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オーガの長を制す、ゴブリンの進化

「しかし不思議だ。煙玉とは違う。お前自身が煙を出したように見えたがどうだ?」


「ああ、そうさ。俺はちょっと特異体質でね。体から煙を出せる」


「そうか。故にヒドラを手なずけたという訳か。しかし、それがどうした。お前の持つ剣と俺の能力では俺を倒すことは出来ない。やはり世界最弱の種族だったな」


ジパングは勝利を確信して笑っている。俺は傷を押さえ、息を殺すことで精一杯だ。

打撃なら効きそうだが、この傷じゃ力が入らない。煙を放っても一撃は届かない……。


万事休す――いや、タイムリープでやり直せば対処は可能だが、初見でクリアしてこそ男の名が立つ。俺は自力で立ち向かう決意を固める。


俺にできること。剣で攻撃すること、煙を操ること、そしてライの能力を模倣すること。

この傷でも、まだ一度だけ大きく動ける。相手は勝利を確信している。


視界がぼやけ、呼吸も苦しい。

……そうだ、俺が死んだときも煙による窒息だった。


――煙の特性を、戦いに使えるじゃないか。


俺は全力で煙を放つ。


「無駄だあ! お前は俺の敵対心を出すことなく負ける!」


煙が周囲を覆う。


「仮面」


ヒドラの仮面を出し、オーガの体を拘束する。


「ヒドラの糸? 煙だけではないのか、お前は。しかし無駄だ!」


無駄ではない。ヒドラの糸でオーガの体を鋼のように拘束する。

油断したジパングに対して、煙と糸を組み合わせ、繊細に操作する。イメージはライの糸捌き。


煙をジパングの口と鼻に雪崩れ込ませる。


「っく、息が!」


泡を吹き、もがくジパング。煙を止めず、息の根を押さえ込む。

苦しむ彼の力が減り、敵対心が芽生えた瞬間――剣を振り、敵対心を砕く。


同時にオーガの仮面が手元に現れる。

仮面を手に入れると、斬撃系攻撃を一定回数無効化する能力が付与される。戦闘に役立つ強力な仮面だ。


倒れたジパングに手を差し伸べると、彼は夜空を眺め、スッキリとした表情で掴んで立ち上がった。


「ハハハハハ! この俺がゴブリンに倒される時が来るとは! 戦士たちよ、見ていたか!」


笑い声は腹の底から響く清々しさ。どう対応すればいいか一瞬迷った。


「煙にヒドラのような糸を使うゴブリンか。知らぬ間に進化したものだな」


「いや、俺が特異体質なだけだけどな」


「約束は約束だ。お前たちがこの地を再生できれば、鍛え、戦争に参加させる。ただし劣勢なら撤退する」


「ああ、問題ない」


勝利によって交渉はまとまった。

「では、エルフが来るまで待とう。俺やヒドラに勝てても、ミノタウロスに勝てるかは未知数だ」


ジパングの性格は変わらないようだ。強さに慢心があるが、実力は確か。

度々、ミノタウロスを警戒する発言をするのが引っかかる。


「そんなに強いのか」

疑問をぶつけると、後ろの二人が説明する。


「ミノタウロスは特殊な戦闘方法を使う。通常戦闘なら五分の勝負かもしれないが、エルフが困っているということは、独自のルールで陣取っている可能性がある」


「ノアス、ここで接触は危険だ。オーガを仲間にできたことは強みだが、ミノタウロスはリスクが高い。運が良ければ勝てるが、確率は低い」


ライもエリィも否定的だ。だが俺は決めた。


「戦うさ。そして俺は必ず勝利する」


ジパングは鼻を鳴らしつつ、俺の頭を軽く叩く。


「ならお前たちの村で待つとしよう。時間がない。勝利したと分かれば鍛えることもできる。雑魚だが、適応力は評価している」


「本当か、ありがとう」


一日でドワーフ村からオーガの里まで到着。スライムのおかげで時間短縮できた。

「一日鍛える時間があれば、ゴブリンたちも少しは強くなるはず」


「ならいいか」

「ドワーフにスライムにオーガか……リーリス、大混乱だろうね」

「大丈夫だ。俺が言ったんだ。信じて待っているはず」


俺はエリィと共にスライムの元へ向かう。

ライはオーガと共に行動。ミノタウロス相手では介入できないためだ。

ジパングたちの管理はライに任せ、俺たちは次の戦いへ進む。

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