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零式艦上戦闘機23型  作者: 通りすがりの野良猫
3/25

ハインケルでの生産

日本で生まれてドイツで生産されることなった零戦23型についてです



日本から帰還した仮装巡洋艦から、ハインケル社に送られた零式艦上戦闘機の図面

、部品などは合計すると、数10トンに及んだ。


これを精査したハインケル社の技術担当たちは、呆れかえる始末であった。

こんな手法があったのか?自分たちには思いつかないと。


なんといっても、やたら多数の肉抜き穴。

加工の工数がやたらにかかる、華奢な機体なんて考えてもみなかったのだ。


しかし、彼らの不信感は、組みあがった機体が飛行したときにあっさり払拭され

たのである。

仮装巡洋艦に便乗してきた日本海軍航空隊の操縦士は、いとも簡単に完成した機

体を操り、様々な曲技飛行(例の木の葉落としなども含めて)披露して、最後に

滑走路に描かれた空母グラーフツエッペリンの実物大の飛行甲板のしかるべき位

置にタッチダウンして、着艦拘束装置があるならば、必ず着艦できたであろう事

を示したのである。


様々な機体を作り上げた彼らだからこそ、この短いデモンストレーションだけで

十分に零式艦上戦闘機の素性の良さを見抜いたのであろう。


最初の3機については日本から送られた部品を組み立てそれ以降はハインケルで

生産された機体となったのである。

そしてハインケルHe200としてドイツ海軍航空隊に採用されて、500機近い

生産がなされたのである。


ハインケルでの開発の進展は以下のとおりである。

①最初の日本からの部品で組み立てられた3機は、A型として試験評価及び慣熟

用として使用された。

北海でのグラーフツェッペリンでの着艦試験などはこれらの機体が使われた。

試験後はレヒリン飛行場で留め置かれ、新型のテストベッドとして運用された他

はしばしば空襲に来たB17の迎撃にも利用されたと記録されている。


②量産型としてはB型からで、ハインケルにて300機生産された。

北大西洋などで艦隊防空などで活躍した機体は、ほぼこの型である。

この型から武装強化型、高高度戦闘機型、近距離偵察型、戦闘爆撃仕様などの他

無人のJu88と組み合わせたミステル計画にも使用されている。


③C型は旧式化が進んだ、Ju87系列に代わり、艦上爆撃機として製作された複座

型である。

複座にしたおかげで、速度、航続距離などの性能が低下したものの多用途性が買

われて、艦上攻撃機、夜間戦闘機、対潜哨戒機、練習機、の他、各種試験用にも

利用され、合計180機造られた。


なお、破損した機体を組み合わせて現地製造したものもあってフィンランドに実

機が保管されている。


④D型は、アメリカのノースアメリカンXP-82ツインムスタングと同じコンセ

プトの双胴の長距離援護戦闘機型であり、ドイツ降伏の際にはイギリスに脱出し

てきた機体が今もダックスフォードのイギリス空軍博物館に展示されている。

なお、ツインムスタングとはどちらが先かは今でも議論が続いている話しである


なお以上に述べた以外にも様々な改修、または現地改修機があったりするのは

ドイツ機の常であり、戦後75年の今でも興味の対象になっているのである。


この機体の一番の活躍は何といっても、北大西洋での艦隊防空での活躍だろう。

日米のような華々しい空母戦はなかったが、むしろ逆に戦艦同士の戦いを空か

ら援護する、日米が想定していた古典的な航空戦が展開されたのである。


ブレストにいた、ビスマルク、シャルンホルスト、グナイゼナウ、プリンツオ

イゲンのいわゆるブレスト艦隊は、白昼堂々と英仏海峡を突破、本国に帰還

するいわゆるチャンネルダッシュを行った。


このとき、本国水域にいたグラーフツエッペリンは護衛のヒッパーその他と

ともに突破してきた艦隊に上空援護を提供する役割を果たしたのである。

英仏海峡を突破するまでは有名なガーランド大佐率いるドイツ空軍戦闘機

隊がエアカバーを提供し、そのあとオランダ沖合から本国海域に至る部分の

カバーを託されたのだ。


このときは悪天候を押して、多数のイギリス、ドイツ双方の空軍機が乱れ飛ぶ

状態で、途中イギリスのハドソン哨戒機が迎撃のイギリス駆逐艦戦隊の爆撃

しそうになるわ、ドイツ駆逐艦がJu88に襲われそうなるなど混乱した海空戦

が繰り広げられる中、ビスマルク出現に色めき立った本国艦隊の空母ビクトリ

アスが放った攻撃隊から戦艦隊を守ったり、さらには急行してきた本国艦隊の

戦艦ロドネー、ネルソンの接近を知らせたりと、ツエッペリン搭載のHe200

は大活躍を見せたのである。


特に零戦譲りの航続距離、低空での敏捷な機動性、ドイツで強化された機銃

などのおかげで、戦艦隊に対する空襲を完璧に阻止してみせたのである。


また戦艦同士の砲戦が開始されると、英戦艦隊の観測機をあっさりと駆逐して

艦載されたアラド機の弾着観測を支援するなどこちらでも有効な支援を提供し

たのである。

このおかげで、ただでさえ足の遅いネルソン級の2艦は先手を取られて、機関

部に被害を受け、速力低下からドイツ戦艦隊を取り逃がしてしまう。

さらに、帰路にさらにUボートの待ち伏せでさらに損害を受けて、命からがら

スカパフローに帰還となったのであった。


このことは英海軍の面目をつぶしてしまったほか、本国に戻った戦艦隊が援ソ船

団に対して大きな脅威を与えることになり、激しい船団護衛戦が始まるきっかけ

ともなり、その成否が独ソ戦に大きな影響を与えることにもなったのである。


これについては項を改めて述べたいと思う。







時期的に厳しい?かもしれませんがうまく帰還できた仮装巡洋艦があったってことで

お願いします。

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