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夢喰いバクの見た夢



 目を開くと、隣で洋子が待っていた。


「お疲れ様でした。また一人救えましたね」


 俺……脇坂羅山はそれに頷く。


「ああ、無事にな」


 夕を失ってもう十二年。夕が俺たち夫婦に与えてくれた、「二度と夕のような子を出さない」という夢を叶えるために、俺は科学者だった頃の知識を活かし、人の夢に入り込む技術を開発した。


 悪夢にうなされる子を夕の夢の世界に『夢喰いバク』として連れて行き、明るい夕と触れ合わせる。そして、夢を見ることの素晴らしさを知ってもらう。


 そうやって多くの人を幸せに導く。


 それが夕が俺たちに残した、俺という夢喰いバクが見た夢だ。

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