第9話 討伐と...
「ドーラ、どうだ?」
「はい、かなりの数ですね。」
私達は今、森の奥にガルール及びガルの群の討伐に来ている。初めはルルとかいう妖精の話は半信半疑だったが、今では情報があってよかったとすら思っている。
レイド村にいる傭兵やハンターを合わせて15人からなる討伐隊だが、何もしらずいきなりあの集団に襲われていたらと思うとぞっとする。
ルルの探知により魔物からの奇襲も問題なく対処できたおかげで皆ほぼ無傷の状態だ。
「そちらはどうです?」
「ああ、大分進んでいる。まあ全てを対処できるとは思わないがな。予定通り夜明けと共に仕掛ける」
ガルは夜行性で朝方に眠りにつく。そこを奇襲し、今ハンターたちが仕掛けている罠誘導し殲滅する予定だ。あとは見張りをしながら待つだけだ。
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そして時間が来る。
「よし!行くぞ!」隊長が指示を出すと共に獣人のハンターたちが木から木へと飛びうつりながら寝床に向かう。私達は弓を持ち持ち場へつく。
ハンター達が戻ってくると共にガルの群が突進してくるのが見える。
「よし、放てぇ!」
掛け声と共に弓矢と魔法による氷の矢が一斉に放たれる。が、まだまだいる。
死骸を乗り越え新たなガルが突っ込んでくる。そして、突如バランスを崩し倒れながら滑る。
「よし、倒れたやつから狙ってけ!」矢が次々と放たれる。
罠は単純だ。水溜まりを所々につくり、凍らせただけ。
およそ40匹のガルがそれだけで重傷か脚をやられ移動できない状態に陥った。残りは10匹近くと、ガルール。
「木の上の奴はガルールへ牽制!残りは近づいてきたやつから倒せ。状況を見て動けない奴にも止めをさしていけ!」
私も剣を手に残りのガルを刈っていく。1匹ずつなら誰も怪我すらしない。
死体の山によりガルールの動きも止まっている。
「よし!残りはガルールだけだ。いくぞ!」
「おう!」
突進ができないガルールを囲み中距離から攻撃していく。
呆気なく勝負はつきガルールの討伐は完了する。
「「おっしゃあ!」」
皆が歓声をあげ勝利を喜ぶ。
「よし!換金部位の回収とガルの処理をするぞ!これだけ肉が手に入ればしばらくはいらないな」
「そうですね」
こうして無事全ての仕事が終わり、皆で帰還する。が...
「な、なんだ?何があった!」
血の臭いがする。警備兵もいない。
皆が焦り村に入る。所々にガルの死体。
一同は顔を青くしてそれぞれの家族の元へ。
「いない、誰も居ないぞ」
茫然と立ち尽くす。何がどうなったの?皆はどこ?
ふよふよとルルが近づいて来る。
「襲撃があったみたいね。あのぎるどとかいう建物に人の気配が沢山あるわ」
「ほんと?!」ギルドに駆け出す。ユト!ユーリ!無事なの?鼓動が早くなる。
ドンドンドン!ギルドの扉を叩く。
「みんな!中にいるの?開けて!?」
「ん?ドーラか?」中から声が聞こえ。
「そうです!」
扉が開く。中には村人が雑魚寝していた。
「ユトは?ユーリは??」
ギルド長につめよる。
「落ち着け!皆無事だ!ユーリが怪我をしたが問題ない」
「よ、よかった」安心してへたり込む。
案内されてユーリの元へ。ユーリは上半身を包帯にまかれ寝ていた。ユトはそばに寄り添い寝ていた。
「何があったんですか?」
「うむ、先ずはゆっくり休みなさい。討伐隊にはあとで説明しよう」
ユーリの側に寝る。顔色が少しわるい。でも無事でよかった。本当によかった。。。