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しばらく走り続け、なんとか、逃げ切ったキラメアは、川のだいぶ下流付近の暗い森の中にいた。


その頃には、奴らの戦いの音は、聞こえなくなっていた。


疲労で、へとへとなキラメアは、ふらふらと、前に進み続ける。休みたいが、いつ、奴が来るかわからない。


あのひとよらずの怪物は、他のひとよらずとは、違い透明化を見破る。


あの蛇のひとよらずには、おどろいた。


今まで、どのひとよらずも気づかなかった自慢の魔法が通じなかった。



こんなに、悔しいことはない。



キラメアの心は折れかかっていた。



川の流れる音だけが聞こえる。



森は、静か。



しかし、そんな時と、場所に。



さらなるピンチが起きた。



男のひとよらずが、前に立っていた。紫の目で、本を読み、何かを木に寄りかかりながら、待っている。


「やあ、来たのかい、先ほどのお嬢さん」



!?


キラメアは、おどろいた。またも、透明化が見破られるなんて。



それも、こちらを一切見ずに、本を見て、余裕そうに。



「私は、一度見た、生物の人生を伝記にして、過去から現在までを読むことができる能力があるんだ。魔力しだいでは、細かい、感情や行動まで、伝記に記させることもできる。私の名は王女モドキ、君は、キラメアちゃんだね」



さらにおどろいた。いきなり名を言い当てたのだ、紫の目を持つこの男は、いや、怪物は。



キラメアは、少し後退り背中を近くの枯れ木につけた。


「今、驚いて、背中をそこの枯れ木につけたね。見えないけど、読めるよ」



男は、ゆっくり息を吸い、話を続ける。


「普段は、もう、人間の伝記なんか、疲れるから作らないけど、今回は、別、君がちゃんと帰れるか見ていた。さっき見た人が、星になってしまって倒れているのを、森で見かけたら後味悪いからね」



もう一つ男は、どこからともなく本をだし、広げた。




「どうやら、拒絶のレレラは、今は、傷を負って、一旦休んでいるみたい。ただ、追い返せたは、いいけど、結局人間を見つけたあの蛇はすぐに暴れまわって、辺りを八つ当たりで壊して回る癖があるから、今回こそは、家の付近を守ろうとして、私が介入したのに、家の庭をずいぶんと荒らされた。困ったよ。庭の石像も壊れたし」


紫の目がこちらの方をじろりと見る。



「そうそう、レレラを含め、ひとよらずは、不死身だ、すぐに、回復して、君の通るであろうルートで、待ち伏せするだろう。今、奴が考えている君が通るルートは、川の横を通ってそのまま、道が険しくない条件で最短で国に近づくルートだ」





紫の目を持つ男は、さらにどこからともなく本を次々出すと読んで、後ろを指差した。



「こちらのいちょうの木の方から遠回りして進めば、ほかのひとよらずの怪物にもレレラにも会わないで帰れるよ」



男は手を振った。



「それじゃあね。国に帰ったら、もうこちらに、こない方がいい、国には、ルウォル・レイルという剣士もいるし、安全だ」



キラメアは、悩んだそして、こう言った。


「貴方を信頼することはできない。見ず知らずの人だし」



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