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第10話 恐怖と決意

「んっ」

目が覚める。ここは?周りを見る。両隣に姉さん達がそれぞれ寝ている。


僕はどうしたんだっけ?ギルドに避難して、そうだ、ガルが...


思い出したら震えてきた。恐い、恐い、震えが止まらない。


「う、う、うぇ」涙がでてきた。


「ユーリ!大丈夫!大丈夫だから!」


いつの間にか起きたユト姉さんに抱きしめられる。


「う、うぇ、ぐすっぐすっ」


「大丈夫!頑張ったね!ユーリ、頑張ったね」


抱きしめられつづけ、どれくらいたっただろう。もう震えは止まっていた。


「まだ、寝ている人もいるからもう少し寝てなさい、皆が起きたら起こしてあげるから」


言われるがままに眠りに着く。。。




次に目を冷ますと周りをにはほとんど人がいなくなっていた。


「おはよう、ユーリ」

ユト姉さんだ。


「お、おはよう。」起き上がろうとすると止められた。一応、治癒魔法で傷を塞いだがあまり動きすぎると開いてしまうかも知れないらしい。


「とりあえず家に帰るけど、はい」


え?えっと?おんぶかな?


「や、やだよ!恥ずかしいよ」断固拒否。


「何言ってんのよ!怪我人なんだから大人しく言うこと聞きなさい!」


そんな!って立とうとしたら背中に痛みが走る。


「ほら、無理すると悪化しちゃうよ」


しぶしぶおんぶされて部屋をでる。


「おっヒーローのお目覚めか?」確か警備兵のおっちゃんだ。


「ヒーロー?」だれが?


「おう!お前さんがあの時突き飛ばしてなきゃやばかったな、あれは」


「そ、そんなんじゃないよ」

そう、僕は恐くて混乱してただ飛び出しただけだ。


「まあ、そんな顔するなよ。皆、大人も子供も混乱してたんだ。そこは仕方ねぇ、元々俺たちの不注意がいけねぇんだしな。でもお前の無茶な行動で誰も死なずにすんだんだ、結果的にでもな。そこは感謝されてもいいだろう?ありがとな、ボウズ」

そう言って僕の頭を撫でる。


「・・・・うん」


「まあ心配かけたのは後でたんまり怒られるんだな!ドーラが泣いてんのなんて俺は初めてみたぞ」


「え?」ドーラ姉さんが泣いた?


「んじゃあな」ニヤニヤしながら去っていく警備兵。


「姉さん、どう言うこと?」


「とりあえず帰りましょう」ユト姉さんも笑ってる。


帰宅途中、ファノにみつかり笑われたりもしたが無事帰宅。


布団に寝かされ動くな!と命令されてから数時間。


「ユーリ!」

ドカッとドアが開いてドーラ姉さんが入ってくる。


「このバカが!心配させやがって!うぅっ、このバカユーリが」


そう言って抱きしめられる。泣いているように見えた。本当だったんだ。


「ご、ごめんなさい、ドーラ姉さん」


「ほんとに、むちゃし過ぎなんだよ、チビのくせに・・・無事でよかった、よかったよ本当に」泣いたまま放してくれない。


その日はそのまま姉さんに抱きつかれたまま寝た。


次の日、ギルドの受付のお姉さんが訪ねて来た。

どうやら治癒魔法を使えるらしい。


「うん、跡が残ってるけど傷は大丈夫みたいね」


気になっている、僕が倒れた後の事を聞いてみる。


「ああ、あれは運がよかったわね。あの時、バランスを崩してなければもっとひどく切り裂かれていたんじゃないかな」


なんて軽く言う。ゾッとした。


「ほ、ほんとに?」


「ええ、ほんとにです。よかったわね、死ななくて」笑顔で言われた。


ドン引きです。

「まあ、これに懲りたら無茶はしちゃダメよ」


「う、うん」


「よろしい、また様子を見に来るわ」


そう言って出ていった。

僕はしばらくショックで茫然としていた。


コンコン!

ドアが叩かれる。なんだろう?


「どーぞ!」

カチャってドアが開き、ユト姉さんに続いて、フロンと確かフロンの姉のマリンさん?が入ってきた。なんだろう?


「よう!ユーリ、元気か?これ、見舞いな」

ってカンミを籠ごと差し出す。


「フ、フロン?!ちゃんと挨拶しなさい」ってマリンさん?が慌てている。


「あ、ありがとう。それで、どうしたの?」


「あの、ありがとう!!」マリンさん?がいきなり頭を下げる。


な、なんだ?どうしたの?何が?混乱する僕。


「なんだ、覚えてないのかよ。


ユーリが庇ったの家の姉ちゃんだってのに」


「え?いや、マリンさん?だよね?フロンの姉さんなのは覚えてるけど、庇ったって?あの時一緒に倒しちゃった人?」


「そうそう!それがそう」フロンが頷く。


「そうなんだ、実は余りはっきり覚えてないんだ」


「で、でも助けられたから、ありがとう!」マリンさんがまた頭を下げる。


「い、いや、助けただなんて。混乱して突っ込んだだけで」そんなに感謝される事じゃないよ..


元気のない僕を見てフロンが、

「まあまあ、細かいことはいいんだよ。たまたまでも何でも家の姉ちゃんが助かったのは事実だし、ありがとよ!」あっけらかんと言う。


「う、うん。」


「よしよし。まあまだ治ってないみたいだし、帰るわ。じゃあな。ほら、姉ちゃん、行くぞ」


「う、うん。ほんとにありがとう。お大事に」


慌ただしく出ていくフロン。頭を下げ出ていくマリン。似てるのは顔だけだな。なんて思いながら見送る僕。


「ユーリ、カンミ剥いてあげるね。・・・はい」


姉さんに食べさせてもらう。何だか前より美味しい気がした。


強くなりたいな。今度は本当の意味で守りたい。

無茶が無茶じゃなくなるように。

姉さんたちが心配しないですむように。

目の前で人が傷つくことから守れるように。


強くなろう。。。

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