表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

弟は魔王になったらしい

作者: ルイ

思いつきでやってしまった。弟がただの変態です。

「おねえちゃん!」


ぴこぴこぴこ


「なによー?」


ちゅどーん


「お、よしよし敵を撃破ー」

「おねえちゃん!!」

「だからなによー」


絶賛ゲーム中で忙しいのですが。


「ぼくね! 魔王になったよ!!」

「おー。それはおめでとうー。あっ、逃げられたっ」

「聞いてよっ!」

「聞いてるじゃん。魔王になったんでしょ?」


こちとらゲームで忙しいんだってば。もうすぐボスステージなんだよ。


「前におねえちゃん言ってたよね? 魔王が好きだって。恋人にするなら魔王みたいな人がいいって」

「言ったっけー? まぁ勇者よりは魔王派だわな」

「だから、おねえちゃん僕のこと恋愛的で性的な意味合いですきだよね?」

「ないわー」

「なんで!? こないだ聞いたら魔王だったら僕のこときちんと考えてくれるって言ったのに!」


だって弟ですし。弟ってさ、男とか女とかじゃないの、種族が「弟」だもんよ。

てか弟よ。性的にってなんだ。まだ家族愛的なものなら理解できるが。

というか、そんな話したか? 魔王関連は何となく覚えているが……恋人とか、なんぞそれ。


「頑張って魔王になったのに!」

「意味分かんないし」


ぴこぴこ……どーんっ


「ちっ、気を逸らせるからやられちゃったじゃないの!」


舌打ちして目の前にきていた弟をキッと睨みつける。


「ご、ごめん……でもさ、約束してくれたよね? 僕が抱かせてくれって言ったら、魔王になれば考えるって」

「ああ? 何の話……あーあー。思いだした、先週くらいののアレか。あの時は新作ゲームやってて話しかけられて鬱陶しかったから適当にそんなこと言ったかもしんない。あんま覚えてないけど。てか弟、確かに久しぶりだな。何処行ってた?」

「だから! 異世界に召喚されて魔王になったんだってば!」


お分かりかもしれないが、私は弟が苦手だ。何を考えているのか全くわからないこの生き物が苦手だ。

行動は突飛だし、やたらと私に接触してくるしうざいことこの上ない。

しかしそこは家族である。家族なのでというだけで一応はそのへん諸々カバーできてた。今だって取り繕ってるよ? もちろん。可愛イ弟ダモン。


「ほー。魔王になって、何してきたわけ?」


とりあえず適当に話合わせとくか。先ほどまでやっていたシューティングゲームを取り出して、違うゲームをセットする。某女性向け恋愛ゲームだ。ファンタジーをモチーフにした世界で、魔物が溢れる世界に救世主として立ち上がったヒロインの話だ。ちなみに攻略対象は魔王含む。


このアホな弟が魔王(笑)になったきっかけだ。このゲーム中に話しかけられて、確かに「(こんなかんじの)魔王になったら考えるわ」って言った気がする。

ちょうど魔王ルートだったんだよね、うん。そもそも魔王そのものが好きだったしね。憧れといってもいい。

カッコイイじゃん魔王。特に理由はない。


「そりゃ、魔王になったからおねえちゃんに見せようと思って戻ってきたんじゃないか」


ぽっと顔を赤らめるように恥ずかしがる弟。


てか、聞き捨てならないんですが。


「あんた馬鹿じゃないの? 魔王になったのに、何で世界征服しないわけ?」

「え?」

「魔王っていうのは世界征服してナンボでしょうが! おめおめと戻ってくる奴があるか!!」

「え、で……でもっ」

「でももクソもあるか。とりあえず魔王主張したいなら世界征服してからにしろや」


弟は魔王というものをわかってないな。魔王ってものは世界征服に乗り出してこそだろ。

美学が分かってないよ、全く。

じゃあ乙女ゲームで勇者に腑抜けにされる魔王っていうのはどうなんだって話だけど、そこはそれ。

正統派魔王とは世界征服するもんだ。


「じゃ……じゃあ、世界征服したらなにくれる……?」


おずおずと伺うようにこちらをチラ見する弟。上目遣いやめろ、気持ち悪い。


どうでもいいけどこの弟、見た目だけはいい。キャラでわかりやすくいうなら美少年でショタ系のわんこ。中身オカシイけど。

今だって本気で魔王になったとか言うつもり? オカシイんじゃないの? あ、もともとか。


「世界を手に入れてまで私から何が欲しいわけ」


世界手に入れた時点で私からあげれるようなもん無くないか?

