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来訪者その三

 玄関ベルが再びがなり、私は丁度良いとソファを立った。


「あ、ちょっと。」


 私は腕を掴まれ、なんと、ソファに乱暴に放り投げられた。


「きゃあ!」


 文句を言おうと思ったが、ヨハネスは私に背を向けて身構えているように腰を落としている。

 何が起きているのかと玄関ドアを見つめれば、ドアが大きな金属音を立てながら大きく内側へとひしゃげた。


「まあ!車が飛び込んで来るなんて!」


 私の驚きの声と一緒に客室側の壁のひしゃげた音も聞こえた。


「何が起きているの!」


「キマイラの襲撃だ。すごいな。こんな後先考えない突入をしてくるとは思っていなかった。」


「まあ!でも、どうしてキマイラがここを襲撃?ああ!あなたがこの家に入ったから仲間を助け出そうとしてなのかしら?」


「仲間?」


 私はおしゃべりな口元を押さえたが、そんな私に驚きの表情を見せていたヨハネスは童顔ともとれる整った顔を子供みたいな笑顔にくしゃっと変えた。

 まあ!彼は彼で本当になんてチャーミング!


「やっぱりここにいたね、けだものカイル。彼は俺の同僚でグリフォンの小隊長様だ。」


「え?」


「いいから君はソファの下か、とにかく床に伏せていて。」


 ヨハネスは上着を脱ぎ捨て、うわお、シャツその上に銃のホルスターを装着しているだろう事は警察官だから当たり前だろうが、そのホルスターにはナイフなども差し込まれているという見たこともない形のものだった。

 いや、私は見た事があるじゃないか。

 お父さんが持っていた。

 アクション映画が好きだからレプリカだよって、時々大事そうに皮の手入れをしているあれ、よ。

 私はヨハネスの肩をぐわっと掴んでいた。


「ちょっと、マルファちゃん!」


「逃げましょう!アクション映画フリークスは本当の犯罪には勝てないわ!」


「ひどい!アクション映画フリークスとはひどい!」


「ああ!そこは謝るわ!でも、いいから逃げましょう!あなたは警察官でもたった一人じゃ無いの!きゃあ、ほらなんか大きな大砲を抱えた奴が出て来た!」


 玄関ドアを壊した車はぎゅるんと音を立てて後ろに下がり、その代わりに玄関に次々と黒づくめの男達がなだれ込んで来たのである。


 男達が持っているのは人を殺傷する銃ではない。

 警察組織が使う非殺傷兵器の一つ、電子を帯びた砂のぎっしり入ったボールのような物を容疑者に打ち込むというものだ。


 小学生の見学遠足で威力を見たことがあるわ!


 あれを受けた布人形は全身を電撃をバチバチと受けと、そして、焦げて煙を上げていたじゃない。


 あれを受けるのは嫌だああ。


 敵はその非人道的ともいえる非殺傷武器の筒を私達に向けた。

 ヨハネスは銃を構えたが、私は座卓を掴むとその敵に向かって放り投げた。


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