第14話 新たな武器
間接攻撃の有無。それだけで戦いの幅がかなり拡がる。
ユーリ自信、弓は遜色なく使える。しかし近距離戦術と連動して使いこなせる程ではない。魔法がうまく使えれば問題ないのだが、それができない。
ユーリは今日も悩んでいた。
爆発する炎をとばせないか、風を飛ばして切れないか、剣自体を投げる等いろいろ試してはみるがどれも駄目。
「はぁ、だめだ。才能ないのかな?やっぱりキールさんか村長に相談するしかないか。」でもそれで駄目なら絶望的だよな。なんて思いながらギルドへ。
「キールさんに相談があるんですけど。」ナンナさんに告げる。
「相談?今来客中だからしばらく掛かりそうだけど」
「何があったんですか?」
「うーん、ほら、最近また税収が上がったでしょ?その対応なんかで忙しいのよ」
「ああ、レンさんが戦争でも始めるのかもな、とか言ってましたしね」
「ええ、何だかキナ臭くなってきてるみたい」ナンナさんが顔をしかめる。
「わかりました。個人的な事なので村長の所に行くことにします。」
そう言ってギルドを後にする。
戦争か。経験がないからいまいち想像できないや。でも、あの襲撃の時のように理不尽な暴力で人が沢山死ぬのかな。そんなの許せない。なんで戦争なんてするんだろう。
そんな事を考えながら村長宅へ。
「うむ。なるほどの。お前の力は特殊じゃから、色々と試して見るしかないかの」
そうして村長の指示であれこれ試す。そして
「うむ。どうやら手から離れたものには、その爆発的な魔力を送る事はできないようじゃ。そして、普通に魔術を出しても手の前で爆発するだけで飛ばせない。そして、手に触れていればある程度魔力を送ることができる。」
ふむふむ言いながら一人で納得している。
「何か思いついたんですか?」たまらず聞く僕。
「まず一つ目だが、地面に手をつきなさい」言われたとうりにする。
「そして、そうじゃな、あそこの石と手の間に剣がある事をイメージしていつものように一気に魔力を送ってみなさい」
剣をイメージ、何となく想い浮かべて魔力を送る。
ババババン!ユーリの前方で小さな石が一斉に飛び上がる。
「うむ。いまいちじゃな。イメージが曖昧過ぎて魔力が分散してしまったようじゃ。訓練次第では使い物になるかもしれんの」
「す、すごい。さすが村長です。」これならいけるかもしれない。
「うむ。そしてもう一つじゃが、」
「他にもあるんですか?」わくわくしながら聞く。
「うむ、此方はごく単純じゃが、ちょっと待っておれ」そう言って家の中に消える。しばらくして何かを手に戻ってくる。
「これじゃ」
その手には長い鎖?があり片側に鎌、もう片方には六角柱の鉄の塊がついている。
「どう言うことですか?」
「なに、簡単なことじゃ。まず使い方じゃが」そう言って幾つかの型を見せてくれた。見たことのない武器。見たことのない動き。ユーリはすっかり魅了されていた。
「こうして片側を投げつけて当たる瞬間に魔力を送る。そうすれば中距離でも十分使える。鎌を使えば近距離にもある程度は対応できる。」
「ちょっと恐いですけどすごいです!!」
「まあ慣れるしかないのぉ。悩み続けるよりはいいじゃろうて」
「はい。ありがとうございます」
うまく行けばこれでまた強くなれる。ユーリは新たな可能性にわくわくしながら修行に没頭していった。