表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/39

ゴブリン転生、敵対心の世界

読んでいただきありがとうございます。良ければブックマークと評価お願いします(^^)/

「もういいかな。私疲れたんだけど」


「あ、はい。大丈夫です」


女神は既にスイッチがオフになっているようだ。

言葉に覇気は感じられない。

女神が話を終えようとするなら、俺は従うしか選択肢はないだろう。


女神は物事に飽きた子供のように、足をプラプラさせて俺に視線を飛ばす。

何も言わない俺の姿を見て、会話終了のホイッスルが鳴ったかのように、女神は少女の笑顔のような無垢な表情を浮かべる。


「じゃあ転生させるよー。あ、そうだ一つ言い忘れていた。

私が構築した世界では自然死以外の死は禁止だ。つまり殺すことはできないから」


「え、じゃあどうやって相手を倒すんだ。殺さない程度に気絶させるとか?」


去り際に飛んでもなく重要なことを言ったせいで、俺は思わず驚いてしまう。

しかし女神は退屈そうに欠伸を浮かべている。


彼女が俺に苛立つように、俺も苛立ちを覚える。

この感情だけなら鏡を見ているような気分だ。


「私が構築した世界には、敵を倒したいという『敵対心』が心にある。

戦闘において、通常の世界でいう致命傷を与えることができれば、相手の敵対心を砕くことができるのさ。

敵対心が砕かれた者は戦意喪失し、敵対心を砕いた者に従うようになる。


だから、殺すという概念はない。

皆、戦うときは心の中に芽生える敵対心を砕くことを目標に戦う。

つまりお前はゴブリンとして、私が授けた能力を武器に、破滅の置時計を持つ人間の敵対心を砕くことが目標になる。

後はそうだな、魔物たちの悩みも人類にあるから、ついでに解決してやってもいい。


これで本当に以上だ。オーケー?」


「敵対心を砕くということについて、いまいちイメージが湧かないけれど、とりあえず大丈夫です。

というかもう俺との会話に飽きていますよね。さっさと行けよって思っていますよね?」


「正解だ。

じゃあ、ゴブリンとして何度もやり直していいから、三日間の期限で魔物たちが暮らす世界を救ってくれ。じゃあな」


女神は最後に宝石のようなキラキラした笑顔を浮かべる。

ようやくストレスから解放されたような清々しい姿勢に、俺は風船のように膨れ上がった苛立ちが今にも破裂しそうになる。


ごっくん。

しかし俺も餓鬼ではない。大きく息を吸い込み、様々な怒りの感情を呑み込むことに成功した。

お腹の底がマグマのようにグツグツ音を立てているけれど、今は知らん。


色々と抱えて自殺してしまったけれど、どうやら俺はまだ永遠の眠りにつけないようだ。

新しい世界が、ファンタジーに染まった世界であることは、何となくイメージできた。

種族や能力など、正直掴めていないことばかりだけれど、もう一度俺にチャンスがあるのなら、俺は自分を信じてみることにした。


心の整理が一旦ついたところで、酷い眠気に襲われる。

体がふわふわ軽くなっていく。

綿毛が空へ旅立っていくように、俺の体が宙に浮く。


猫のように眠たい表情で、俺は心地よさに包まれ、やがて泥のように眠りについたのさ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