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目の前には、光る宝石が洞窟の地面に敷き詰められている。
キラメアは、すでに、何度もここに、来ている。もう見慣れた光景だから、驚かないが、町のみんなが見たらびっくりするだろうと考えた。
緑っぽい岩でできた地面に置いてある宝石を持ち上げる。
重い、相変わらず重い。
オモ宝石と呼ばれる、次々と金色になったり銀色になったり色を変えるその宝石は、それなりに、高く売れるが、重くて、小柄かつ、筋力もさほどない、キラメアには、一つ運ぶのがやっとだ。
重さはだいたい、50キロある。乙女の秘密だが、これはだいたいキラメアの体重に近い。
だが、これがあれば一年は、暮らせる。この洞窟は、このオモ宝石だけが取れる不思議な洞窟だ。
森の中で、果物なんかをとって、売っていた20歳前半のころ、突然の雷と雨をしのごうと、偶然見つけた場所だ。
ピンクの木の棒にオモ宝石を一つ封じ込め、腕に、魔力を込めて、力を上乗せして、ゆっくりゆっくり外に運ぶ。
魔力を込めてこれだ。
本当にしんどい、けど、ゆっくりゆっくり進むのだ。