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零式艦上戦闘機23型  作者: 通りすがりの野良猫
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停戦

終戦ではないですよ。

「今日、重要な放送があるから、全員、本部前に集合せよ。」

ここ最近、掩体壕の設営、新たに配置された高射砲の陣地設営の手伝い、などなど

ろくな整備作業もないまま、過ごしていた我々にそのような命令がきた。


「どうせ、決戦前の景気づけみたいな放送じゃないか?」

誰の独り言か知らないが、、聞こえてきた内容については、自分も同感だった。


だって、若輩者の自分たちにも、ろくな飛行機が送られてきてないことぐらい、

理解できるからだ。

それも、機体、発動機、装備品とそれぞれに問題があるのだ。


形は確かに飛行機であるが、材料の枯渇で仕様変更したものの、結局強度不足など

の理由で元に戻されたり、取り付け方が誤っていたり、もうどうすればこんなもの

ができるのか理解に苦しむこともあったのだ。

従って比較的動くのは古い零戦や99艦爆など戦争中でも初期に生産された器材

だけで「新鋭機」とか謳われるものほど質が悪くなっていた。


いくら高速性能が謳い文句の彩雲偵察機でも主脚が引き込まれない、発動機不調で

はただのカモになってしまう。


そんなことを思いながらも、不思議と静かな基地で放送を聞いた自分たちは、自身

の耳を疑った。

雑音が多く、聞こえにくい放送であったが、「戦争が終わった」のだけは理解でき

たからだ。


そうなのだ。今からは米英とは戦わなくていい、

彼らは今日これからは味方なのだ。


じゃあそれまで死んだ連中はなんだったんだよ。

そう思う気持ちもあったが、との最近になってソ連が火事場泥棒で満州に攻めてきたこと

から、やはり共産主義国家との戦いは日米ともに共通の敵なんだと、いうのだけ

は理解できた。

ただ、面倒だなと思ったのはそのあとの司令の言葉である。


「先ほどの放送のとおり、わが軍は米英との戦闘は終結したが、今度は卑怯千万な

ソ連から満州国などを守るという任務が付与された。

よって、われわれの任務は、大きな被害を受けたわが海軍航空隊の戦力の再建、強化が

今これからの任務となった。諸君の一層の奮励努力に期待する。以上だ」


戦争終わった、、、、もう除隊できるかと思いきやまだまだ続くとは。






皮肉なことに、まだ戦争は続きます

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