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Ep13

倒れている咲良を愉快そうに見る、玉屑。

『かわいらしい姉ちゃんだよなぁ、お前の友達か?』

「………玉屑」

『お前の場所を言えっつったらな、ここと全然別の、あさっての方向指差しやがってよぉ…ま、嘘なんだろうと思って後をつけたら…こうだもんなぁ』

「てめえ!!!」

腰のサーベルに手をかけ、龍介が怒鳴る。

『なんだぁ?てめえは』

「うるせえ!!!くれは、そいつから離れろ!」

『ヴィッゲン!!!』

龍介の抜いたサーベルの先端から、黄色い稲妻が走り、玉屑に向かう。

『へっ…』

玉屑は余裕の笑みで腰に装備していた鎖鎌を構え、氷のシールドを張って攻撃を遮る。

「くそっ…」

『今度はこっちの番だぜ!』

鎖鎌がうなり、龍介に向かう。

「う………」

サーベルが白く眩しい光を放ち、青白い光とぶつかり合う。

ずるずるずる…と龍介は徐々に後ろに押されていく。

「…うおおおお!!!!!」

龍介は叫ぶと同時にサーベルを大きく振り上げ、切っ先から更に大きな雷を放つ。

目が眩むような閃光は、玉屑の体を廊下に吹き飛ばした。

「龍介!!!」

「大丈夫だ!お前は咲良さんを安全な所へ…」

しかし。

言いかけた龍介の体を、突如巻き起こった雪交じりのかまいたちが襲う。

「なっ………!?」

「龍介!?」

彼の体はずたずたに切り刻まれ、傷口は白く凍り付いている。

『甘えんだよ、兄ちゃん』

再度構えられた鎖鎌が、白い吹雪を帯びながら、龍介の体に数多の傷をつけていく。

傷口が白く凍りついた龍介は、防御どころか動くことすらままならない。

「ぐっ………」

『ほらほら!!!どうした!?』

一夜に貰った、白い石のついた指輪を見る。

すると…石は白い光を帯びた。

体の力を石に込めると、その光は更に大きくなる。

「………行け!!!」

指輪から放たれた雪交じりの吹雪が玉屑を襲うが。

吹雪は氷のシールドに弾かれ、病室のドアを吹き飛ばした。

『ああ?お前の実力はそんなもんだったか…弱くなっちまったもんだなぁ』

「…くそっ………」

『神器』というものを遣うと…この程度しかやれないものなのか?

