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零式艦上戦闘機23型  作者: 通りすがりの野良猫
9/25

沖縄戦始まる

沖縄での戦いが始まりましたが、、、

沖縄戦が始まった。


しかし、海軍艦艇はこれに関与できないのである。

強引に機雷敷設されたであろう海域を、掃海艇隊による航路啓開と合わせて実施し

てみたが、掃海艇そのものが爆沈する始末では、貴重な主力艦艇を晒すわけにいか

ない。

そこで、海軍航空隊をもって、沖縄で孤立している陸軍第32軍、海軍陸戦隊を

支援することとなった。

そして、「沖縄をいかに長期間持久させて、本土決戦準備の時間を稼ぐか」と

いう現実を前に、長年に渡る艦隊決戦思想を放棄したのである。


そう、決戦に出るべき水上艦隊はもう、機雷と燃料払底から動けない。

ならば、どうするか?

そう、来航した米艦隊を同様の目にあわすのである。

どういう意味かといえば、大規模な機動部隊を運用する以上、それに見合った補給

が必要とされるのである。

わが海軍でも開戦時のハワイ作戦では航続力の大きい艦艇にさらにドラム缶などに

燃料を詰めていくなどして補給の問題を解決した。

ならば強力な防御のある機動部隊よりも、比較的脆弱な補給部隊を狙うほうがより

効果的に敵の作戦を妨害できるはず。


その効果はわが国が既に米潜水艦隊の通商破壊戦で味あわされている通りである

同じことを海軍航空隊が陸軍と協力して行うのだ。


そして作戦開始当日、残存している数少ない2式大艇が発進していく。

今回は敵機動部隊が目標ではない。

数少なくなった伊号潜水艦が先に発見した補給船団の概略位置を探しに行くのだ。

これは2式大艇が持つ3式6号電探で艦艇には4000mの高度から約300km

近い索敵範囲を持つ(ことになっている)そうだから目視で索敵するよりまし

ではある。

小さな飛行機、厄介な空母機動部隊を探しに行くわけではない。


そして入電した船団らしきものに数機で波状攻撃をかけるのだが、これは米軍の

機動部隊に大きな負担を強いるようになっていく。

ある一定の海域を遊弋している機動部隊と違い、根拠地と補給海域を行き来する補

給船団に戦闘空中哨戒、いわゆるCAPを行ってカバーするとなるとカバーすべき

海域が広くなってきて、交代や増援に苦労が増えたのだ。


今のようにコンピューターで情報を整理する訳ではない。

レーダーで探知した目標をCIC戦闘情報センターでプロットして、その航跡を表

示板の上にマニュアルで表示して、そちらに戦闘機を向かわせるのであるから、扱

う空域が広くなり、機数も増えたら大変なのである。

確かに日本軍より機械化が進んでいるとはいえ、所詮75年も前の話しあり、管制

官の技量によるのである。

うっかりプロット忘れや、逆に規定を守らず不用意に艦隊に近づいて対空火器で撃

墜されるものもある。あー面倒だ。

また強力な対空砲火も、数少ない空母の守りを固めるのならば密度も高く、守り

やすいが広い海域に分散した船団になると話が違ってくるのだ。


そうしてどうしても生じてくるCAPの隙間に乗じて、低空から比較的防御の弱い

船団に攻撃をかけるのである。

すでに沖縄には基地が設営されて海兵隊や陸軍航空隊の戦闘機も配置されているが、

彼らとて自身の基地の防空や地上部隊の近接航空支援に駆り出されているし、護衛

空母が船団護衛に張り付けられてしまうと、それまで護衛空母の行っていた海兵隊

への支援に影響も出てきたので、沖縄攻略戦の長期化は免れないものになっていく


幸いだったのは、フィリピン増援のため航行中、方針変更から乗っていた部隊や

器材を沖縄に下した輸送船がカラ船で帰還するのはもったいないので、内地に非戦

闘員を移送したことであった。

これは多数の民間人の犠牲がでたサイパン島の教訓から可能な範囲で移送したので

ある。(これには限られた食料備蓄を食い延ばす現実的な理由もあったと言う)


さて、このとき活躍したのが、零式艦上戦闘機23型から派生した、暫定的爆戦で

ある33型である。

これは武装強化型の23型丙をさらに主翼の補強、発動機の強化、爆弾架の増設を

行ったものである。

そして主として陸上から発進するため、艦上機としての装備を省略して、今でいう

戦闘爆撃機として運用されたのである。

攻撃兵装は、主翼下面に搭載された8発の噴進弾である。

小型で初速の速い、試製5式10cm噴進弾は防御の弱い輸送船や軽艦艇、または

地上支援に使うには絶好の兵器であり、初速が速いことから大型機の攻撃にも有効

とされる優れものであった。


この噴進弾による攻撃は低空で比較的近距離から斉射するため、雷撃や水平爆撃より

容易で、回避も困難であるというメリットがあった。

また元になった23型丙ゆずりの30mm機銃は弾数は少ないものの、これまた地上

攻撃には有効であり、主翼に装備した20mm機銃と合わせて大きな戦果を挙げるこ

とができた。


このような攻撃にあわせて、少ないものの彗星艦爆による夜襲なども併用されて、

沖縄での戦いは米軍の予測を遥かに超える長期戦となっていくのであった。













史実より補給が足り、装備も充実した状態での沖縄戦はどうなる

でしょうか

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