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キラメアは、川の横の最短コースを行ってしまった。


紫の目を持つ男、王女モドキは、少し悲しげな表情をして、彼女が去ったあと、独り言を言った。


「今日の夕食は、味噌汁…………」


それから、キラメアは、おどろくほど順調に、帰路を進んだ。


たしかに、赤い二本の尻尾が生えた怪物達に、二回、出くわしたけど、透明化の魔法を見破れず、普通に通りすぎることができた。


やっぱり、私の魔法は、すごい!いいねぇ。


キラメアは、そう考えながら、とにかく最短で進んだ。



そうして、川のルートから、果物や、花のある場所に進もうとした時、私は、後悔することになった。



「甘いんだよ」


もう聞きたくもない野太い声、緑の巨大ヘビ、そう拒絶のレレラの声だ。


キラメアは、振り向く、やはりあいつだ。



透明化を解いて、火の魔法を使い、今度は逃げず戦った。



炎をピンクの木の棒から放つ! 暗い森は、火に照らされ、オレンジに染まる。



拒絶のレレラは、そのまま、火に突っ込んだ!



まるで効いてはいない。



奴の岩のような牙が突き刺さらんと迫る。



ガキンッ


低い金属音が、した。



これは、骨が砕ける音じゃない。



青い刀で、あの男、王女モドキが、牙を受け止めている。そして、川に向かって、レレラをはじいた。水がしぶきをあげる。



奴は一度完全に水に沈む。


「君は結局森で倒れるつもりなのか、私の言ったことを守った方がいい!」



「守れない、ずっとこれからも、アタシのような社会不適合な人は、自分の信じた道を歩くし、何度も魔法を努力して、もっと上手くやって宝石を取りに来るわ!」



男は、刀を強く握り直す。


「なら、私の手下になれ、君の味噌汁は、大変美味だと、評判が良いことは、君の伝記に書いてあった。だから、それを作ってくれる手下になるかわりに、私がなんどでも君を守るし、宝石をとるボディーガードをしてやる。ついでに、私の屋敷に招待し、住むことを許す。これで、剣土国と、森の中に2つの拠点ができて、君は、いろいろとやりやすくなるはずだ。どうだ?」



「なんで、そんなことを言うの?アタシに、そんなに価値があるの?」




「別に、一度知り合った人が無惨に倒されるとこが見たくないだけさ、これ以上、森に骨を積み上げないでくれ」



奴がまた、水しぶきをあげ、こちらに、迫る。王女モドキは、刀で受け止める!



だが、先ほどよりも、強く勢いを込めた。牙を止めることは、かなわなかった。大きくはじき飛ばされ。後ろの木々にぶち当たる。



衝撃は凄まじく、運悪く頭を打った王女モドキは、ふらつく。


レレラは、今度は、キラメアを砕かんと、牙を上げて振り下ろす準備をする。



そのとき、とっさにピンクの木の棒を前に振り払う。



パニックになっていた。キラメアは、ピンクの木の棒にかけていた。荷物運びの魔法を不本意ながら解除してしまう。



振り払う勢いのまま、オモ宝石とランプが棒からぶっ飛び、現れてレレラの口の上部に、当たる。


意表を突かれて、ほんの少しひるむ。



その隙に、王女モドキは、ふらつきながらも、なんとか、地面を蹴って、巨大ヘビの背中に飛び付く、



「王女モドキたる姿を見せよう」



紫の炎のような、光が彼を(おお)う。



そして、私たち、剣土国(けんどこく)の人間なら、誰もが、知る、第三王女がそこにいた。



白髪(はくはつ)に一部が紫の前髪、そして、アメジストのような、紫の瞳、それが、怪物を倒さんと、奴をにらみつける。



硬くそれでいてしなやかな怪物の背中に見事、刀は、突き刺さり、奴は悶え、王女モドキを振り払い地面に叩きつけた。



あまりの痛みに悶える。両者。



叩きつけられた衝撃で、骨が折れたらしい。もう、ほとんど痛みで動けない。



「お嬢さん、これを、使って」




王女モドキは、震えるうでを少し伸ばして、刀を渡す。


キラメアは、それを握る。



もう、魔力は、ほとんど残っておらず、身体能力もただの人間に戻っている。


焦って集中力が切れていて、透明化も、魔力で、筋力を上乗せすることも、たとえ、魔力が残っていてもできない。


一心不乱に、ただ、生きるため、痛みに(もだ)え、こちらに気がまわらなくなっている奴に、刀で一閃した。


「ぎゃあぁあああ」


レレラは、尻尾を巻いて逃げて行く。


奴を倒しきることは、できなかった。


けれど、非力なただの人間の刃が、いともたやすく奴にダメージを与えれた。



硬い奴の網目(あみめ)のようになっている外皮に、到底、本来ならキラメアには、傷つけることなどできないだろう。


だが、渡された刀は、凄まじい切れ味を見せ奴を切り裂いた。


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