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伯爵夫人代行承ります ~リリアナ・ベルフォードのオプレンティア商会~

作者: 森月雪火
掲載日:2026/09/14

誤字報告ありがとうございます!

「私、オプレンティア商会代行業者のトーマスと申します。ハワード伯爵夫人からの依頼で参りました。早速ですが、昨日エドワード・ハワード伯爵よりセシリア・ハワード伯爵夫人へ『君を愛することはない』と仰られ初夜を拒否なされたとのことでお間違いないでしょうか」


「代行業者? セシリアのやつそんなことまで貴殿に話したのか。まあ、間違ってはいないがそれで貴殿が何の用だ?」


「ご説明いたします。ハワード伯爵夫人より、『愛することはないのであれば代行業者を手配します』とのことです。それで代行は女性と男性が選べますがどちらになさいますか? 同性の方が当商会内での危険リスクが下がるので料金もお安くなりお薦めです。ただ男色の趣味がお有り……とわかった場合は料金が跳ね上がりますが。 同性をお薦めな理由は愛人の方の無駄な嫉妬が起こりません。デメリットとしては社交界活動が挙げられます。ハワード伯爵夫人代行としての活動を男性が行うこととなります」


 一気に捲し立てられてエドワードは面食らってしまった。


 しかも男色を疑われているだと? こいつが男色と言ったところで、ぽっと顔を赤らめたのはなんだ! 一体全体どういうことなんだ。社交活動を男と一緒に行うなど!


「き、貴様ふざけているのか! 男色などない!社交もマリアを連れていく」


「そうですか。それでは男性で手配いたします。社交活動は 愛人のマリア・ロスコー男爵令嬢がされるということですね。お支払いはハワード伯爵夫人より、ハワード伯爵に請求するようにとのことでしたので、後日請求書をお送りいたします。では、こちらの契約書にサインをお願いします」


 トーマスに押しきられるようにサインを書いて渡してしまった。


 トーマスは書類を受け取ると「本日中に代行の者を送ります」と言ってそそくさと帰っていった。


 大人しそうなセシリアを結婚相手に選んだというのに代行業者を頼むとは。


 ♢♢♢


「ご主人様。代行の方が到着されましたので奥様の部屋へご案内しております」


 ノックをしてセシリアの部屋を開けると貴族然とした男が紅茶を飲んでいた。


「はじめまして。代行のノアと申します。伯爵夫人代行により家政管理と必要な場合はハワード伯爵と一緒に食事をいたします」


「そのサッシュはなんなんだ」


「こちらは商会で着けることを義務付けられているのです。どうかお気になさらず」


『ハワード伯爵夫人代行』


 その日からノアは代行様と呼ばれ家政を取り纏めていった。セシリアに任せようとしていた面倒事を全て引き受けてくれるので助かっている。使用人たちとも上手くやっていて何の問題もない。サッシュだけは気になるが。俺はマリアを屋敷に呼んで社交の場にも連れ回した。


 その日も昼間からマリアとの関係に浸りきっていた。ノックの音が聞こえ誰かが何かを置いていったが気にせずマリアとの情事に耽っていた。飲みものを持って来させるためにベルを鳴らし、マリアを抱き抱えベッドから椅子に移った。マリアは俺の膝の上で可愛く座って寄りかかっている。


 テーブルの分厚い封筒を手に取り中身を出すと、俺の不倫の証拠と慰謝料請求そして離縁届けだった。


 ガウンを羽織り書類を握りしめノアのところに行くとノアは笑顔で出迎えた。


「これは一体どういうことなんだ? どうしたらいいんだ!」


「ご主人様、こちらもお渡しします。オプレンティア商会からの請求書になります。


 商会の取り立ては、それはそれは厳しいので、速やかに支払われるのがよいとされております。


 それでは私はこれで失礼します」


 マリアの実家のロスコー男爵家にも慰謝料の請求書が届き、ロスコー男爵が泡を吹いて倒れ、ロスコー男爵夫人は悲鳴を上げていた。


 ♢♢♢


 社交界で今一番の話題はセシリアだ。


「詳しいお話しを待っていたのよ」


「それでロスコー男爵家の令嬢が娼館送りになったという噂は本当ですの?」


「ハワード伯爵家も相当傾いたとか」


 セシリアは扇で口許を隠しながら心の底から笑っている。


「皆さん、今度お茶会に招待しますので是非いらしてください。とっておきのお話しと絵画をご覧にいれますわ」


 記念にもらった『ハワード伯爵夫人代行』のサッシュと共にノア様のサッシュ姿の絵画を披露しましょう。


 ♢♢♢


「トーマス、ノア。今回の案件よくやったわ。報酬の他にも特別手当をつけて振り込みをしておいたわ。セシリア様がとても喜んで、別途お金をいただいたの」


「ハワード伯爵が押しに弱くてサインをもらうのは簡単でしたよ」


「警戒もせず愛人を連れ込みやりたい放題でしたから証拠集めは簡単でした」


 私はリリアナ・ベルフォード。侯爵家の令嬢だ。学生の傍らオプレンティア商会で商会主をやっている。


 なんでかって? それはお金を稼ぎたいから!

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


リリアナのその後はこちら↓


「君を愛することはない」と言われた伯爵夫人を助けたら王子と無事婚約破棄できました

https://ncode.syosetu.com/n1748mt/

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