44、蜜月
マキシムと結ばれた初夜の翌朝、目を覚ますと、隣にはまだマキシムが眠っていました。
マキシムの寝顔はとても素敵でした。
『こんな無防備な姿のマキシムを知ってるのは、きっと世界中で私だけね。』
‥‥なんて、私はマキシムの寝顔を見ながら、少し優越感すら覚えていました。
寝具からマキシムの裸の肩が見えました。私はそれを見て、昨晩の事を思い出してしまいました。
『マキシム‥素敵だったなぁ‥。あんなに男らしい体をしていたなんて‥。
それに‥まさかマキシムから、あんな事やこんな事までされるなんて‥‥びっくりした‥。
それにしても‥マキシムって、私の服を脱がすのも抱くのも、何だか手慣れていたような‥‥。まさか、他の女の人とすでに色々経験済みだったのかしら?』
‥なんて考えて、一人で悶々としていたのです。
私があれこれ考えて、頭を抱えながらウンウン唸っていると、ようやくマキシムが目を覚ましました。
「おはよう、奥さん。」
「おはよう、マキシム。」
私達は、ベッドの上でおはようのキスをしてから一緒に起きました。
それから二人共シャワーを浴びると、私の手料理で朝食を済ませ、散歩がてら近くのお店へ買い物へ行き、午後からは二人でまったりとお茶をしながら過ごすという、幸せいっぱいで穏やかな一日を過ごしました。
そして夜になれば、またマキシムに抱かれて‥‥。
こうして何ヶ月もの蜜月を過ごした私は、体に少し異変を感じるようになりました。
何だか体がだるくて、時々無性に眠くなるのです。それに‥‥月のものがまだ来ないのです。
『私、もしかして妊娠したの‥‥?』
私は妊娠を疑い、すぐに医師のもとへ行きました。
医師はにっこり笑って言いました。
「おめでとうございます。妊娠三ヶ月目です。」
「‥‥本当ですか!?」
「間違いないです。」
私の中に赤ちゃんが‥マキシムと私の赤ちゃんが‥。
私は嬉しくて堪りませんでした。赤ちゃんができた事を少しでも早くマキシムに伝えたくて、急いで医師の診察所を出ると、早歩きで家に向かいました。
『マキシム!私、二人の赤ちゃんを妊娠したのよ!私のお腹の中に赤ちゃんがいるのよ!』
私は心の中でそう叫んでいました。
そして、やっと家に着いた私が扉を開けて中に入ろうとしたところ、誰かが後ろから話しかけてきました。
「ここは‥レミーさんのお宅ですか。」
振り向くと、少し強面の見知らぬ若い男性が立っていました。
「‥そうですが、何か用ですか?」
「‥ひょっとすると‥あなたがレミーさん?」
「そうですけど、一体何の用で‥‥。」
男性は、突然私の口元を布でおさえて羽交い締めにしてきました。
『‥やめて、乱暴にしないで。‥私の赤ちゃんがお腹にいるのに‥。』
私は手足をバタバタさせて抵抗しましたが、口元の布に染み込んでいた何かの香りを嗅ぐうちに、気絶してしまったようです。
薄れゆく意識の中で、男性が囁いた言葉が微かに聞こえてきました。
「ああ、これでやっとフジコとの約束が果たせるな‥‥。」




