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第7話 妖精のルル

「えっ、妖精を見た?」


「よ、妖精さん?ほんとに!?」


ファノとリーンが驚いている。リーンは目をキラキラさせている。


「うん、昨日お花畑に行ったらいたんだ」すごいでしょ?と僕。


「本当かなぁ、夢なんじゃないの?」自慢気な僕にジト目を向けてくるファノ。


「ほんだってば!それで今からまた行ってみようと思うんだけど、一緒にいかない?」


「うーん、しんじらんないなぁ」なんで信じてくれないんだよ!ひどいよ!


「で、でも見てみたい」リーンは信じてくれたみたい。よかったぁ。


「まあ行くだけならいっか」ファノはリーンを可愛そうな娘って感じで見てる。ほんとなのになぁ...


妖精に出会った時の事をはなしながら3人でお花畑をめざす。


「嘘にしてはリアルだね」


「嘘じゃないよ!ファノのバカ!」


「なによ!バカはあんたでしょ!」

なんてわいわい言ってる間に到着した。


「おーい、妖精さーん」

呼びかけるが、返事もなければ、姿も現してくれない....


「ほらっ!やっぱり夢なんじゃないの!寝ぼけてたのよ」フフンって感じでドヤ顔を決めるファノ。


「う、嘘じゃないよ。ほんとに居たんだから!」


そう言ってお花畑に入って捜そうとするユーリ。すると


「あー、またあんたお花を踏みつける気?」

目の前に現れて僕の頬をつねりだす妖精ルル。痛い!痛いよ!


「えっ、本物?」


「可愛い」

ファノは驚き、リーンは見とれている。二人とも助けてよ...ぐすっ


「痛いよ、止めてよ」目に涙をためて訴える僕。ほんとに痛いんだよぉ。


「約束破ったあんたが悪いの!このっ!このっ!」

ルルは許してくれるどころか、頬を限界まで引っ張り、蹴りまで入れられた。ひどすぎる...


「ご、ごめん。花を踏むつもりはなかったんだ。花をよけて入って行くつもりだったんだよ!」

暴力反対!児童虐待禁止だよ!!と全身で抗議する僕。


「ふん、どうだかね。ところで他にも人間がいるけど何しに来たのよ?」

ギロッと僕たちを睨みながらルルが聞いてくる。


「え、えと、二人とも妖精を見てみたいっていうから連れてきたんだ。二人とも僕の友達だよ」花畑を荒らしに来たんじゃないよ!って必死に訴える。


「はー、ほんとに居たんだね。私はファノ!よろしく」ファノは目を擦って確認している。今度は僕がドヤ顔決める番だ!ってドヤ顔したら殴られた。あぅ..


「あ、えと私はリーンと言います。よろしくお願いします」

リーンはご丁寧にも頭を下げている。さっきより更に目が輝いている。


「ふーん、そう。まあ確かに私達は普通人前で姿を現さないからね。私は花の妖精ルルよ」尊大に腕を組みながら自己紹介するルルさま。


「私達ってことは他にもいるの?」ファノが聞く


「ここには私しか居ないわ。あの森の奥にいけば沢山いるけど、人里にくる事はほとんどないわね」

説明しながらリーンの肩に乗るルル。


「わぁ」リーンがびっくりしながらも嬉しそうにはしゃいだ。


「あなたからサフリーンの香りがするわ。育てているの?」

サフリーンは、小さな薄い青色の花だ。さすがは花の妖精。そんな事まですぐわかるなんて。


「は、はい。私の髪の色と花の色が似ているのでリーンと名付けられたんです。それが縁でずっと育ててるんです」リーンが自分の髪に触れながら恥ずかしそうに説明した。


「なるほど、あなたは気に入ったわ、そこのおちびちゃんとは大違いね」なんで?僕ばっかりいじめないでよ!


「あ、ありがとうございます」


ちょっとムカッとしたユーリがルルを小突く。負けじとルルが飛びげりを頬に叩きこむ。ユーリは反撃を試みるがかわされる。


「えいっ」

ユーリの攻撃をルルがよけた隙をついてファノがルルを捕まえた。が、ルルが消えた。


「あれ?」ファノは自分の手の中を不思議そうに見ていた。


「なにするのよ!乱暴なんだから」

声だけが聞こえる。どうやら見えている時しか触れないらしい。


「はぁ、なんだか疲れたわ。もう帰るから」

不貞腐れたのかルルが不機嫌そうな顔で飛んでいく。


「あっ、ルルちゃん、明日も来る??」ファノが慌てて声をかける。


「ん?そうね、お花が咲いてる間は来るつもりよ。」リーンに対しては笑顔のルルさま。


「やったぁ!私も明日またくるね」


「わかったわ、そこの乱暴者たちはこないでよね!リーンだけよ!それじゃ」最後まで睨まれ続けた僕。さすがに傷つくよ....


「ばいば〜い」

手を振り合うルルとリーン。すっかりおいてけぼりだ。


「可愛かったね」とご機嫌のリーン。「生意気だけどね」とファノ。「ルルの方が乱暴じゃないか」と蹴られまくった僕。


次の日、お花畑に行ってみると、ルルとリーンが仲良くおしゃべりしていた。

僕が近づいていくと、「あっ乱暴者!」と言われ蹴られ追い払われた。何もしてないのに・・・トホホ。

「やっぱりルルの方が乱暴者じゃないか」という理不尽さにうちひしがれる僕だった。

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