39、卒業、そしてその先
舞踏会の後、私はマキシム君と両思いになれた余韻に浸る間もなく、期末試験へ向けて勉強漬けの日々を過ごしていました。
「レミーさん、どう勉強は順調?」
私が図書室で一人で勉強をしていると、タケル君がやって来ました。手には勉強道具など持っていなくて、かわりに小説を持っていました。
「タケル君は、小説なんか持っちゃって余裕そうだね。羨ましいなぁ‥。」
「ハハハ。レミーさんこそ、もう充分勉強してるだろうに、まだ足りないの?」
「‥今回こそマキシム君に勝って、特別クラスの中で一位になりたいんです!」
「‥まったく‥君達は試験になると、途端に敵同士みたいになってしまうんだな。」
「‥ええ。それとこれとは別ですからね。‥いくらマキシム君の事が好きでも、試験の結果だけは譲れませんから!」
「‥そうか。それは御馳走さま。」
「タケル君は、部屋で勉強しないんですか?」
「‥君と逆のパターンだよ。同室の奴が、僕が部屋で勉強をせずに小説を読んでいるのを嫌がるんだ。」
「ハハ、本当に私と逆ですね。私は部屋で勉強をしてると、ヒルトンさんが凄く嫌がるんです。」
「‥じゃあ、僕は隣のテーブルで本を読んでいるよ。何か分からない事があればおいで。」
「タケル君、ありがとう。」
あの舞踏会の告白の後、タケル君とは気まずくなるかと思いきや、今では案外普通に話せていました。これもタケル君の気遣いのおかげだと思います。
それに、あの舞踏会の日以降、私とマキシム君の仲は学校中の皆んなの知れる所となり、タケル君との仲をやっかんでいた女子生徒達からの苛めも、一切なくなりました。
今では、男女に関わらずどちらかと言えば、好意的な目を向けられていました。
おかげで、何の煩わしさを感じる事もなく、こうして試験勉強に集中する事ができました。
そして、私が図書室でこんなにも頑張って勉強して臨んだ試験ですが‥結果はマキシム君が全教科満点の一位でした。
ちなみに私は、マキシム君から20点差の二位でした。
「レミー、凄いじゃないか!二位だよ。おめでとう。」
「‥一位のマキシム君に言われても、何だか悔しいだけです。」
「だって‥レミーは最初のテストの時は、真ん中ぐらいの順位だったじゃないか。それに比べたら凄い成長だよ。」
「‥そうですけどね。でもマキシム君に一度くらいは勝ってみたかったです。」
「‥まあ、そんな負けん気の強いレミーも好きだけどね。」
「‥マキシム君‥。」
私達は、まわりの目を気にする事なく、こうしていつでもイチャイチャ?していました。
‥今思い出すと、かなり恥ずかしいです。
それからも何度か試験がありましたが、結局私達が学校を卒業するまで、ただの一度も私がマキシム君を順位で抜かす事は出来ませんでした。
とは言え、マキシム君を勝手にライバル視して勉強を頑張ったおかげで、私は卒業後の就職先として、ヒノキ国の植物関連の研究施設に内定を頂きました。
ヒルトンさんとユズル君は、卒業と同時に結婚して、ヒルトンさんの国へ旅立って行きました。
ヒルトンさんですが、なんと外国の大富豪のお嬢様だったんです。
そしてユズル君は、そんなヒルトンさんのお婿さんとして、ヒルトンさんのお父様の会社に就職する事になりました。
タケル君は、お父様と同じ国の施設で、研究員として就職する事が決まっています。
そして、マキシム君はというと‥‥かねてから申請していたヒノキ国籍の取得の書類が審査を通り、やっと国から国籍の取得を許可される事となりました。
これにより、マキシム君は正真正銘ヒノキ国の国民となったのです。
ヒノキ国籍を取得したマキシム君は、早速ヒノキ国の「国家公務員採用総合職試験」と「外務省専門職員採用試験」を受験することにし、どちらの試験も見事合格を勝ちとる事ができました。
外務省専門職員採用試験に受かった後のマキシム君は、学校を卒業するとすぐに、ヒノキ国の最年少外交官として働き始めたのでした。




