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学術都市ルクシャーナ

 学術都市ルクシャーナ。

 聞いた話では、ヴェロンダルのほぼ中央に位置するが、行政上はワルファルス領に属しているという。

 旧文明の遺跡を中心に集落ができ、発展していったとされている。

 他の領からの交通の便が良いため、現在では国中から知識人が集まり、各分野の専門学校等が存在する。

 その中でも有名なものは魔術学校。

 周辺の魔力濃度が比較的高く、境界からも離れているため、比較的安全に魔術の研究が行われている。

 即ち、周囲で魔族が生まれた場合、近場で魔力濃度の高いルクシャーナを目指して移動することになる。


 一行がルクシャーナへと近付き、城門が見え始めた頃。


「そうそう、ここから先はアランっていう偽名を使おうと思う。

 悪いんだけど、合わせてもらえないかな」


 アンディはルカとベックにそう言い含めていた。

 何の意図があるのか疑問に思ったが、理由は聞かずに了承。

 うっかり本名で呼ばないよう肝に銘じておく。


 程なくして一行はルクシャーナへと到着、街へと入る手続きを行う。

 魔獣騒ぎが起こっている筈だが、警備体制は思ったほど厳重ではなく、滞りなく承認が降りた。

 そのまま馬車は荷下ろし場へと移動。


「じゃあ、荷物はこっちで管理するから」


 馬車から降りた二人にベックが声を掛ける。

 ここで一旦ベックとは別行動となる。


「何かあった時はどこに声を掛ければいいんだっけ?」

「ああ、えっとね──」


 アンディの質問に、ベックは五つの商会の名を挙げた。

 全て昔馴染みの相手で、その何れかに世話になる予定だと言う。


「かなり手広く商売してたんですね」

「ベックも今はこんなだけど、昔はやり手の商人だったんだよ」

「おいおい、今だってやり手だよ。

 ちょっと前に大きな商談をパーにして全部失くしただけさ」


 愉快そうに笑う中年二人。

 ルカは笑い飛ばしていいのか判断できず、困り顔で愛想笑いを浮かべた。


 ベックと別れて街へと入った二人。

 以前訪れたナバリスと並ぶ大きな都市ではあるが、あちらと比べて道を行きかう人の数は少なめだ。

 学術都市という肩書の通り、落ち着いた雰囲気が感じられる。

 周りには一般的な家屋が並んでいるが、街の中心部には趣の異なる外観の建物が聳えていた。

 丸みを帯びた尖塔がいくつも天へと伸びている巨大な宮殿。


「もしかして、あれが話にあった旧文明の遺跡ですかね?」

「うーん……

 他にはそれらしいのが見当たらないし、そうみたいだね」


 ルカの質問に、アンディは曖昧に答える。

 彼もこの街を訪れたことはないようだ。


「何か……想像してたのと違うなぁ……」


 確かに豪奢な装飾と現代と異なる建築様式は異国のような情緒を感じさせる。

 だが、旧文明の遺跡と聞いて、以前境界の外で見た得体の知れない素材で作られた建物を想像していた。

 アンディも同様だったようで、少々落胆気味だ。

 後で聞いた話では、現在観光名所となっており、度重なる修繕も行われているという。

 ありがたみもへったくれもない。

 とはいえここへは観光に来たわけじゃない、と思い直す。

 宮殿を眺めつつ街中へと進み、手頃な宿をとる。

 少しの休憩を挟み、二人は商業エリアへと足を運んだ。

 目的は身なりを整えるため。


「アン……

 アランさんはお偉いさんとの交渉するのに必要かもしれませんけど。

 僕は要らなくないですか?」


 ルカは交渉の場に立つことはない。

 魔術学校内をぷらぷらと見学させてもらうだけの予定だ。


「魔術学校は貴族子女も通ってるみたいで、結構身なりも見られるみたいだからね。

 悪目立ちしたくはないでしょ。

 今回は君の被服費も経費で落としてくれるって言うんだしさ。

 今後偉い立場の人に会うこともあるかもしれないし、一着くらいはよそ行きの服を持っておくべきだよ」


 アンディの言う通りではあるが、そう言われると改めてルカは自分の場違い感を再認識してしまう。

 だが、ここまで来て尻込みするわけにはいかない。

 折角タダなわけだし、今後を考えれば必要なものだというのは間違いないだろう。

 申し訳ない気はするが、ルカはお言葉に甘えることにする。

 そうして二人はベックお勧めの服飾店で衣服を購入した。

 すぐ必要になるためレディメイドのものを。


「うん、似合ってるんじゃないかな」


 ルカは控えめな紺色のスーツ。

 本人が見ても少々着こなせていない感が否めないが。


「はあ、ありがとうございます。

 そちらも普段とは見違えるようですね」

「それは……褒めてくれてるんだよね?」


 アンディはきっちりとした礼装。

 既に普段のぼさぼさ頭は整えられ、無精髭もさっぱり剃られている。

 この後すぐに魔術師ギルドへと趣き、交渉の予定を擦り合わせるためだ。


「じゃあ僕はこのまま魔術師ギルドに向かうよ。

 君の分も手続きしておくから、休むなり観光なりしててね」

「すみません、よろしくお願いします」


 魔術師ギルドと魔術学校は併設されており、出入りには許可が必要となる。

 ルカはアンディの同伴者扱いで同行するという段取りだ。

 アンディと別れ、ルカはルクシャーナを見て回ることにする。


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