レニングラード包囲戦にて
レニングラードは史実ではドイツ軍の包囲を持ちこたえましたが、、、
レニングラードはドイツ軍に包囲されているものの、ソ連第二の都市であり、
いまだに抵抗続けている。
ここではそのレニングラード攻略のため投入されているドイツ陸軍の前線を
見てみよう。
この戦線に投入された第502重戦車大隊がわが部隊だ。
重戦車大隊という名称は伊達ではない。
なんせⅥ号戦車、ティーゲル戦車の装備の部隊だ。
そろそろこちらも包囲に疲れている。
最近も包囲されている状態から包囲網を突破しようとしている気配が濃厚で
ありかつ、外から包囲網を破ろうとしている様子も見られている。
大隊本部で聞いた話からも、イワンが包囲網を内外から挟み込んで解囲を
狙っている、それも近いといわれていた。
他の戦域の状況は厳しく、スターリングラードで包囲されていた第6軍は
やっとこさ、抜け出したものの大きな損害を受けたことから、全体的に
戦線を縮小して、態勢を立て直す時期とみられている。
あのボヘミアの伍長とか言われている某氏が体調不良で倒れたすきに
国防軍と戦況の厳しさが身に染みている武装親衛隊が組んで一部の
反対を押し切りスターリングラードからの後退を仕組んだのだ。
それも主力の後退の後、連絡するというあくどさまで発揮している。
死守命令などという戦術的選択肢を限定するような命令には誰も
内心ではついていけないのだから。
危うく1個軍が壊滅する危機を乗り越えたドイツ軍だが、まだ
まだ東部戦線の各戦線ではソ連軍と厳しい戦いが続いている。
そのため、わが大隊を含む北部軍集団では今回の敵の反撃の機会をとらえ
なんとかレニングラード奪取したいとのことだ。
そうこうしてるうちに3日が経ち、予想された敵の反攻となった。
朝から敵の砲撃、空襲がよりによって、わが大隊の、うちの中隊の担当
地区を中心に行われている。
嫌な予感である。
まあ、わが中隊は対空偽装も徹底しているし、敵の砲兵も十分な観測が
できていない様子で、まだ被害は出ていない。
まあ、この攻撃は砲撃の間、頭を下げさせておいて、攻撃する部隊
の接近を援護する意味もあるから、本番はこれからである。
こんな時に今のティーゲルは最高だ。
装甲、主砲、は言うことなし。
機動力は、装甲、主砲が強力な分犠牲になっているところがあるから
、まあこんなところか。
特に主砲がありがたい。
以前乗っていたのが3号戦車で50mm45口径のもの。
これでT34とやりあうのはほんと嫌だった。
ただこのころはこの厄介な戦車も少なかったし、全体的にこちらが優勢
なんで、スツーカの支援を受けたり、また砲兵の支援も事欠かない状態
でなんとかなったのだ。
その後、長砲身の50mm砲を備えたⅢ号戦車に乗りそれから学校に転出して
教官を務めて、今のティーゲルとなったが、今度はT34がわんさ
か出てくるわ、カチューシャ自走ロケット発射機まで数を増やしてる、
あの忌々しいラッチエバムも相変わらず元気で、おかげでこいつら
と延々と終わりの見えない戦いをしているのである。
さらに最近は、アメリカあたりから供給された航空機が増えたみたいで
うっとうしいこと、この上ない。
わがルフトバッフェが向かうところ敵なし!のころはよかったが、今
では味方機を見るより敵機を見るほうが多いこの頃である。
休暇で帰った時に従弟のオットーが言うには、あいつら空軍も頑張って
いても戦域が広がりすぎて、どこもかしこも手が回らないとか。
ひどいときには前線近い飛行場に突然、T34が乗り込んでくる始末で
飛行場の防空を担当する空軍所属の88が、それこそ零距離射撃で
そいつらを始末したり、整備兵が集束手榴弾で攻撃するとか酒場の殴り
あいみたいなこともあるそうだ。
それと比べたら、強力な戦車をもらっているだけましかもしれないが、
日々の戦闘は本当に疲れる。
オートバイの伝令から、大隊本部の命令がきた。
なんと先ほど砲撃でうちの中隊長が負傷、後送されるとのこと。
大隊本部からこちらに戻るときにやられたそうだ。
おかげて部隊最先任の自分がとりあえず指揮をとれとか。
