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冒険者捜索、その後

 翌日の午後。

 ランツとレジーナは村長から呼び出しを受け、冒険者ギルド二階の部屋にいた。


「話って何?

 特別ボーナスでも出るとか?」


 浮かれているレジーナとは反対に、ランツの表情は浮かない。

 仮にレジーナの言う様にプラスの話であれば、ルカも呼ばれていて良いはずだ。

 恐らくは厄介事だと、彼は判断していた。


「まずはお疲れさん。

 冒険者も二人救助出来たし、仕事自体は上々だ」


 村長の表情からは先行きが読めない。

 だが、『仕事自体は』という言い方。

 これは予想通りの方向だと、小さく溜息を付く。


「お前ら最初に冒険者を見つけた時、あいつらがどうして逃げてたか聞いたな?」

「当初の位置で魔獣複数から逃げて、引き返してる時に蜥蜴の魔獣に出くわしたんだっけ」


 ランツに比べると村長との付き合いが短いレジーナは、悪い流れに気付かない。

 四日前、冒険者との遭遇時にランツが誰何した際の問答を思い出して答える。


「あのレベルの冒険者が五人、複数の魔獣から逃げられると思うか?」

「そう言ったって、事実二人は生きてたじゃない。

 ……何かそれ以上掘り下げる必要が出て来たの?」


 ここで彼女も、大まかな話の行く先を掴む


「今朝、ルカから気になったことがあるって相談があった。

 今の話もそうだし、冒険者に怪しいところがあったってな。

 動揺してたっつうソゾンって冒険者を突いてみたら当たりだった」


 村長から剣呑な雰囲気が漂い出す。

 予想より根の深い話になりそうだ。


「あの連中、魔獣狩りに行くって話が嘘で、実際は調査確認が目的だったみたいだ」

「調査確認って何のよ」

「ある機械の機能だとよ」


 その回答に、ランツは少し前に抱いた懸念を思い出した。


「まさか、魔族を引き寄せる類のか?」

「詳細は聞かされてなかったようだが、そうなんだろうな。

 その結果が魔獣の入れ食いってこった。

 それをぶん投げて群がっている隙を見て逃げ出したんだと」


 魔獣が集まった原因がその機械であれば、魔獣がそちらを優先して冒険者が逃げ出せたというのも納得出来なくはない。


「何でそんな代物をあんな木っ端冒険者が持ってたの?

 お値段からして手が出る筈もないし、その手の奴は持ってるだけで重罪でしょ」

「依頼で、依頼主から貸与されたらしい。

 当然、正規の鑑定機関からの依頼ってわけじゃないだろう」


 捜索中にレジーナがルカに説いたお宝レクチャー。

 その際に触れた、機械取り扱いのためにクリアが必要な条件。

 それが機能の鑑定である。

 発掘した機械は専門の鑑定機関に委託し、危険がないと判定されて初めて発掘者に取り扱いの許可が下りる。

 国家間の規定で鑑定前の売買は有罪と定められていた。


「じゃああんな場違いな魔獣がいたのもそれが原因じゃねえのか?」

「あ、そういうこと!?

 ……ちょっともう一回あのクソ共と腰を据えてお話したくなっちゃった」

「お前らちょっと落ち着けって」


 俄かに場の雰囲気がいきり立つが、村長が諫める。

 だが、一歩間違えば村に大きな損害が出かねない状況だった。


「あんたが落ち着きすぎなんじゃねえのか?

 ここが狙われてるかもしれねえんだぞ」

「そのつもりなら村の中でやるだろ」

「範囲が狭すぎて奥じゃないと引っ掛かる奴がいなかったんじゃない?」

「それにしても手際が悪すぎだ」


 村長は村に損害を与えるような目的はなかったと考えているらしい。


「明確な目的も、依頼主が機能を知ってたのかもわからん。

 証拠の機械もないし、今あの冒険者をとっ捕まえても依頼主はしらばっくれて尻尾切るだけだろう。

 だから泳がせる方向で一旦放流した。

 今はもうナバリスに帰ってるところだ」

「チッ」


 厄介事を持ち込んだ元凶を見逃したことに納得いかないのか、盛大に舌打ちするレジーナ。


「勿論、このまま放っておくわけにもいかん。

 これから必要なとこに掛け合って色々と調整するつもりだ。

 それが終わったらランツにゃナバリスで一仕事してもらいたい」

「また俺かよ……

 調査なら別の奴でもいいだろ」

「荒事になる可能性があるからな。

 それに加えて冒険者ギルド絡みとなるとお前が適任だ。

 レジーナはこいつが帰って来るまで村で荒事の対処してくれると助かる」


 レジーナからは貰えるものが貰えればいいけど、と軽い答えが返る。


「ついでにルカが今回の仕事で冒険者の昇格要件満たしたし、連れてって試験受けさせて来い。

 元々ナバリスに向かう予定だったって話だし、見て回るのもいい」

「俺はあいつの保護者かよ……

 それにあいつDランクに上がれるか?」

「お前が連れて来た奴だろ。

 それにここんとこトラヴィスに剣も習ってるみたいだし大丈夫だ」


 トラヴィスとは、二年前までメニーゼフ領の兵士だった男。

 故あって退職、現在はこの村で自警団や子供に剣術を教えている。


「あとお前もいい加減昇格試験受けて来い。

 ウルも逝っちまったし、いつまでもCランクじゃ弊害あんだろ」

「俺は困らねえよ、弊害あんのは俺を使いっ走りさせるあんたにだろ……」


 ランツとしては気は進まないが、ナバリス行を断る理由が捻り出せない。

 今回も遠出して面倒な仕事をこなす必要がありそうだ。


「あんたの代わりに村に残るようなもんだから、お土産期待してるわ。

 可能なら例の冒険者と依頼主にお礼参りしてきて」


 ランツから今日一番のため息が吐き出された。


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