ああ、異世界でのことだからこっちでの事じゃないのか。ああ、はいはいなるほどね。


「もちろんおねえちゃん!」

「却下」

「ええっ!!」

「何故驚くし。私は私のもんで、あんたにやるわけないでしょ」

「じゃ、じゃあ世界征服した異世界をあげるから!」

「いらね。二次元で間に合ってるし」


そういうのはゲームで十分だ。

ああ、ほら魔王様が甘く「俺は……お前を支配したい……」とか言ってる。ああん、やっぱりこの声優さんっていい声~。うっとり。


「僕は……お姉ちゃんを支配したい……」

「きもっ」

「ひどいっ!!」


やめてくれる。魔王サターヌ様を汚さないでよ。

てかまだいたの弟。これからサターヌ様とのデートにいくんで邪魔なんですけどー。


「ま、魔王になったんだから約束! ちゃんと考えてよ!」

「弟のこと? ……うん、考えた。終わり」

「ちがうよ! 僕はお姉ちゃんとエッチしたいの! だから、魔王になったの!!」

「は、きもっ。てかそういう要素ないから。弟と近親相姦とかないわ」

「両親再婚だし、血は繋がってないし、僕はお姉ちゃん以外の女に興味ない!」

「そういう設定とかいいから。いらいないから。てか知りたくないしそんなこと」


サターヌ様も「邪魔が入ったようだ……しばしの逢瀬、楽しかったぞ」とか言ってどっか行っちゃったじゃん馬鹿弟ー!サターヌ様はそれほど遭遇率高くないから、逢える時に出来るだけ好感度あげなきゃならないのに!


「僕は、お姉ちゃんとずっと一緒にいるよ?」

「お前に聞いちゃいねぇ」

「ううぅ……とにかく、世界征服したら……お姉ちゃんの体を頂戴ね。とりえあず、先に体だけメロメロにしてあとから精神もついてこさせるように努力するし。俺、こう見えて結構でかいよ?」

「努力の方向間違ってるし。そもそもやるわけないだろ変態弟。勇者にやられてくたばれ」

「ああっ、早くお姉ちゃんのイイ声聞きたいよっ! 想像したら我慢できない……! じゃ、ちょっと異世界征服してくるね。返ってきたら裸エプロンで出迎えてくれたら嬉しいな! ……いでよ、魔剣ドルドゥー! 望みどおり世界を支配してやる。僕をギレンに連れて行け!!」

「はぁ? 何やって……」


弟がいきなり発光しだし、足元に意味ありげな模様が浮かびあがり、その手にはいつのまに持っていたのかなんかよくわからない剣(?)のようなものを握りしめた弟は、バシュンッと言う音とともに姿が掻き消えた。


あれ、どこ行った?


……………。


まぁいいか。サターヌ様ー! まっててね、今、会いに行きますぅ!!


数秒後には弟の存在など綺麗サッパリ忘れ去り、目の前の黒髪の魔王様に精一杯のアタックを開始するのだった。





今度は2週間くらい行方不明になっていた弟に、今度は「世界征服してきたよ!」とかいいながら迫ってこられるのはそう遠い話じゃない。

弟「世界征服したからやらせて!」

姉「だが断る。お前の頭にはそれしかないのか。そっちでハーレムでも築いてこいよ」

弟「僕が欲情するのはおねえちゃんだけさ☆」

姉「はた迷惑な。まず異世界制服した証拠がない」

弟「どーん!世界の王の証さ!(ぐねぐねする異様な形になった魔剣をちらり)」

姉「やめろ歩く猥褻物」


どうでもいいキャラ説明。


弟に苦手意識を持つ。主に弟の変態発言のせい。重度のゲーマー。

恋人などはいたこともあるが、弟に全部もっていかれる。妹じゃない、弟にだ。

鬱陶しさから「魔王にでもなってこい」とか言った張本人。


姉が大好きなシスコン(ただし度を越している)。

一応姉の言葉を守っていたり聞き分けよくしているが、いつも押し倒したい衝動に駆られている。

姉が魔王になれというのでなってきた。更に異世界征服もしたようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 設定面白いから弟視点の短編も書いてください
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