玉屑はにやりと笑い、鎖鎌を私に向ける。

「待ちやがれ!!!」

龍介の怒鳴り声と共に、稲妻が玉屑を貫く。

『…っ…てめえ』

「お前の相手はこの俺だ!その子には手ぇ出すな!!!」

口元に滲んだ血をぐい、と腕でぬぐい、愉快そうに彼を見る玉屑。

『大層な志じゃねえか、兄ちゃん。こいつはお前らの敵だってのに』

「関係ねえ!」

『ああ…もしかして、こないだの風とかいう兄ちゃんの影響か?』

玉屑は挑発的に笑い、龍介に向かって鎖鎌を構える。

『紺青の人間ってのは単純なもんだなぁ。あいつ勝手にこのチビに愛着持って、勝手に行動したんだろうが。それをよぉ…』

「うっせえ黙れ!!!」

血まみれになりながら、龍介はサーベルを構えなおす。

「あいつを悪く言うな!」

『…ほお?』

青白いかまいたちが再度龍介を襲う。

『タケミカヅチ!!!』

叫びと同時に、サーベルの先端から大きな雷が放たれ、両者の力は中央で拮抗する。

「あいつはなぁ…勝手でめちゃくちゃな奴だけど………」

ぐっとサーベルを握る腕に力を込める。

「でもなぁ!あいつは間違ったことはやんねえんだよ!」

『へえ』

青白い光が大きくなり、龍介はずるずると後退する。

一見持ち直したように見えたが、やはり…さっきの攻撃の痛手は大きいようだ。

しかし、龍介は大きくかぶりを振って玉屑を見据え、怒鳴る。

「俺は…俺は浅倉愁を信じるぞ!!!」

『…好きにしな!!!』

二つの光が部屋中に広がる。

目が眩むような光の中、血まみれの咲良に近づき、庇うように抱きしめる。

ぐっと、強く目を閉じる。

助けて…愁。

一夜…藍…右京………

しかし…

祈りはむなしいものだった。

「ぐぁ………!!!」

龍介の体が突如大きくなったかまいたちに吹き飛ばされる。

その体は壁に強く叩きつけられ、崩れ落ちた。

「龍…介………」

『さあ…どうする?くれは』

多少の傷は負っているものの、玉屑はまだまだ余裕の笑みを浮かべている。

『自分で決めな。どっちにつくのか…』

「くっ………」

『けどお前、一人で手負いのお友達二人も助けられんのか?』

「駄目だ…くれは」

『てめえは黙ってな!!!』

鎖鎌の先端から放たれたかまいたちによって、龍介は完全に沈黙してしまう。

そして、とどめを刺そうと近づく玉屑。

「………やめろ!!!」

両手を広げ、龍介の前に立ちはだかる。

溢れ出て来そうになる涙を、ぐっと堪える。

『どうした?』

「これ以上…龍介を傷つけるな!」

驚いたとでも言うように、彼は少し眉を吊り上げてみせる。

『そんなに気に入ったのか?こいつらが…』

じっと玉屑を睨む。

『俺たちを崖っぷちまで追い詰めたのはそいつらなんだぜ?』

「それはっ…」

『おめえの母ちゃんも、そいつらがいなけりゃ、死ぬこともなかった』

言葉を失う。

『考えてもみろよ…あのほっそい体から、氷の柱に残った力全て絞りつくされてよぉ…』

…母様。

『死して尚、氷の柱に閉じ込められたまんまで…晒しもんじゃねえか。かわいそうに』

やめて。

…思い出させないで。

かちゃりという音をさせて鎖鎌を構えなおし、玉屑は血まみれで倒れる咲良の方を見る。

『だから俺らは、その死を無駄にしねえようにって…こうやって紺青を一人でも多くぶっ殺して、おめえの母ちゃんの無念を晴らしてやろうってのに』

鎌が白い光を帯びる。

…咲良。

…龍介。

………母様。

「………やめろ!!!」

玉屑は鎖鎌を構えた状態のまま、こちらをじっと見る。

『気持ちは決まったかい?』

「…一緒に行く」

ほお、と眉を吊り上げる。

「その代わり…彼らをもう、傷つけないでくれ」

『そいつぁ出来ねえ相談だ…さっきも言った通り、俺は』

「それは…よくわかってる」

『…じゃあ、何だっての?』

だめだ…龍介がつぶやく。

「行くな………」

「………龍介」

けらけらと楽しそうに笑う、玉屑。

『美しいねえ…なあくれは、どうすんだ?お友達は『行くな』とよ』

「私はお前と行く、と言ったはずだが」

「…くれは」

「私は…」

傷だらけの龍介を見つめる。

そして、玉屑に向き直る。

「これ以上目の前で人が傷つくの、見たくないんだ!」

『そりゃ、ご立派な心がけだ』

玉屑の体を吹雪が包む。

私の周囲にも、冷たい空気が立ち込めた。

『行くぜ、くれは』

頷く。

「………くれはちゃん」

微かに聞こえた声の方を見ると、血の海に横たわる咲良は、じっとこちらを見つめていた。

「咲良………」

…生きてたんだ。

よかった………

「おはなみ…いこうねって…やくそく………わすれないでね………」

吹雪に包まれ消えていく私に、苦しそうに全身で息をしながら、彼女は弱々しく微笑んだ。

「ちゃんと…かえって…くるのよ………」


『韓紅がまた、姿を現したそうです』

軍用無線を通した藍の声からは、緊迫した空気が漂う。

「お二人の容態は?」

『草薙隊長の方は重傷ですが、命には別状ありません。源隊長はかなり危険な状態らしいんですが…宇治原伍長が大丈夫っておっしゃってますし』

「…そうですか」

ふう、と小さくため息をつく。

くれはは姿を消したという。

一体どこへ………?

