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過去花

それにしても彼女は何とも魅力的であった。今まで会ってきた可愛い女の子というのが霞むほどだ。しかし、なぜそんな綺麗な子がなぜ俺なんかに告白なんてしたきたのだろうか?俺にはよくわからない。俺からしたら初対面で告白なんてされたのでどうも居心地が悪い。相手が命の恩人というのはわかっているのだが、どうも少し距離をとってしまう。それでも彼女は腕をとったりと、かなり積極的だった。しかし態度で好意を見せられてもどうにも腑に落ちない。俺は一目惚れなんて信じない。信じてはいけないと思っている。話したこともない相手に恋をする。好意を向ける。それは美談で語られることもあるのだけど、俺にとってはどうも気持ち悪い。心の距離を詰める作業がないというのはどうなのだろう。少なくとも俺にはわからない感覚だ。

 俺はすっかり日が暮れてすっかり暗くなってしまった外を眺める。今はもう雪も止んでいる。さっき親にも祖父母にも連絡を付けたのでとりあえずは安心だ。しかし連絡したが祖父母は認知症がひどく俺が山に行ってるのをすっかり忘れていた。親も遭難したが親切な人に助けられたという話をしても寝耳に水だったのかひどく驚いていた。警察などに届け出ていないようだしこの分だと帰っても幸か不幸か面倒事にはならなそうだ。雪って怖いものだったな。俺は再認識する。都会になれて自然の恐ろしさをすっかり忘れてしまっていたようだ。

コンコン。

 ドアをノックする音だ。

「どうぞ。」

俺は部屋に入ることを促す。さっきまではこのログハウスを案内してくれていたが俺が休みたいといったので休ませてくれていたのだが、何やら用があるようだ。

「失礼します。」

彼女は小声でそう言いながら入ってくる。

「ごめんね。遭難した後なのにこのログハウスの中とはいえ連れまわしてしまって。」

確かに遭難した後だったので疲れていたのか案内の途中でふらっとはしてしまったが、しかし彼女は善意でしてくれたことだ。起こるわけにはいかないし、第一彼女は命の恩人だ。こっちこそ彼女が申し訳なさそうな様子を見るのは忍びない。

「いえ、大丈夫ですよ。気にしないでください。ところでどうしたんですか?」

「特に用事があるわけではないんだけど、君と話がしたくなちゃって。これも何かの縁でしょ?少し話でもしませんか?」

「いいですよ。」

「まあ清い男女交際をしようと思って仲だしね。」

「先に断っておきますけど、付き合うっていう話はちょっと・・・・・。」

先ほどの理由からやはり断りたい。目の前にいる彼女がどんなに美しい人でもあってもだ。

「はは、警戒しなくてもいいのに。そっかダメなのか・・・・・。じゃあ恩返しの話なんだけどここで二週間暮らしてくれないか?」

俺の休みはあと三週間ほど・・・・。無理な頼みではない。

「確かにここに留まることもできますが。でも・・・・」

いいのだろうか?年頃の女の子と俺が一つ屋根の下二週間も暮らしてしまって?

「じゃあ決まりだね。ここで二週間ほど暮らしてよ。そうしたら気が変わって付き合ってくれるかもしれないんだし。」

まあ、二週間あれば男の一人や二人この子だったら籠絡できそうだ。まあ、俺はそうはならない思うが。

「それはどうだろ・・・・・・。」

「まあいいわ。話をしましょ。とにかく私はあなたの話が聞きたい。一目見た時から興味があったんだ君のことが。」

「とは言っても何の話をすれば・・・・・。」

「何でもいい。君の話ならなんでも聞くよ。」

何でこの子はこんなに俺に夢中なのだろうか?俺よりもいい男なんていくらでもいるだろうし、この子なら男を選ぶことができるはずなのに。俺には理解ができない。もともと女という生き物というのはよくわからない生き物ではあったが。目の前の子はそれが特に顕著だ。この子が今までの女の子と違うと言ったら不思議と女を感じさせないのだが。しかし、どんな話をすればいいのだろうか?この子が喜びそうな話とは何だろうか?俺は少々考え込んでしまう。それを見て彼女は口を開く

「君の小さい頃の話がしたい。君はどんな子どもだったの?」

これなら少しは話をすることが出来そうだ。俺は小さいころの話をすることにした。

「昔こんなことがあったんだ。」


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