だったからね。
ゆいという信頼できる人がいるなら、はっきりとわかる転移門でもいいのだ。
「あれ、セーブポイントは?」
「実は転移門の方が都合が良いことがわかってね。実はセーブポイントは作った本人しかくぐれないの。それにゆいくんがいるし」
「あ、そうだったんですね。」
「えっと、じゃ、僕もそっちに行けるということです??」
「そうよ!」
転移門、それはすぐにいける利便性を考えるならセーブポイントよりこの転移門の方がずっといい。
「では、私たちは一旦帰るわ」
「わかった。僕もまたすぐにそっちに行くと思うから」
そして私とフェリは転移門をくぐりここを後にした。
「なんかまた私の行動範囲が広がった感じがします。」
「ふふ、そうね。私にとっても地球は・・・以前の世界に戻れたというか。そしてフェリにとっては未知のところだしね。」
「そうですよ。未知の世界、楽しみです。・・・でもそっちの言葉わからないです。ゆいさんと直接話したい」
あ・・・そうだった。
ゆいとフェリ。2人は互いの言葉を話せないし、互いの世界の言葉を知らないのであった。
何か翻訳機を作ろう。指輪型の魔道具を。