『霞様、くれぐれもお気をつけて』

「ええ、わかりました」

右京様にもこの報せは届いているだろう。

まもなくここへ来てくださるに違いない。

机に肘をつき、手を組んで顔を伏せる。

「くれは…」

『お呼びですか?お姫様』

はっとして振り返ると。

以前見た、白い髪の細身の男がにやりと笑って立っていた。

傍らでは、くれはが無表情にこちらを見つめている。

「あなた達は…」

『一緒に来てもらいましょうか?お姫様』

「私を連れて行って、どうなさるおつもりですか?」

男は愉快そうに笑う。

『気丈なこって…感心するねぇ』

「…教えてはいただけませんの?」

「手荒な真似はしたくない」

感情の無い声で、くれはがつぶやく。

「黙って一緒に来て欲しい」

「くれは………」

無表情な黒い瞳は、深い悲しみを秘めている。

「頼む」

彼女の声の奥に…心の叫びのようなものを感じた。

「…分かりました」

不思議と静かな気持ちになって、くれはに微笑みかける。

はっとした目をして、すまないとでも言うように彼女は顔を伏せた。

『そうと決まりゃあ………』

冷たい氷がはらはらと頭上から降り注ぐ。

体が急速に冷えていく。

くれはの悲しそうな瞳が視界から遠ざかる。

「………右京様」


バン!

