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洞窟をなんとか、出て、かえでの木達を通りすぎ森の中の川まで来ると、赤い二本の尻尾がチラリと川の下流のほうに見えた。
水の中に何かいる!
キラメアは、身構えた。
透明化の魔法は、ずっと解いてないし、足音や匂い、だって、ぬかりなく、透明化の魔法には、消す効果がついてる。
今まで、どんなやつが来てもばれたことはない。
大丈夫、大丈夫と言い聞かせた。
いかだ一つくらい、用意に流せるくらいの太さの川に、目を凝らして注視する。
汗がたれ、不安がよぎる。
怖い、怖いが見る。
すると……
黒い点が、2つと、大きな黄色い目が、川の底に見えた。
悲鳴が出そうになる。
必死に抑えキラメアは、川からゆっくり離れる。
後ろに後ずさる、後ずさる!
そのとき、そいつは、顔を出した。
緑の巨大な蛇だ、尻尾だけが、二本に別れ、赤くひとよらずの怪物の特徴を見せている。
こわい、こわいよぉ。
顔には、黒い点が2つと、血管の浮き出た黄色い目が一つ、それから、巨大な口には、黒い手のようなものが生えている!
キラメアは、恐れた。
白い肌から、血の気が引いてよけいに、青白くなりそうだ。
キラメアは、巨大蛇から目を離さないでゆっくりゆっくり離れた。
ピンクの木の棒が、オモ宝石のせいで、こんなに重くなきゃ、もっと早く走れるのに!!
そう思っても、手放したくはない。
危険は承知のうえで、こんなことをやっている。
透明化の魔法を信用しつつ。
なんとか、不安を押し込めた。
ーーだが、今回は、状況が違った。
「ピット器官って知ってるか?人間は、そう言ってたが、ヘビには、体温に気づくことができる器官があるんだ。ちょうど、オレの目の横の黒い点がそうだ。まあ、だいぶ普通のそれとは変化しちまっているがな」
野太い声が鳴り響く。
キラメアは、顔をひきつらせた、見たこともない。自分よりもだいぶデカイ大きな太い木の幹のような、体を持つひとよらずの怪物がこちらに顔をしっかり向け、話かけられたのだから。