第24話 格差(1)
ほこりが消え、徐々に見えた姿には立っているサトネと倒れたクリスだった。
「負けてしまったのか」
大男が嘆いて言った。
「クリス様が負けたんだって」
そばにいた部下たちがひそひそと話した。
「静かに」
大男は不機嫌になって部下たちに怒った。
「結局は私が乗り出さなければならないというのか」
大男は立ち上がり話した。
「剣」
大男の言葉に隣にいた部下は慌てて駆けつけながら剣を持ってきた。
「ここにあります。 ボス」
大男は剣を握った。
「久しぶりにウォーミングアップするのもいいよね。
クリスに勝ったから実力は確かだろうし」
大男はクリスの前に近づいた。
「ああ、まだ死んでいないね。
お嬢さんはずいぶん慈悲深い方のようだね」
まだ生きているクリスを見て驚いて言った。
「クリスを含めてもうすぐ法の裁きを受けることになるだろう。
クリスは大男を見てもひるまず言った。
「まだ法律を信じるのか。
本当に愚かだったな。
私が君が気に入ったからチャンスを一つあげよう。
私と同じ味方にならないか」
大男はサトネに手を伸ばして言った。
「受け入れるはずがないじゃん」
サトネは手を振ってすぐ断った。
「女が本当に大変だろう。
あの男は遠くに隠れてばかりいて」。
大男はフジヒロを見つめながら言った。
「大変じゃない?」
あんなに無能な男をずっと守ってくれなければならないというのが。
ついでにクリスと結婚したらどう?
見たところクリスは君に心があるように見える。
そしてお前も殺してないのを見ると心も少しあるように見えるし。
しかもクリスくらいなら本当に指折りのイケメンだし。
魔法も上手で剣術もできるから、子供ができたらきっともっと優れているだろう。
気に入らなければ私としてもいいし」
男は相次いでサトネの機嫌を損ねた。
「どう?
私と一緒にいれば世の中をくれる」
「その言葉の答えなら、先程すでに答えた」
サトネは真顔で男を眺めた。
「じゃあ、残念だけど死んであげないと
絶世握力」
大男のどっしりした握力がサトネの骨に響くほど強く感じられた。
「とんでもない。
最上級の魔法だって?」
ルナはあわてて言った。
「最上級の魔法って何?」
フジヒロが慌てて聞いてみた。
「最上級の魔法は一般の5階位で、人間の中で使用可能な人間は指に挙げ、あれくらいの魔法の実力なら宮廷魔法使いの中で最上位なのに」
サトネも重たい押さえに体のバランスが崩れて体をよろめかせた。
「思ったより慌てた様子だね。
実は魔法は得意なんだから。
剣術は君より下手ではあるが」
男が笑いながら話した。
「参ノ型:『横切る斬撃』」
サトネもまた体勢を張って突進した。
「絶対防御」
大男はあくびを休みながら防御魔法を使った。
絶対防御も最上級の魔法だから、いくら勇者の体を持ったサトネでも突き抜けるのは難しそうだった。
サトネの剣が防御幕に着く瞬間、防御幕の強度に勝てず、剣まで砕けてしまった。
「剣が砕けたな。
あまりにも強い防御魔法を使ったのか。
まあ大丈夫だよ。
拳で戦おう」
大男も持っている剣を捨ててサトネに近づいた。
「超筋強化」
大男のどっしりとした拳がサトネの腹を強打し、サトネは高く飛んで洞窟の上にぶつかって落ちた。
「サトネ!」
フジヒロが泣き叫びながら言った。
さっきからフジヒロは、ずっとサトネを助けたかったが、自分の目ではどうしても男のスピードに追いつけなかった。
「フジヒロ、人間の目ではなく神の目で見ようとしなさい」
ルナがフジヒロに助言してくれた。
「神の目?」
「そうだね。道理を見る神の目。
心を整えて感じてみろ」
確かに状況は沈静化できなかったが、フジヒロは深呼吸をしながら心を落ち着かせた。
そして目を閉じて精神を集中した。
すると急に目を閉じているにもかかわらず、周りが感じ始めた。
時間が感じ始め、空間も感じ始めた。
まるで違う次元で眺めているようだった。
「もう起きられないのかな?」
ぶつかって立ち上がれなかったサトネを見て大男が言った。
そうして、サトネに近づき始めた。
「痛くないように終わらせよう」
大男はサトネの頭をつかみながら持ち上げた。
「絶世握力」
「防御」
フジヒロはついに神眼を通じて防御魔法をサトネのために使ってくれた。
「初級で最上級が詰まるはずがないじゃないか…
大男はフジヒロの魔法を笑おうとしたが、そうすることができなかった。
「とんでもない。
初級防御魔法、私の最上級魔法を防ぐなんて。
一体正体は何?」
「審判者だ。
創造命令:無限再生
創造命令:身体強化」
フジヒロは防御魔法で攻撃を防ぐ間、神聖魔法を使ってサトネの傷と疲労をすべて治癒し、身体強化バフを与えた。
サトネは目を見開いた。
自分の目の前に重い拳があったが、拳は自分の顔では来ることができなかった。
そして後ろを振り向くとフジヒロが自分のためにしてくれたことが分かった。
また、何だか体が軽くて元気いっぱいの気持ちも感じられた。
「アポロン、私できると思う」
「じゃ、お願い」
フジヒロは再び元気になったサトネを見て微笑んだ。
そのように防御幕がなくなり、サトネもおびただしい速度でその拳を打ち返した。
「ありえない。
確かに終わりに近づいていたのに。
傷が回復した程度ではなくもっと強くなったような感じが…」
男も戸惑いの色を隠せなかった。
「二人とも私の予想を上回るね。
無能に見えたあの男があんなに魔法に長けるとは」
大男は後ろへ行ってまた剣を握った。
「やっぱり真剣で無慈悲に行かなければならない」