愁さんの拳が壁を叩く。

「………なんてこと」

「すみません…僕がついていながら」

報せを受けて霞さんの執務室に駆けつけたとき。

そこにはすでに、彼女の姿は無かったのだった。

「だいたいなぁ…」

愁さんはいらついた様子で、体中包帯に巻かれた草薙さんの胸倉を掴む。

「龍介、一体どういうことや!?俺に任せろいうんは、口から出まかせやったんか!!??」

「愁くん、やめて…」

止めに入ろうとする藍さんを制して、草薙さんは深々と頭を下げた。

「…すまねえ」

包帯の巻かれた痛々しい拳が、布団をぎゅっと握り締める。

「俺のせいだよ…あいつ、俺のために韓紅に戻ったんだ…」

『目の前で人が傷つくのを見たくない』

彼女は、そう言っていたという。

ちっと舌打ちして、愁さんは草薙さんを掴んでいた手を荒っぽく離した。

「情けねえよな…俺………」

「龍介さん…」

藍さんが彼の手を取る。

「大丈夫、ちゃんと連れ戻すから。霞様も…くれはのこともね」

「藍………」

「あと何日なんや?あいつらが…この世に居られる時間」

「おそらくは…」

あと一月か、二月なのか…

分からないが、おそらく。

「紺青に総攻撃を掛けてくる…その日もそう遠くないな」

来斗さんが天井を睨む。

「北と都と…二手に分かれるしかない…か」

眉間に皺を寄せて俯く草薙さんを見つめ、私は残ります、と藍さんはきっぱり言い放つ。

「紺青の守護は騰蛇隊の役目ですから…草薙隊長が怪我をされている以上、伍長の私が代わりにやらねば」

草薙さんに優しい眼差しで微笑みかけ、明るい表情で愁さんを見る。

「だから、愁くんは行って。くれはのこと、絶対に連れ戻してね…」

「舞………」

「僕も…霞様をお守りするのが僕の役目ですから」

彼女はにっこり笑って、よろしくお願いします、と頭を下げた。

「奴らが仕掛けてくることを考えれば、十二神将隊の人間は可能な限り都に残るのが得策だろうな…指揮は俺が執ろう」

そう言うと、来斗さんは藍さんの顔を見て力強く頷く。

「以前話した方法…覚えているか?」

愁さんにジェイドを使った探知機の話をすると、怪訝な顔で来斗さんに尋ねる。

「それ…お前、もしかして似たようなもん作って、一夜にやったか?」

「ああ…そうだったな。あれを使えば、彼女の居場所も分かるだろう」

「じゃあ…」

「俺の力が必要ってことかな?」

病室の入り口にはいつの間にか一夜さんが立っていて、探知機のようなものをかざしながら得意げに笑っていた。

「ここまで来たんだもの、最後まで付き合わせてもらうよ、愁のわがままにさ」

「一夜………」

「たまには人のわがままに振り回されるってのも、悪くないかなと思ってね」

背後には、剣護さんと孝志郎さんの姿もある。

「龍介、大事ないか?」

「…孝志郎さぁん………」

草薙さんは孝志郎さんの姿に、ほっとしたように瞳を潤ませる。

「咲良さんも容態、落ち着いたそうだよ」

剣護さんが笑顔で草薙さんに言う。

「そぉかぁ…よかった………」

よほど彼女が心配だったらしく、草薙さんはがくっとうな垂れ、大きくため息をついた。

「後は霞様とくれはか…」

来斗さんが顎に手をやる。

「二人を人質に取られていては、攻め込まれた時に手の打ちようがない…早急に二人を救出せねばな」

「くれはも…それでええのか?」

おずおずと聞く愁さんに、当ったり前だ!といつもの調子に戻った草薙さんが怒鳴る。

「あいつ、お前らのこと友達だって言ってたぞ!俺だっておんなじだ」

ふうん、と楽しそうに一夜さんがつぶやく。

「なるほどね、龍介良い事言うじゃん」

「友達だったら、助けに行かなくちゃいけませんよね」

「そーそ!しかもそれがか弱い女の子ときたらねぇ…どうあっても無事に助け出さなきゃ、俺の名誉に傷が付くってもんだよ」

一夜さんと僕の言葉に、ほっとしたように笑みを浮かべる愁さん。

「…みんな、おおきに」

孝志郎さんが真剣なまなざしで僕達を見る。

「俺も…連れて行ってくれないか?」

「…孝志郎さん?」

「十二神将隊以外の人間で炎の『神器』が扱える…俺も頭数にはなるんじゃないか?」

確かにそうだけど…

顔を見合わせた僕と愁さんの背後から、駄目よ!という怒鳴り声が響く。

「藍さん?」

「いくら『神器』を遣えるっていっても、あなたは記憶を失ったままで…完全に遣いこなせるようになったわけではないでしょ!?暴走したらどうするの」

「藍…」

藍さんは孝志郎さんの両腕をぐっと掴む。

