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side:ライル

 ライルはグレイがいなくなって以降人が変わったようだと屋敷の者たちから噂されるようになった。

 誰かに手をあげるとか発狂してるだとかそう言うのではなく子供っぽさが無くなったと言う意味でだ。


「魔封石の出所はまだ掴めない……明らかに黒幕がいるのに!そもそも二人組の行動はかなりおかしかったらしい。わざと見つかって魔封石を使って逃げた?目的は最初から姉上?」


 自身の部屋で勉強以外ではずっと先の事件の真相を調べていた。

 リリィにはグレイのことは伝えていない。しかし、何かあったことは感じているようで時折グレイの名を口にするようになった。


 そんなライルの元に老執事がやって来た。


「アルベルト様がお呼びです」





「失礼します、父上」


 執務室で父と二人きりで話すのはいつぶりだろうと考えるライルだったが何故呼び出されたのかは分からなかった。


「イルヘルド領を知っているか?」

「イルヘルド領、ですか?確か……十年に一度魔獣が大量に襲ってくる領地だと記憶してますが」

「そうだ、そのイルヘルド領の更に最前線、ホリックの街から来た者たちからの情報だ。《《灰色の髪の少女》》に助けられた、と」

「まさかっ」


 ライルはすぐに父が言いたいことがわかった。髪色というのは魔法を使うものにとってはその者の得意な属性だったりする。そういう意味でもグレイの灰色の髪は珍しい。


「俺、今すぐリリィに伝えて来ます!」

「待て」


 ライルが落ち込む妹に吉報を伝えようと執務室から出て行こうとするのをアルベルトは止めた。


「ライル、お前はあの事件のことを調べているそうだな」

「はい」


(まさか、止めろと言わないよな。あの時は父上も激怒していた)


「リリィには伝えるな。それとローズにもだ」

「何故ですか?」

「お前は魔封石の出所はどこだと思う?アレはかなり高価だ。魔獣の魔石に特殊な技術で魔法を封じ込める。故に平民ではほぼ手に入らない代物だ」

「冒険者などはお守りとして持つ者もいると聞きますが?」


 ライルは何が言いたいのか父の真意がわからなかった。いや、《《わからないふりをしていた》》。何故なら……


「あの二人組は冒険者と言うほどの力は無かった。そもそも、金に困っていたと調べがついている。となると協力者は貴族だ。あの二人を唆した黒幕がいる」

「……………まさか母上を疑っておられるのですか」


(確かにあの事件以降、母上の機嫌は良くなった。過剰に父上を意識しなくなったし魔法の上達はどの程度か聞かなくなった)


「そうだ。グレイは貴族の誰にも知られていない。この屋敷にいるもの以外にはな。だから、ライルお前にはローズがこの情報を知ったのちにどういう行動を取るのか監視して欲しい」


 実の母を黒幕として監視する。ライルにとって母を黒幕と断定する事はできなかった。自分で調べている時も無意識のうちにローズを省いていた。

 だが、アルベルトによって強制的に自覚させられた。


「わかりました。父上はどうなさるのですか?」

「私は……あの子が無事ならそれで良い。呼び戻そうとかは考えていない」


 アルベルトは窓の外を飛んでいる鳥を見ながらそう言った。



◇◇◇


 ローズはとても上機嫌だった。忌々しい親子がアルベルトの前から消え去った事で遂に自分のものになったのだと歓喜した。


 そんな時、ローズお抱えのメイドから知らされる。灰色の髪の少女が見つかったと。


「生きていた、ですって?」


(しかも、イルヘルド領の領主と知り合ったなんてもし、あの時のことを話されたら……!いえ、グレイは知らないはずよ。大丈夫、大丈夫よ)


 消え去ったと思ったレティシアの影がまたチラつく。グレイの人に好かれる体質は母であるレティシア譲りのもの。それを間近で見ていたローズだからこそ余計に警戒した。


「その少女について調べなさい」


 ローズはメイドに調べるように言った。もし、グレイだと判明したその時はーーーー


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