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零式艦上戦闘機23型  作者: 通りすがりの野良猫
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4式中戦車戦闘加入

さて4式を前線に登場させますがどうなりますやら

とある満州鉄道の駅前でのこと。


「軍曹殿、小隊長から何かありましたか」」

 三菱の工場から満州に送りこまれたままに近い新品の車両の操縦席についた

 上等兵が尋ねている。

 

 彼は年の割には訓練で使われたチハ車も巧みに乗りこなし、戦術的センスも

 意外なくらいにあるってことで、この部隊に引き抜かれたとか。

「まだ上からの指示がないため、この場所で待機だそうだ。

 ただ、いつ命令されるかもしれないから、すぐ行動できるように暖気だ。

 また、便衣隊の侵入もあるかもしれん。周囲の警戒を継続だ。

 車体銃、高射銃架の機銃も装填しておく。」

 

 車体の正面の機関銃は通信手が、砲塔上部にある高射銃架については車長

 である軍曹自身が操作して装填する。

 

 この機銃は満州に来たのち、倉庫にあった機関銃を急遽装備したものだ。

 しばらく保管されていたにしては状態もよい。

 それは中国軍から捕獲したドイツ製の機関銃、34型機関銃である。

 解りやすくいえば、MG34多用途機関銃。

 一人で操作可能な軽機関銃でもあり、3脚につけて重機関銃にもなる。

 ドイツ軍の分隊はこの機関銃を主軸に運用されているといっても過言では

 ない、重要な装備である。


 4式中戦車の実用評価試験で大連に到着し、実用試験の準備中、たまたま

 倉庫でほこりを被っていたのを見つけ出し、各車両に分配したのだ。

取扱説明書も以前、捕獲して評価したときのものが添付してあった。

 車体銃に関しては銃架の構造が異なるため少し苦労があったが、そのあたり

 は実用試験などを担当する部隊である。

 現物合わせでなんとか装備してしまった。  

 なぜ、そんな手間をかけたか?

 

 それは日本で独自に開発した機関銃の歴史が、「いうこと聞かん銃」の歴

 史でもあるからだ。

 11年式軽機関銃、そして大戦後、装備された62式機関銃などである。

 92式重機関銃は良かったとか、96式軽機関銃も、、、というがいずれも

 フランスのホチキスやチェコの原型があればこそ。

 だから、優秀で安定した性能をもつドイツ製火器など願ってもない装備なの 

 である。


 さらに同様に保管されていたドイツ製小火器も員数外の装備として分配され

 た。 

 ベルグマンの短機関銃、モーゼルの小銃や自動拳銃などである。

 いずれもいささか旧式なものであるが、わが軍のものよりも仕上げもよくて

 安心できる。


 最近、出回ってきている99式小銃など粗悪品の見本のようだからだ。

 この銃は当初、設計されて配備され始めたころは日本人の体格にもあわせた

 使いやすい7.7mm小銃であったが、大東亜戦争の進展はこの小銃の大量 

 生産に追われるようになり、品質を低下させてでも数を求めるようになった。

 そのため、照準器もごく簡単な孔照門と照星程度、仕上げもろくにされてい

 ないものになっていた。

 そのため、この部隊では正規の火器は格納、逆に員数外のドイツ製火器を

 主力にしたのだ。

 幸い、モーゼル小銃は満州国の軍器廠で生産されていたことから弾薬は入手

 しやすいことからも歓迎された。


 やがて伝令がサイドカーでやってきて命令を伝える。

 「よし、全員聞け。これよりわが中隊は各車両ごと、周囲の警戒しつつ、

  出発して鉄道線路沿いに北上、別命あるまで前進する。

  その後、整備、補給後、航空部隊の援護の元、挺身作戦を行うとのことだ。

  敵の攻撃が予想される、各自周囲の状況に注意せよ。

  うちの小隊はしんがりであるから、いきなり敵と正面衝突するなんてないだろう

  が側面から便衣隊の襲撃などないとも言えないし、襲撃機の低空攻撃もあり

  だろう。

  前線では歩兵が体を張って敵を止めようとしてくれているし、航空も頑張って

  いるそうだ。

  明日も朝飯にありつけるよう、気を抜かずにいくぞ。

  戦車前へ。行くぞ。」


  チハ車などより重々しい履帯の音を響かせ、ディーゼル発動機の独特の排気を

  漂わせながら、4式中戦車の初の実戦加入である。


  ようやく日本軍もそれなりの戦車を昭和20年代に製造して実用化しようとし

  ているのはいいのだが、各国はすでに昭和16~17年には実戦配備している

  レベルだ。 

  75mm砲戦車砲も当たり前くらいになっている。

  技術研究所と付き合いのあるこの部隊では常識である。

  これから戦闘に加入してどれだけが生き残れるか、、、。

  乗員それぞれの胸中ではあった。

日本戦車としては強力ですが、やはり支援部隊が十分ないと

こわいですね。

さあどうしよう。

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