一緒に刑務所に入ろう!って、あれ?
私は決めた。
カイルと逃亡する事にする。
私のせいで両親は職を失うかもしれないと思うと胸が張り裂けるが、でも、私はカイルの逃亡に一生を賭ける事に決めたのである。
そして二人で捕まって刑務所に行くことになったら、一緒に再び生活ができる事を目標にして刑務所で模範囚となって頑張るのよ!
気持ちが決まれば行動するのは簡単だ。
私は自分が使っていた部屋に飛び込むと、荷物を抱えて部屋から飛び出し、そして、カイルがいるだろうもう一つの壁が崩れたらしき部屋に向かった。
「――隊長、実働部隊はこれだけですかね。嫌な話ですが、こいつらあの三人除けたら全員本当の警察官ですよ。キマイラの手下ではありません。」
私は漏れ聞いたカイルの声による内容に驚き、もっと聞かねばとドアに耳をピタっと付けた。
何々?カイルはキマイラじゃ無いの?
「そうですね。身分証明となる職員番号を送ります。指揮系統が別にあるのならば、そこも汚染していると見るべきでしょう。」
うわああ、なんだかカッコイイ声で正義の味方みたいな事を話している!
私の頭の中はリンゴンリンゴンと教会のベルが鳴った。
彼が犯罪者でないならば普通に結婚できるわ!
でも、彼はどうして私にはキマイラだって思わせているのかしら。
私を犯罪に巻き込みたくない?
普通に襲撃されたじゃ無いの。
囮捜査中の捜査官で、私が秘密をばらすと困るから?
でも、彼がここにいるからって襲撃を受けたと考えれば、彼の正体は敵にバレているって事よね。
私が彼の正体を知っても何の問題もないじゃ無いの!
そこで私は別の考え、本当は一番に思い当たらなければいけない事を思いついた。
アクション映画ではよくある話じゃ無いの、って。
映画のヒーローはその場限りの愛人を作って楽しんで、全部終われば次の仕事へと去っていくのだ。
私はよたよたとした足取りで部屋に戻ると、そのままベッドにごろんと横たわった。
「カイルがキマイラのままだったら良かった。キマイラのカイルだったら私を逃亡生活に連れて行ってくれたはずだわ。」
でも彼は犯罪者じゃない秘密捜査官で、私にはその姿が秘密のままで、私は彼に信用どころかその場しのぎに構われていたに過ぎなかった、のね。
愛しているのは私だけだった。




