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第12話 兄貴分

「よう、ユーリ」


ギルドに入ると、アラン兄に声をかけられた。アランは15才になる。獣人の成長は人間より少し早いらしく、もう完全な大人の体つきになっている。弓の腕は一流と言ってもいいだろう。彼の弓は特注で飛距離は1.5倍の剛弓だ。


アランのとなりにはレンがいる。レンは17才。細身だが無駄のない体つきをしており、背には長剣を担いでいる。相変わらず剣技では敵わない。美少年が好青年になりますます完璧だ。


初めは2人で組んでいたが、今は魔法が得意なルトンさんと組み、バランスのとれたパーティーとなっていた。


「おはようございます、アラン兄、レンさん」

二人とも背が高いから上を見上げるようにして笑顔で挨拶を返した。


「ちょうどいい、アギラの討伐受けないか」

なんて事ない感じでアランがいう。


「アギラですか?あのウネウネした奴はですよね?戦った事がないんですけど」

アラン兄は簡単に言うけど僕は不安なんだけど。まだまだ弱いし、体も小さいし、魔法は下手だから。


「ああ、まあ問題ない。Cランク相当だ」

問題あるよ!と思うが戦ってみないとわからないかも知れない。


「そうですか?ところでルトンさんは?」いつも3人でいるのに居ないな?


「今日は休みだ。かわりにお前ってわけ」

イタズラっこみたいな顔でアランが僕を見る。


「ええ?!ルトンさんのかわりだなんて無理ですよ!」絶対無理!無理すぎるよ!


「大丈夫だよ。フォローもするよ」レンさんが簡単に言ってくれる。


「わ、わかりました、レンさんを信じますよ?」

懇願するようにレンを見上げて渋々了承した。


「よっしゃ!決まりだな」


アギラは巨大な蛇みたいな奴で、硬い毛でおおわれている。正直気持ちわるい。




そして今僕は必死に戦っている。


「て、手伝って下さいよ!」と僕。


「俺らで4匹倒した。危なくなったら止めるから自分でやってみな」

腕を組んで傍観してますって感じでアランは笑う。


「そんなぁ」

レンさんも笑って見てる。なぜ?!


アギラが巨体を鞭のようにしならせ暴れる。結構な早さでかわすので必死だ。


レンとアランの戦いを思い出す。弓と炎による中距離からの攻撃。アランの剛弓はアギラの勢いを止める程の威力があり、レンの炎術はアギラの硬毛を焼き払う。そうして弱らせていき、アランの牽制の隙をつきレンの炎の魔法剣で止めをさしていった。


「くっそ」

まず、邪魔な硬毛をと思い隙をつき爆炎の剣を叩き込む。


「よし!がっ?!」


硬毛の一部の排除に成功するがアギラが尾を素早く叩き込んでくる。何とかガードしたが飛ばされる。


「くそっ」剛毛に凪ぎ払われ腕はから血が流れる。

追撃を何とかかわし距離をとる。


間接攻撃の魔法が苦手なのが痛いところだ。


「これでだめなら無理だな。」僕は意を決して隙をついて斬りかかる。


皮膚を剥き出した部分に突っ込みながら剣を突き刺す。剣はすんなり入っていった。そこに魔力をそそぎこむ。

パキッと剣を中心にアギラの胴部分が凍る。それを確認し、自分の前方に風を爆発させて離脱。ユーリの目の前をアギラの尾の反撃がきたが何とか回避。そのままバランスを崩し後ろの木に激突。アギラはそのまま動かなくなった。


「いてて!何とか勝てたか」頭をさすりながら立ち上がる。


「お疲れさん、結構な危なかったな」そういってアランが部位をとって行く。


「そうだね、あの技は反則気味な威力だけど、間接攻撃はどうにかしたい所だね。」レンも長剣をおさめる。


「わかってますけど、中々うまくいかなくて」レンに手当てしてもらう。魔法がうまくできたらなぁ....


「まあまだ9才だしな。俺らの9才の頃より強いし、気にすんなよ」アランに慰められる。


「でも、傭兵になったんだ。早くどうにかしたいんだけどね」

このままじゃ危ないし。


「そう、父さんがじいさんにまた相談してみたら?」


「うん、そうしてみるよ」


そんな事を話はながら帰る。


「ただいま」 「邪魔するよ」


アラン兄さんと帰宅。

「お帰りなさい。あれ?アラン?」

ユト姉さんが出迎えてくれた。


「おう!」

アラン兄がユト姉さんに挨拶する。ちょっと顔があかいよ?


「あっユーリ!その腕!早く見せなさい」僕の腕を見て姉さんが焦る。


僕の腕はアギラの硬毛により結構な酷さだ。


「アラン!またユーリに無茶させたのね!?」


「い、いや。そんな事は」姉さんの一睨みでアランがビビる。


「だまらっしゃい!あなたに着いていくといつも怪我して帰ってくるんだから!」

すごい剣幕でユト姉さんが怒る。これには誰も勝てないんだよ。


「す、すみません」

アランがドンドン小さくなり尻尾も項垂れている。


「まあまあ姉さん。そのくらいに」

僕はアラン兄が可哀想になり止めにはいる。が、


「あなたもよ、ユーリ。怪我する前に逃げなさいっていつもいってるでしょ!」


「ご、ごめんなさい」


そんなこんなで夕飯まで二人で正座をさせられるのだった。

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