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出会い

「目が覚めたのかい?気分はどうだい?」

「気分はいいけど・・・・。助けてくれたのか?」

「そうだね。君はここからそう遠くない洞穴の中でぐったりしていてね。死んでいるのかと思ったよ。生きていて何よりだけど。」

「そうか。ありがとう。」

俺は深々と頭を下げる。命の恩人なんてものができるとは思わなかった。

「ところで君の名前はなんて言うんだい?」

「大野純。君の名前は?」

「僕かい?僕の名前は鬼崎美雪。鬼に崎はありきたりなあの感じだよ。何はともあれ僕は君の命の恩人になったわけか。少し妙な気分だよ。」

この女の子は少し変わっていた。純和風な黒い髪。ただし短髪。まっすぐに俺を見る瞳。少しボーイッシュな女の子といった感じだ。歳は俺と同じか年下だろうか?変わっているのは服装でこの洋風なログハウスには全くもって似合わない着物だった。そして、口調も男っぽい。

「俺ができることならなんでもする。恩返しがしたい。」

「恩返し?うーん。でもなあ別にして欲しいことなんてないし・・・。」

「でも何かしないと気持ちが悪い。それに何かしたい。仮にも命の恩人なんだ。なにかしないと申し訳が立たない。」

「そっか。じゃあ、僕と付き合ってくれないかな?」

「へっ?」


なんだろうこの展開は下手なご都合主義のマンガやアニメの話か何かのようだ。しかし、現実問題よくわからないうちに告白されてしまってるのか?いやいや。その考えを否定する。何とも馬鹿げた考えだ。

「それってどういう意味かな?」

「僕はね君に告白したんだよ。好きってそういえばわかるかな。いわゆる男女交際ってやつさ。買い物とかに付き合うとかそういう意味ではないよ?言っておくけど僕は本気だかね。」

そう言って俺を試すかのようにこっちを見るのだ。綺麗な瞳で。その瞳にこっちが吸い寄せられそうだ。

「ジョークですよね?」

「いいや、違うよ。愛の告白だよ。」

「からかうのはやめてくれよ。」

「あーなんかそういう態度傷つくなー。まあ、いいや。この話はまた後でしよ。僕は久しぶりに気分がいいんだ。ひとまず、ここを案内するよ。」

そういうと彼女は俺の手を取った。

「行こうよ。」

彼女はにっこりと笑った。俺はその笑顔に少し見とれてしまっていた。あっけにとられているときにその表情を見ながら嬉しそうにしていた彼女を彼は見ていなかった。


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