「相手は強敵なのよ。そんな中途半端な状態で行ったって、無駄死にするだけだわ」

「しかし…俺も紺青のために、何か役に立ちたいんだ。霞様も実の妹なのだし、放って置くわけには…」

「大丈夫ですよ、孝志郎さん」

孝志郎さんの顔を見つめ、力強く言う。

「霞様のことは僕達が必ず。愁さんも一夜さんも『五玉』の中で一二を争う実力者でしょ?」

「…右京」

「だから孝志郎さんは、どうか都をよろしくお願いします」

そうよ、と藍さんは孝志郎さんの瞳をじっと見る。

「よく考えて、孝志郎…あなたは、あなた一人の体じゃないのよ?」

潤んだ瞳で、更に問いかける。

「あなたが死んだら白蓮や清志くんはどうなるの?」

「………藍」

「それに………」

藍さんは長い睫毛を伏せ、ぽつりとつぶやいた。

「私だって…あなたがいなくなっちゃったら………」

「………おーい、藍?」

剣護さんが焦ったように、彼女の袖を引っぱる。

「…なあに?」

ちょっと涙ぐんでいる藍さんに、困ったようにため息をついて、小声で耳打ちする。

「お前それ…このタイミングで言うか?」

「?」

不思議そうな目をした藍さんを促すように、何気ない素振りで一夜さんを見る。

「一夜?」

首を傾げる。

「一夜は…大丈夫でしょ?」

………大丈夫でしょ?って………

「そ…そういう問題やなくてなぁ、舞…」

愁さんの言葉を遮るように、藍さんの懐の無線がけたたましく鳴る。

街の警備に当たる騰蛇隊の隊士からだ。

「わかりました、すぐ行きます!」

無線にそう告げると藍さんは僕らを見回し、笑顔で言う。

「ごめんなさい、兵の配備の件で打ち合わせがあるので、私はこれで!」

「………藍~?」

「一夜ごめん、後でねっ」

ぱたぱたと走り去る藍さんを、笑顔のまま硬直した一夜さんが見送る。

「…何だ?」

孝志郎さんが不思議そうに僕達を見る。

「孝志郎さんって…案外天然だったんすね」

草薙さんがつぶやく。

ぽん、と剣護さんが一夜さんの肩に手を置く。

「諦めろ…あいつがお前に容赦ないのは、今に始まったことじゃねえ」

「………うん」


『今回のことは大目に見よう』

厳しい表情で言う冬鬼の背後には、三将が静かに控えている。

『くれは、我々の使命は何か…わかっているな?』

「…紺青を倒し、韓紅がそれに成り代わることだ」

左様、と頷いて、冬鬼は背後の氷の柱を見る。

死して尚、氷の柱に身を委ねる…母様の姿。

『我々は、もう長くない』

「冬鬼…」

『我々は総力をあげ、紺青を滅ぼす。それ以降のことはくれは…お前に掛かっている』

「………しかし」

言って理解してもらえる相手だろうか?

彼らはこのために呼び戻されたのだ…

でも………

『何だ?』

『こいつ、随分あいつらに感化されたようでしてね…』

玉屑の言葉に、呆れたように青女がため息をつく。

『ったく、これだからお子様は困るんだよ…』

「冬鬼、私は…」

『あやつらを倒したとて、韓紅に天下が取れるのか…そう言いたいのであろう?』

全員の視線が冬鬼に注がれる。

『たとえそうだとしても…私は紺青を倒さねばならぬ』

彼は氷の中に静かに眠る、母様をじっと見つめた。

『それが族長の私に課された役目だ。たてはから託されたこの命…韓紅の一族の長年の悲願を果たさずして、おめおめと黄泉の国に戻るわけにはいかぬ』

「…でも」

『その後のことはお前に任せる、と言っているのだ』

はっとする。

『好きにしろ。だが私は自らの意志を曲げるつもりはない…やるべきと信じることを、ただ…やるだけだ』

………やっと分かった。

冬鬼は紺青を滅ぼせるなんて、端から思っちゃいない。

でも、それを信じている一族のみんなのために…

紺青に、せめて一矢報いて死んでゆきたい。

そう…思っているんだ。

苦々しい顔で天井を見上げる玉屑。

顔を歪める青女。

無表情に冬鬼を見つめる六辺香。

でも………そんなの悲し過ぎる。

『まずは私に…行かせてもらえませぬか?』

広間の押しつぶされそうな静寂を、突如青女が破る。

『戦況を逐一報告いたします、冬鬼様は相手の出方を見ながら指揮をされては?』

冬鬼はまた、いつもの厳しい表情に戻り、青女を見る。

『…そうだな。では、お前に任せよう。青女…頼んだぞ』

彼女は嬉しそうに目を輝かせ、意味ありげに微笑んだ。

『承知致しました…冬鬼様』

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