先ほどまでは自分とこの小隊だけ見ればよかったんだが、、、。
また、伝令からはうちの中隊が敵の攻撃軸の真正面だと、うれしくない
情報もくれた。
とりあえず他の小隊長と再度、打ち合わせないと。
イワンのバカめ。
こうして包囲網の突破しようとする敵の攻勢がうちの中隊の正面で始ま
った。
このときは前哨が巧みに砲兵火力を誘導して、見事に敵の足を止めた。
数少ない木造の橋を見事に爆砕させたのだ。
この橋は小さい橋ではあるが、その周辺は軟弱地でいかにT34などが
優れた機動性を持っていたとしても行動は困難である。
1回の試射と2回の効力射で決めてくれた。
ありがたいことだ。
これで敵は敵前での架橋という難しい作業をしないと前進できないの
だ。
実はこの爆砕された橋はティーゲルには柔すぎるようで、もしこの橋を
渡って攻撃となった場合のことを危惧していたのだ。
この意味でもありがたい。
一方外側から、わが中隊担任区域を攻撃しようとした敵は、思わぬ砲撃
を食らって慌てている。
当初彼らはこの砲撃をレニングラード守備隊の攻撃準備射撃と間違った
ようで、大慌てで砲撃中止を無線でおくったらしい。
符丁もなんもなしに、砲撃の中止を叫んでいたと後で大隊本部の通信の
連中が笑っていた。
そう、これは味方からの同士討ちではない。
沖合に展開したわが海軍の戦艦隊からの砲撃なのである。
レニングラードからの攻撃に合わせて、攻撃に出ようとしたところを
叩かれたのである。
38cm砲8門の戦艦が2隻。
28cm砲9門の戦艦が2隻
これだけで数個師団分の火力が集中できるそうだ。
そうだろうな。
陸軍でこれらの火器は要塞くらいしか設置できない化け物だもん。
そしてさらにありがたいのは上空援護だ。
これも後で聞いたことだが、海軍は虎の子の戦艦を守るため、唯一の
空母まで動員していたそうだ。
これがまた、助かった。
最近の敵機に対しては半装軌車搭載の対空機関砲、捕獲したシボレー
のトラックにこれまた捕獲した対空機関砲などを搭載して臨時の
対空自走砲をでっち上げたりしているが、敵の機動力と、数の多さに
は閉口しているのだ。
特に低空から襲ってくるソ連の襲撃機は主要部を装甲の箱で覆った
ような機体で、MG34程度ではまったく歯が立たない。
角度によっては20mm機関砲弾でもはじくことがあるらしい。
また、アメリカ機には37mmという一昔前の対戦車砲なみの口径の
機関砲まで積んでいるモノもあるそうだから、これまた厄介である。
ところが今回はこんな敵機も大変な目にあっている。
低空で侵入してわが中隊を攻撃するつもりが、上空からわが海軍の
戦闘機にかぶられて、被害をだしているのだ。
空戦のことは詳しくわからないが、上空から低空の機体を襲うほう
が楽そうなのは自分でもわかる。
現に一撃で撃墜される敵や爆弾などを捨てて逃げる機体がそこ
かしこに見える。
どうやら敵は戦闘機がいることを想定していなかった、油断してい
たのであろう。
戦後の記録を見ると、この時の戦闘機はHe200B、という戦闘機
でこの時には30mm機関砲まで装備していたそうである。
道理で一撃で敵の襲撃機を撃墜したわけだ。
また、昔なじみのスツーカもきたが、なにやら主翼の下に大きな機関
砲らしきものを積んで攻撃してこれもT34などを撃破していた。
一部のスツーカはなにやらコンテナ状のものを投下すると、そこから分離した
小型の爆弾を散布、密集していた車両などを一網打尽にしているようだ。
我々のティーゲルも強力だが、このように空からの支援があるのは心強い
そうでないと大変だからだ。
重い装甲は、軟弱な地盤ではめり込み動かなくなる。
そうなると回収するのにあの大型半装軌車が3台も必要になる場合がある。
また足回りはⅢ号なんかと違い、千鳥配置の転輪で地雷などで損傷した場合の
交換は大変だ。
強力な主砲ってことは弾も大きく重い。
弾薬搭載も大変ってことだ。
そんなこんなで、今回のような味方の支援には感謝してもしきれない。
現実にこれだけの艦砲射撃受けてたら、レニングラードも陥落できたかも




