10
この物語はフィクションです。実在する企業や商品とは一切関係はありません。
SIDE:エミリア
あれから3日が経った。
私はアトリエにある図書室で別の魔法書をみていたところ、とある秘匿魔法に気づいた。
「・これを組み合わせれば、誰にも発見されずに転移門と同等の効果を置けるのか。名付けてセーブポイント?」
盲点だった。
重要度の低い本から、使えそうな魔法が出てくるなんて。
「・・・よし、決めた。」
私は、前々から考えていた前世への転移魔法の実験をすることを決めた。
そう、フェリの力頼りだが、きっとフェリの魔力なら、世界を超えて、前世の世界へ転移できると思う。そう信じたい。
でもできるかどうかの確証はない。
あの子に負担をかけてしまうかも知れない。
でもやってみる価値はあると思う。
さて、フェリが今日も仕事の後で私のアトリエにやってきた。
これは以前私が彼女の家に置いた転移門経由なので、彼女は魔力を使わないでここにきた。
私は彼女に計画の概要を話す。それで本当にいいのか彼女に聞いてみた。
「いいですよ。私、どんな魔法でも魔力が枯れることはないと思うので」
よかった。
私が前世で一番覚えている場所へ。
思いっきり転移魔法を唱えた。
・・・そして転移は成功した。
ここは・・・えっと・・・
薄暗かったので、スイッチであかりをつけると、現代日本的なリビング部屋だった。
そしてベランダへ出てみる。昔見慣れていた住宅街の景色。
ちょうど夕方から夜に変わろうとしている景色。
つまり、ここは日本だ。
・・・前世の世界だ。本当に私の前世の世界に飛んでしまったの・・・?とりあえず成功したみたい。
えっと、ここは私の前世の時によく訪れたことがある家だった。
(・・・ここは前世の時に住んでいた家・・・・じゃないと思う。なんでここなんだろう・・・)
また、当時とは家具などは全く異なっていた。つまり現在は当時とは別の住人が住んでいると思う。
そして、カレンダーを見ると、私が前世で死んだ時から年月が経過していた。
「どうやら成功ね!ここはまさしく私の前世の世界。」
「すごいですね!」
「あなたの魔力のおかげよ。魔力がなかったら成功しなかった」
私はフェリを励ます。
「えっと、エミリアさん、私、だいぶ魔力使ってしまったんですが・・・」
「大丈夫。実はあの転移魔法を唱える前に、きっちり転移門を置いておいたから大丈夫。」
「はい、よかったです。」
まあ今回は実験だったので、フェリを連れた探検は後回し。
とはいえ、気になるものは気になるようで、フェリはあるものに興味津々になっていた。
リビングの隅に飾ってあったりするいくつかの球体関節型1/3ドールだ。でもこのドールの種類はなんていうんだろう。いや、フェリが気にしているのはドールのうちの一つが着ている服のようで。
「この世界の人形の服、かわいいです。この服ほしい」
フェリも女の子らしく、ファッション好きみたいだ。
さて、そろそろセーブポイントを発動しようとした時。
1人の女の子?が現れた。
「・・・誰ですか?勝手に僕の家に入り込んで」
現住人だった。
「えっと、ここはあなたの家、ということでしょうか??すみません!転移魔法のテストをしていたんですが、あなたの家に転移してしまったようです。」
「魔法??この世界じゃ魔法なんてないはずだし・・・」
しまった、魔法はこの世界じゃ存在しないんだった。あーどうやって説明しよう。
するとフェリが。
「何言っているのかがわかりません、何言っているんですか?」
「えっと、今話しているのは別世界の言語、私が前いた世界、の言語ね。そしてここは魔法が使えない人の世界なの。魔法で転移したと素直に伝えたら困惑してしまって・・・」
「見せればいいじゃないですか?きっと納得してもらえます」
「そうね!」
「じゃあ、見ていてくださいね。」
私はキッチンへ向かい、ほんの少しの水を出す水魔法を唱える。
「すごい!何もないところから水が出てくる。」
彼女は驚愕していた。まあ今まで魔法というものを見ていない訳だからね。
ところで、彼女が驚いた時にやるくせ、どこかでみたことがあった。
前世〜遠い過去〜で友達で驚いた時にそういう癖をしていた友達がいた。その癖が特徴があってね・・・
(まさか)
咄嗟に私は「鑑定」をした。
(え?うそでしょ???)