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エリートかくれんぼ―決起変―

ここは近未来のとある公園。そこで物憂げに子どもたちが遊んでいるのを眺める5人の老人+1人。


右から順に名をトメ、キク、タカシ、ももたろう+ももたろうの孫の鬼太郎おにたろうという。


「ひょひょはろうひゃん!!あひぃはもうみひゃおへーん!」


タカシがもう我慢の限界だというように声を上げる。タカシは「もったいない」をモットーにしているため、歯が抜けてしまった入れ歯を未だに使用している。口にまだ嵌るから使えると言い張っているのだ。少しボケているのかもしれない。


しかし、そこは長年の付き合いであるももたろう。タカシの言葉に同意するように頷く。


「始めるともう後戻りはできん。みんな覚悟はよいな?」


「子どもたちの未来のためなら…‥」


「この命、いえ……年金さえも惜しくありません」


「あひぃもね……「みんな……感謝する!!」


トメとキクがリレーのように話し、それに続くようにタカシも自身の決意を伝えようとするが、無視するかの如くももたろうが感謝の意を伝える。


「あひぃも……「子どもたちのためにも、ワシらはエリート達から“かくれんぼ”を取り返さねばならん!」


気を取り直してもう一度みんなに語りかけるタカシ。しかしそれすらも意に介さず、物語の都合上説明しなければならないことを、ももたろうは唐突に話し始めた。


「長年、子どもたちにとって慣れ親しんできた“かくれんぼ”……しかし!今やそれはエリート達にのみ許された、まるで貴族が行うような雅な遊びとなっておる。マジうたてしやな!!」


ももたろうによるタカシを無視した演説は続くが、それでもタカシは諦めない。


「あひぃ!……「良いかみんな!力を合わせるのだ!恐怖は己の中にあると知れ!!」


あえぎ声のような声を出してまで食い下がるタカシ。


「みんなは一人のために!一人はみんなのために!!」


しかしまるでタカシのことは眼中になく、みんなはタカシ一人を残してスクラムを組んでいる。それを見たタカシの絶望といったら……筆舌に尽くしがたく、とても語れるようなものでは無かった。


――何故自分はここにいるのか?


――こいつらは本当に仲間なのか?


――なぜ自分は未だに歯の抜けた入れ歯を後生大事に使っているのか?


ありとあらゆる疑問がタカシの脳内を埋め尽くす。もはやここがどこなのか、天地の感覚でさえあやふやになったその時……タカシの中で、何かが切れた……!!



「あひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



タカシの声に、いや言葉にならぬ慟哭が公園の空気を突き抜ける。その眼は血走り、歯の抜けた入れ歯でガチガチと音を鳴らしている。


ーガチガチガチガチ・・・・・・!


「タカシが……警戒音を……」


「鳴らしておる……いかん!仲間を呼ぶつもりじゃ!!」


無理してリレーのように話すトメとキクに、若干の苛立ちを感じながら狼狽するももたろう。そこへ鬼太郎が助けの手を差し伸べる。


「タカシさんは……しゃべりたいだけなんだよね?」


優しい声でそう告げると、懐から紐のついた真新しい入れ歯を取り出す鬼太郎。それをヒュンヒュンと回しながらタカシへとゆっくり近づいていく。


「まっ、まさか、タカシを鎮める気か!!あぶない!戻りなさい!!」


「大丈夫……きっと……しゃべれる」


ヒュンヒュンと回転する入れ歯を目で追うタカシ。その血走った赤い瞳から、徐々に狂気の色が薄れていく……


「それっ!」


ヒュンッ!鬼太郎の掛け声とともに、空高くへと舞い上がる入れ歯。それに合わせるようにして、タカシは超人的な跳躍力を発揮し空中でキャッチ、そのまま口へと装着すると、ももたろうたちに背を向けたまま軽やかに着地する。


「すまんかったの……取り乱してしまって。じゃが、これでワシの決意をみんなに伝えられる!ワシも……」


落ち着きを取り戻したタカシが口を開く。やっと、やっと、みんなに自分の想いを伝えられる。万感の思いが詰まったその声は喜びでうち震え、瞳からは涙があふれ出している。その涙を振り払うかのようして、後ろを振り向くタカシ。


「ねんきっ……」


しかし、そこにはもう……誰もいなかった。唯一残されていたのは、無駄に達筆な字で地面に書かれたタカシへのメッセージ。



『話が長くなりそうなので先行きまーす!ごめんチャイナドレス☆ももたろう』



「きっ、ききききききききき……!キル・ゼム・オォォォォォォォルゥゥゥゥゥゥゥ!!!」


タカシの叫びが、青空の公園に響き渡わたる。その後怒り狂ったタカシが、目を真っ赤に染めて、ももたろうの家に攻め入ったのは言うまでもない。





一回書いたのが消えたのでもう一度、一から書き直しました。急いで書き直したので誤字脱字が多いかもしれません。


あと、消える前の方が面白かったような気がします。まぁ、僕のコメディ適性なんて有って無いようなものなで、あんまり変わらんのでしょうが。

ちなみに前作「電波なエリーと小人と素敵な靴屋OF THE DEAD」とから思いつきました。露骨な宣伝です。すいません。


また、感想、ご指摘大歓迎です。


むしろ、そういう「お互い指摘し合えるような人捜してんだけど~」って方いますか?僕でよければ声かけて下さい。よろしくお願いします。

※前作からどうやってコレ思いついたの?っていう質問が来たので簡単に書いておきます。

「えりーとこびと」を変換しようとしたら「えりーと」⇒「エリート」になり、そのときにピンときた。それだけっす。

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― 新着の感想 ―
[良い点] タカシの扱いの悪さがおもしろかった。こういうやりとり好きです。 [気になる点] かくれんぼどこ行ったw [一言] どうやったら前作からこんなものが思いつくんだ……
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